映像の明るさやコントラスト、彩度、ホワイトバランスなどをグラフ化して確認できるヒストグラムや波形スコープなどの表示機能について解説すると共に、カラーコレクションやカラーグレーディングの際には目安として活用しているものの、必ずしも数値を重要視しているわけではないという点について、個人的な見解を記事にしました。
はじめに
Blackmagic Design DaVinci ResolveやAdobe Premiere Proなどの動画編集ソフトに標準搭載されているヒストグラムやベクトルスコープ、波形モニターなどのスコープ表示機能ですが、最初のうちは何が何だか分からないという方も多いのではないかと思います。
Rec.709などのプロファイルを使用して撮影した映像は、もともと適切なコントラストや彩度に調整されている場合も多いため、無理に調整をすると映像が破綻してしまう可能性がありますが、露出やホワイトバランスに問題がある場合はスコープが役立ちます。一方、LogやRAWで撮影した映像は、コントラストや彩度を調整する必要があるため、スコープを確認しながらカラーコレクションやカラーグレーディングを進める事も重要になります。
この記事では、DaVinci Resolveのスコープの見方や使い方を中心に、それぞれの表示機能について説明していきます。
スコープの表示機能の紹介
RGBまたはYRGBパレードの見方
RGBパレードは、R=レッド・G=グリーン・B=ブルーの各チャンネルの信号レベルを独立したグラフとして表示する機能で、YRGBパレードでは、さらにY=輝度(ルーマ)を加えた4つのグラフを表示します。映像全体がアンダー気味の場合は低い数値の方に偏り、オーバー気味であれば高い数値の方にグラフが偏るため、露出や明るさのバランスを確認する目安になります。
コントラストが低い場合には上下の幅が狭く、コントラストを高くした場合は上下の幅が広く表示される項目でもあり、10bit表示の場合は0が黒の下限、1023が白の上限を示しています。そのため、グラフが上下の限界に張り付いている場合は、黒潰れや白飛びによって階調が失われていないか確認する必要があります。
ただし、スコープの上下限に達している事だけで必ずしも黒潰れや白飛びが発生しているとは限らず、実際の映像や信号レベルと併せて判断する必要があります。
スコープの目盛りは10bitや12bitなどから選択できますが、基本的には表示する数値の範囲が変わるだけなので、自分が覚えやすい方で問題ないと思います。
また、本来白やグレーで表示されるはずの被写体にホワイトバランスの偏りがある場合は、RGBパレードの各チャンネルにもレベルの差が現れるので、ホワイトバランスや色かぶりを調整する際の目安としても使用できます。
例えば夜景などの暗所で撮影した場合に、本来黒や青寄りの黒で表示されるはずの部分が赤っぽくなっている場合は、RGBパレードの暗部で赤の信号レベルだけが高く表示される事があるので、その場合はカラーホイールやトーンカーブを使用して、RGBのバランスが良くなるように調整します。
高感度ノイズを除去してしまえばほとんど気にならないものですが、先にシャドウの赤かぶりを減らしておくと、映像を綺麗に仕上げるための最後の調整が楽になります。
波形モニターの見方
波形スコープ(ウェーブフォーム)は、RGBパレードと同じように映像の信号レベルを確認する機能ですが、RGBパレードが各チャンネルを独立して表示するのに対して、波形スコープでは輝度やRGBの信号を同じグラフ上に重ねて表示できます。
また、グラフの横方向が映像の横方向の位置に対応しているため、映像のどの部分が明るいのか、または暗いのかを確認しやすいという特徴があります。
こちらは、本来白になるはずの被写体にホワイトバランスのずれがあったり、暗部に色かぶりが発生していたりする場合に、RGBそれぞれの波形がずれて表示されるので、特定の箇所の色を調整する際にも活用しています。
また、レンズに周辺減光がある場合は、均一な明るさの被写体を撮影すると、本来横一直線に近い形で表示される波形が中央の高い凸型の波形として表示されるので、周辺の減光量を補正するための目安にも利用できます。
