価格が1万円程度と手頃で、本体重量はトップフラッグを除いてわずか238gでありながら、最大4×5.65インチの角形フィルターを2枚装着でき、不要な光を遮ってフレアやハレーションも軽減できるSmallRigの軽量マットボックス2660を購入しました。実際に使用してみると、価格以上の使い勝手と性能を備えたコストパフォーマンスの高い製品でしたので、この記事では使用感や特徴を詳しくレビューします。
マットボックスの役割とは?
マットボックスとは、カメラのレンズ先端に取り付けて、強い光が原因で発生するフレアやハレーションなどを軽減し、高品質な映像を撮影するための遮光フードのような製品で、一眼レフカメラのレンズに付属しているレンズフードを大型化したようなものです。
現在は多くのカメラでLogやRAWによる動画撮影ができるようになり、編集時のカラーグレーディングである程度は調整できたり、逆にフレアなどの光を演出として有効活用した映像に仕上げたりする機会も増えてきましたが、意図しない有害光は撮影時にできるだけ抑えておいた方が、後の編集も楽になると思います。
また、シャッタースピードを1/60秒や1/100秒などに設定することが多い動画撮影では、明るい環境に合わせてNDフィルターなどを使用して減光する必要がありますが、マットボックスには4×4インチや4×5.65インチの角形フィルターを装着できるため、遮光とフィルターワークを両立できるというメリットもあります。
あとは、見た目の威圧感でしょうか・・。
一昔前はレンズ一体型のビデオカメラが主流でしたが、現在は各メーカーがミラーレスカメラや小型シネマカメラにも力を入れるようになり、コンパクトなカメラでもLogやRAWによる高品質な映像を撮影できるようになりました。
ただ、カメラに詳しくないクライアントの中には、小型のカメラを見てあまり良い印象を持たない方もいるかもしれませんが、マットボックスを取り付けるだけでも本格的な撮影機材らしい外観になり、印象が変わるのではないかと思います。
購入後は晴天時と屋内で使用した程度だったのですが、もう一点、マットボックスの便利な役割に気付きました。
私は花火を撮影する機会が多いのですが、雨天時にはカメラ本体やレンズの鏡胴をレインジャケットで防水できても、レンズフードが短い広角レンズの場合、前玉に付着する水滴までは防ぎきれないのです。
マットボックスには角度を自由に調整できる板状のトップフラッグが付属しているため、雨天時や降雪時の撮影では上から降ってくる雨や雪を遮り、レンズの前玉に水滴が付着するのを軽減できるほか、空から降ってくる花火の燃えカスがレンズに付着するのを防ぐ効果も期待できます。
花火の燃えカスには金属粉の燃え残りや火薬に含まれる成分の反応生成物などが混じっていることもあり、湿気が多い時にはレンズを拭いても油分のような汚れが伸びてしまったり、無理に拭き取ろうとして傷を付けてしまったりすることもあるので、なかなか厄介なのです。
予想以上の大雪でカメラを出すかどうか悩んだ白川郷での撮影でしたが、レインジャケットとマットボックスを併用したことで、一度もカメラを濡らさずに撮影することができました。
フレアやハレーションの対策も大切ですが、私の場合はどちらかというと、雨や雪などの悪天候時にレンズを保護する目的で使用する機会の方が多いかもしれません。
SmallRigのマットボックスを実際に使用してみました
広角から望遠までオールマイティに使えます
というわけで、35mm判換算15mmの広角レンズにSmallRigの軽量マットボックス2660を取り付けてみましたが、トップフラッグを写真のような角度に調整しても、ケラレなどは一切発生しませんでした。
ほとんど防湿庫の中で眠っているソニーα7Sと、大口径広角ズームレンズの16-35Zを組み合わせた状態でも使用してみましたが、こちらもケラレは発生しなかったので、フルサイズとスーパー35mmセンサーのどちらでも、レンズによってはもう少し広角で撮影できるかもしれません。
ただし、実際に使用できる画角はレンズの形状やフィルターの装着状態、トップフラッグの角度などによって変わるため、撮影前に確認しておいた方が良さそうです。
