ジンバルを使って動画撮影をしている時に、カメラ本体に触れずに設定を変更したり、RECボタンを押したりできないだろうか?と思ったことはないでしょうか?
録画の開始・停止やフォーカスの調整には専用のリモートコントローラーやフォローフォーカスを使用する方法がありますが、いずれも価格が高く、気軽に導入するには少し躊躇してしまいます。
ところが、Blackmagic Designのシネマカメラ「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K/6K(BMPCC4K/6K)」にはBluetoothによる遠隔操作機能が搭載されており、対応するスマートフォンアプリを使えば、カメラに触れずに録画操作や露出設定などを変更できるのです。
今回は、iPhoneからBMPCC4K/6KをBluetooth接続でリモート操作できるアプリ「Bluetooth+ for Blackmagic」について、接続方法や各種設定、フォーカス制御の機能と注意点を紹介します。
はじめに
BMPCCの初期設定や操作方法を調べている時に、Bluetoothを利用してスマートフォンやタブレットからカメラの設定を遠隔操作できることを知りました。
Blackmagic Designからは純正の「Blackmagic Camera Control」が公開されていましたが、こちらはiPad用のアプリで、iPhoneから操作するにはサードパーティ製のアプリを利用する必要がありました。
できれば純正アプリかメーカー公認のアプリを使用したかったのですが、Blackmagic DesignのウェブサイトではiPhone向けの純正アプリを見つけられなかったため、Google検索で対応アプリの機能や特徴を調べてみることにしました。
当初は録画の開始・停止や露出設定ができれば十分だと思っていたのですが、そこで見つけた「Bluetooth+ for Blackmagic」には、ホワイトバランスやシャッタースピード、ISO感度の変更だけでなく、対応機種ではフォーカスまで遠隔操作できる機能が搭載されていたのです。
ジンバル撮影中にカメラ本体へ触れる機会を減らせるというだけでも、非常に便利なアプリだと感じました。
アプリの連携方法
Bluetooth+ for Blackmagicは、We Are Empire PTY LTDが開発したiPhone・iPad向けの有料アプリで、記事執筆時点の販売価格は610円でした。
BMPCC6KとiPhoneをBluetooth接続する方法は簡単で、まずカメラ本体の「SETUP」メニューからBluetoothをオンにし、iPhoneでもBluetoothを有効にしてアプリを起動します。
アプリに表示された「POCKET CINEMA CAMERA 6K~」を選択して「Connect」をタップすると、Bluetoothのペアリング画面が表示されますので、カメラ本体の画面に表示された認証コードをiPhoneに入力すれば接続完了です。
一度ペアリングしてしまえば、撮影中にカメラ本体へ手を伸ばすことなく、スマートフォンから各種設定を変更できるようになります。
ホワイトバランスの調整
Bluetoothのペアリングが成功すると、iPhoneの画面にBMPCC本体と連動した設定項目が表示されます。
ホワイトバランスの設定画面では、色温度やティントの調整に加え、あらかじめ用意されたプリセットを選択することも可能です。
また、グレーカードやホワイトバランスカードなどの無彩色の基準となる被写体を画面に映し、「AWB」をタップすれば、カメラのオートホワイトバランス機能を使って自動調整できます。
撮影場所の照明や太陽光の状態に合わせて色温度を変更したい時にも、カメラ本体のメニューを開かずに操作できるので便利です。
シャッタースピードやISO感度などの基本的な設定
隣の絞りマークをタップすると、フレームレート、絞り、シャッタースピード、ISO感度など、動画撮影に必要な基本設定を変更できます。
これらの設定はBluetoothを通じてBMPCC本体へ送信されるため、iPhoneで変更した内容がカメラ側にも反映されます。ただし、絞りの遠隔操作には電子制御に対応したレンズが必要です。
特に便利だと感じたのが、ジンバルに搭載したカメラの露出をスマートフォンから変更できることです。
例えば、屋外で撮影している最中に突然曇って明るさが不足したり、暗い場所から明るい場所へ移動したりした場合でも、カメラ本体に触れずにISO感度や絞りなどを調整できます。
ジンバルのバランスを崩さずに設定を変更できるため、移動しながら撮影する場面では非常に役立つ機能だと感じました。
撮影補助機能の表示
BMPCCのモニターに表示するフォーカスアシストやゼブラなどの撮影補助機能も、スマートフォンから設定を変更できます。
フォーカスアシストはピントの合っている部分を確認するための機能で、ゼブラ表示は露出の確認に役立ちます。特に4Kなどの高解像度で動画撮影をする場合は、ピントのわずかなずれも気になるため、こうした撮影補助機能を手軽に切り替えられるのは便利です。