ベクトルスコープの見方
ベクトルスコープは、色相や彩度を調整する際の目安となるR(レッド)・M(マゼンタ)・B(ブルー)・C(シアン)・G(グリーン)・Y(イエロー)の各色の方向と強さを可視化する機能で、グラフが円の中心に寄るほど彩度は低く、円の外側に向けて伸びているほど彩度が高い事を示しています。
また、本来青で表示されるはずの色の色相がずれている場合は、ブルー(B)ではなくマゼンタ(M)やシアン(C)の方向に偏って表示されるので、特定の色の色相を調整する際にも使用します。
ベクトルスコープを見ながら彩度を調整する場合は、併せてCIE色度スコープを表示して、あらかじめ設定している色域(カラースペース)の三角形から色の分布が飛び出していないか確認する事も重要になります。
この色域の三角形を超えてしまった色は、出力先の色域で表現できないため、クリッピングなどによって本来の色や階調が失われ、べた塗りしたような質感の映像に仕上がってしまう可能性があるので注意が必要です。
ちなみに人物をメインの被写体としている場合は、スキントーンインジケーター(RとYの間にあるライン)を表示しておくと、肌の色相を調整する際に便利です。
ヒストグラムの見方
ヒストグラムは、RGBパレードや波形スコープと同じように映像の明るさや階調を確認する機能ですが、映像に含まれるピクセルの明るさの分布をグラフとして表示する点が異なります。
白飛びや黒潰れが発生している場合は、10bit表示では0や1023の付近に山が集中する事があるので、階調が失われている可能性を確認する目安として利用できます。
また、映像の中に同じような明るさのピクセルが多く含まれている場合は、ヒストグラムの特定の位置に大きな山が出来るため、映像全体の明るさの分布やコントラストを調整する目安としても活用できます。
ヒストグラムの山の高さは、その明るさに該当するピクセル数を表し、山の幅は明るさの分布範囲を示しています。そのため、こちらの桜のスクリーンショット(画像)では、映像の大部分を占めている桜の花びらの明るさが、ヒストグラムの大きな山として現れているという事になります。
ヒストグラムの山の大部分が中間よりも明るい方に寄っているように見えますが、これは比較的明るい被写体である桜の花が映像の大部分を占めているためで、一見するとハイキーな映像のようにも見える形のヒストグラムとなります。
フォルスカラーを目安にする事が多い件
YRGBパレードやベクトルスコープを目安に使用する事も多いですが、照明を使用しない屋外撮影などでは、太陽光の強さや雲のかかり具合によって明るさやコントラストが変わってしまう事もあるので、複数の似たようなシーンが続く場合は、フォルスカラーを使用して特定の被写体の明るさを統一する事が多いです。
フォルスカラーは、映像の明るさを一定の範囲ごとに異なる色で表示する機能で、露出や輝度の分布を視覚的に確認できるため、波形スコープやヒストグラムだけでは判断しにくい被写体ごとの明るさを把握する際にも便利です。
例えば同じ場所で何か月も撮影が続く場合は、天候などによって明るさやホワイトバランスなどの条件が毎回変わってしまうので、特定の被写体の明るさだけを統一して、その他の部分は多少の違いを気にしない事の方が多いです。また、必要に応じてシャドウやハイライトだけを波形モニターやヒストグラムで確認しながら調整しています。
実際には、シャドウとハイライトの表示設定が異なる別のフォルスカラーを使用していますが、こちらの機能を使用した方が被写体の明るさの分布や、白飛び・黒潰れが発生している場所を可視化できるので分かりやすいです。
以前はスコープを意識して細かく映像を作り込んでいた時期もありましたが、屋外ロケのテレビ番組を見ていても、明るさや彩度がコロコロ変わっている事を気にしない人が大多数のようなので、最近はあまり数値ばかりを気にしなくても良いかな・・なんて少し思い始めています。




















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