シグマのAPO 50-500mmでもマットボックスを使用してみましたが、フィルター径95mmの大口径レンズでありながら、トップフラッグを90度よりも低い角度まで下げてもケラレは発生しませんでした。
これなら有害光を遮るだけではなく、雨天時に向かい風で吹き込んでくる雨も、多少であれば防いでくれそうです。
ちなみに、マットボックス本体はカーボン調のデザインなのですが、トップフラッグ自体には本物のカーボン素材が使用されているため、取り付けていても重さがほとんど気にならないぐらい軽量に仕上がっています。
角形フィルターは2枚まで同時使用が可能
SmallRigの軽量マットボックス2660には、4×4インチ(101.6×101.6mm)または4×5.65インチ(101.6×143.5mm)で、厚さ4mm以下の角形フィルターを最大2枚まで同時に取り付けることができます。
実測でもフィルターを挿入する部分は102.5mm×145mmぐらいあったので、規格に適合するフィルターであれば、寸法に多少の製造誤差があっても収まりそうな印象です。ただし、4×4インチと100×100mmは異なる規格なので、フィルターを購入する際には注意が必要です。
SmallRigから直接購入したのでAmazonのレビューは全く確認していませんでしたが、レビューにも書かれていた通り、フィルター固定用のつまみネジの動きが少々渋く、フィルター押さえに引っ掛かりがあったため、購入後には一度チェックした方が良いでしょう。
私の場合は、何度か動かしているうちに引っ掛かりがなくなり、スムーズに操作できるようになりました。
角形フィルターはマットボックス側面の蓋を開けてスライドさせるように挿入できますが、フィルターを装着した後に蓋を閉じれば、隙間からの光漏れもほとんどありませんでした。蓋の上部には直径0.5mmぐらいの小さな隙間があるものの、実際の使用では特に問題なさそうです。
角形フィルターは丸形フィルターに比べると価格がかなり高いのですが、使用するレンズのフィルター径に合わせて何枚も購入する必要がなく、異なるレンズでも使い回せるため、所有しているレンズが多い人にとっては結果的にお得になるのかもしれません。
とはいえ、それでもやっぱり角形フィルターは高いですよね。
マットボックスの1/4インチネジ穴
SmallRigのマットボックス上部には、トップフラッグや角形フィルターを固定するためのつまみネジのほか、アクセサリーを取り付けるための1/4インチネジ穴が4つ設けられています。
ただし、レンズやマットボックス本体への負担を考えると、それほど重いアクセサリーは取り付けられそうにないので、上部から吊り下げるように固定する場合や、スペアのネジを取り付けておく程度しか使い道がなさそうです。
マットボックス下部にも1/4インチネジ穴が1つ設けられているため、15mmロッドシステムを組んでいる場合には、別売りのSmallRig マットボックス用デュアル15mm径ロッドサポート2663を使用して固定することもできます。
前玉が前後に動くレンズで使用する際には、ロッドサポートの固定用ノブを少し緩めることでスライドさせることができました。
様々なレンズに対応できるアダプターリングも付属
レンズにマットボックスを取り付けるためのアダプターリングも付属しており、フィルター径67mm・72mm・77mm・82mmのレンズに対応しています。さらに、別売りの95mm-114mmアダプターリング2661を購入すれば、フィルター径95mmのレンズにも取り付けることができます。
58mm径や62mm径など、付属のアダプターリングに対応していないレンズの場合でも、ステップアップリングを使用して58mmから72mmに変換するなどすれば、マットボックスを装着することが可能です。
上の写真に写っているアダプターリングのうち、右端のものはステップアップリングで58mm径から72mm径に変換し、付属のマットボックス用アダプターリングを取り付けられるようにしたものですが、この組み合わせでもケラレは全く発生しませんでした。
そのため、付属のアダプターリングとは異なるフィルター径のレンズでも、ステップアップリングなどを組み合わせることで使用できる場合があります。