実際に操作してみると、設定によってはBMPCC本体のタッチパネルよりもスマートフォンの方が扱いやすく感じますし、何よりカメラの背面モニターが指紋だらけになる機会を減らせるのが嬉しいところです。
コーデックや解像度の設定
動画の記録形式や解像度についても、スマートフォンから設定を変更できます。
BMPCC4K/6KではBlackmagic RAW(BRAW)やApple ProResなどのコーデックを利用できますが、アプリからも対応する圧縮設定や記録解像度を選択できるため、撮影内容に合わせた設定変更をカメラ本体のメニューを操作せずに行えます。
ただし、使用するアプリやカメラのファームウェアのバージョンによっては、一部のコーデック切り替えに制限があります。特に当時のBMPCC6Kでは、アプリからProResとBlackmagic RAWを直接切り替えられない問題が案内されていたため、実際の記録設定はカメラ本体でも確認する必要があります。
また、録画の開始・停止もBluetooth経由で操作できるので、ジンバルに搭載したカメラのRECボタンへ手を伸ばさなくても撮影を開始できるのが便利です。
あまりにも神アプリすぎる素晴らしい機能
個人的に最も魅力を感じたのが、スマートフォンからフォーカスを遠隔操作できる機能です。
通常、ジンバル撮影中に手動でフォーカスを調整する場合は、フォローフォーカス用のモーターや専用コントローラーを用意して、レンズのフォーカスリングを動かす方法が一般的です。
ところが、Bluetooth+ for Blackmagicでは、カメラとレンズが電子的なフォーカス制御に対応していれば、追加のフォーカスモーターを使用せずにスマートフォンからピント位置を調整できます。
ただし、記事を執筆した2020年5月時点では、アプリのフォローフォーカス機能はBMPCC4K向けで、BMPCC6KのEFマウントレンズを使用したフォーカス送りには対応していませんでした。また、BMPCC4Kでもすべてのレンズで利用できるわけではなく、カメラ側からフォーカスを電子制御できる対応レンズが必要になります。
操作はスライダーを使ってピント位置を移動させる方式で、移動量を調整することでフォーカスの送り速度も変えられます。ただし、Bluetoothによる通信やレンズの動作には多少の遅延があり、操作を止めても目的の位置を通り過ぎてしまう場合があるため、思い通りに動かすには慣れが必要です。
こちらは、スマートフォンアプリを使ってフォーカスを遠隔操作した際の動作を紹介する動画です。スライダーの操作量を大きくするとフォーカスの移動速度が速くなり、少しずつ動かせば低速での微調整もできます。うまく調整できれば、手前の被写体から奥の被写体へゆっくりピントを移動させるなど、美しい映像表現につながるフォーカス送りも可能です。
ただし、フォーカス移動の滑らかさはレンズの制御方式やBluetoothの応答速度にも左右されるため、速いフォーカス送りや動きの激しい被写体への追従には向かない場合があります。
BMPCC4K/6Kには、一般的なミラーレスカメラで使用されているようなコンティニュアスAFが搭載されていないため、被写体に合わせて自動追従する機能とは異なりますが、対応するカメラとレンズでフォーカスを遠隔操作できること自体が大きな魅力です。
特に、カメラに触れにくい位置からピントを調整したい場合や、ジンバル撮影でフォーカス操作を補助したい場合には、試してみる価値のある機能だと思います。
まとめ
Bluetooth+ for Blackmagicは、BMPCC4K/6Kの録画開始・停止やホワイトバランス、ISO感度、シャッタースピード、解像度など、動画撮影に必要な多くの設定をiPhoneから遠隔操作できる便利なアプリです。
残念ながら、Bluetooth接続ではカメラが撮影している映像をスマートフォンにライブ表示することはできません。これはBluetoothによる通信帯域やカメラ側の制御仕様による制限であり、撮影映像の確認にはカメラ本体のモニターなどを使用する必要があります。
また、アプリから映像を表示できないことと、Bluetooth通信のセキュリティーは別の問題なので、使用しない時はBluetoothをオフにするなどの管理も必要です。
フォーカスやズームの遠隔操作にはカメラとレンズの対応状況による制限がありますが、ジンバル撮影中にカメラ本体へ触れずに各種設定を変更できるだけでも十分に魅力があります。
専用のリモートコントローラーやフォローフォーカスを購入する前に、まずはスマートフォンからのBluetooth操作でどこまで対応できるのかを試してみるのも良いのではないでしょうか。
BMPCC4K/6Kを使用している方、特にジンバルで動画撮影を行う機会が多い方には、ぜひ一度試していただきたいアプリです。












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