ただし、標準付属のマットボックス用アダプターリングには、内側に丸形フィルターを取り付けるためのネジ溝が設けられていないため、そのままではネジ込み式の丸形フィルターを併用できない点に注意が必要です。
2021年の終わり頃には、丸形フィルターを取り付けるためのネジ溝を備えたアダプターリング3410も別売りされるようになりました。
こちらは67mm・72mm・77mm・82mm・86mm径に対応する5種類のアダプターリングがセットになった製品で、別途購入することでNDフィルターやC-PLフィルターなどの丸形フィルターをマットボックスと併用できるようになります。
アダプターリングをレンズに取り付けたら、マットボックス本体の固定ネジを締め込むだけで装着できます。
この部分についても、アダプターリングとマットボックス本体の隙間から光が漏れている様子は見受けられず、しっかりと固定することができました。
ジンバル撮影でも使えるミニマットボックスも登場
軽量マットボックス2660をさらに小型化した、SmallRigのミニマットボックス3196も販売されるようになりました。
ジンバル撮影など、レンズ先端にできるだけ負担をかけたくない場合にも使いやすいコンパクトなサイズでありながら、直射日光などの強い光を遮ることでフレアやグレアの発生を抑え、より鮮明な映像を撮影しやすくなります。
また、丸形フィルターに加えて、厚さ最大4mmの4×5.65インチ角形フィルターを複数枚取り付けることもできるため、小型ながらフィルターの組み合わせにも対応できる便利な製品です。
サイドフラッグも付属したミニマットボックスも登場
ミニマットボックスには、サイドフラッグが付属した新しいバージョンのMini Matte Box Pro 3680も登場しました。
トップフラッグだけでは遮りきれない照明や投光器など、横方向から入り込む強い光を効率よく遮断することで、グレアやフレアの発生を抑え、被写体をより鮮明に撮影できるようになります。
特に、撮影場所から身動きが取れない花火大会では、消灯すると思っていた投光器が消えなかったという経験もあるので、そのような場面ではサイドフラッグを活用できそうです。
まとめと使用感
SmallRigの軽量マットボックス2660は、内側に艶消し処理が施された大型のマットボックスなので、不要な光を遮ってフレアやハレーションを効果的に軽減できますが、その一方で大きさがある分だけ風の影響を受けやすくなるため、風が強い場所ではデュアル15mm径ロッドサポートなどを使用して固定した方が良さそうです。
マットボックス本体はかなり軽量ですが、カメラ一式の重量が増えることと、レンズの先端に重量が加わることではバランスへの影響が異なるため、特に3軸ジンバルで使用する場合には、重量バランスやブレに注意した方が良いと思います。
動画撮影で一般的なアスペクト比16:9では全く問題がありませんでしたが、4:3の写真撮影でも35mm判換算15mm程度の広角レンズでケラレが発生しませんでしたので、動画だけではなく写真撮影にも十分活用できるマットボックスだと感じました。
ちょうどSmallRigで50%オフのセールをしていた時に購入したのですが、この価格と使い勝手なら2セット購入しても良かったかな・・。
もともとは有害光をカットすることよりも、雨の日の花火撮影でレンズの前玉に水滴や花火の火の粉が付着するのを防げれば良いと考えて購入したのですが、実際に使用してみると、雨だけではなく雪の日の撮影でも前玉に雪が付着することがなく、悪天候時の撮影においても大型のフードとトップフラッグが非常に有効であると感じました。
もちろん、マットボックスだけでレンズを完全に防水できるわけではありませんが、レインジャケットと組み合わせることで雨や雪からレンズを保護しやすくなり、移動時にもトップフラッグを閉じるだけで前玉の汚れを軽減できるため、屋外での撮影では非常に重宝しています。

















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