ガソリンエンジンとモーターの駆動力で、大幅な燃費向上を果たせたハイブリッド車ですが、従来のガソリンエンジン車よりも車両価格が上がって50万円近い差額が生じています。
低燃費が売りのHV車を購入した場合にガソリンエンジン車との価格差は埋められるのか?また、どのような条件で元が取れるのかを計算してみました。
記事内の目次
【ハイブリッド車vsガソリンエンジン車】何キロ走行をして元を取れるのか?計算をしてみた
アベンシスワゴンの燃費とざっくり支払い金額
この度購入をしたのは90系ヴォクシーハイブリッドE-Fourですが、その前は欧州生まれのトヨタ車であるアベンシスワゴンに乗っており、合計で25万キロを走行して購入から約12年で乗り換えをいたしました。
欧州市場を意識したイギリス生産の車であった事から、高速走行やワインディングロードなどの走行性能が求められる条件で真価を発揮するタイプで、1回で走行する距離が伸びる程、燃費も向上するような車でした。
JC08モードで13.6km/L、10・15モードで14.6km/Lがカタログ上の燃費でしたが、実燃費は14km/Lから最高で17km/Lぐらいまで伸びる傾向もあり、ステーションワゴンの中でも走りやすく燃費も良い車だったと思います。
何故降りたかというと、車検時の交換部品が高額になってしまう見積になった事と、一部の部品が製造中止になって入手が難しくなってしまった事もあって、ハイオクガソリン車のアベンシスから90系のヴォクシーハイブリッドE-Fourに乗り換えました。
実際のアベンシスワゴンの燃費を平均にすると、10・15モードと同じぐらいの14.6km/Lぐらいになっているはずなので、25万km÷14.6km/Lで17,123Lのハイオクガソリンを給油したという事になります。
ハイオクガソリンの価格は最安で120円/Lぐらいになった事はありましたが、最高で180円~190円オーバーの時期もありましたので、過去12年間はガソリン価格が高騰している時期が多かったですね。
ざっくり1リッター160円ぐらいで計算をすると、2,739,680円分の給油をした事になりますので、車両の支払い総額とガソリン代をプラスすると、600万円近い支払いをしていたという事になりますね。
実際には、車検費用や保険料、部品交換代などがかかっていますので、もっとお金を使っていたと思いますが、車両とガソリン代だけならこんな感じになりました。
ヴォクシーハイブリッドで同じ距離を走った時の支払いを計算
90系ヴォクシーハイブリッドE-Fourは、ヴォクシー4WDのガソリン車よりも40万円ほど高く、ただでさえ高くなった車両価格に40万円がプラスされて400万円近い車両価格となります。
初代デビュー当時はステーションワゴンやミニバンの中でも安い方の価格設定になっていましたが、現行型の車両価格は当時の2倍近い金額を支払わなければいけなくなりました。
その一因として部品製造のコスト増も挙げられますが、安全装備やレーダークルーズコントロールなどが標準装備になった事で車両本体価格が高くなってしまったのが原因なのでしょう。
最初だけ使って、今はほとんど使用しなくなった機能ばかりですが、レーダークルーズコントロール自体も、燃費の面ではほとんどメリットがありません。
本題に入りますが、90系ヴォクシーハイブリッドには、第5世代に進化した1.8Lトヨタハイブリッドシステム(THSⅡ)が搭載されて、フロントモーターとE-Fourのリアモーターで最高時速150km/hまで駆動力を生み出し、制限速度内全域でモーターの駆動力を使えるようになりました。
駆動用メインバッテリーの残容量にもよりますが、60km/h~80km/hまでモーターのみで走行できるようになった事によって、ミニバントップクラスのWLTCモードで23.0km/L(E-Four:22.0km/L)の低燃費を実現できるようになったのです。
アベンシスも含めてガソリンエンジン車は、カタログ燃費よりも実際の走行時の燃費が良くなる傾向にありましたが、ハイブリッド車の場合はカタログ燃費よりも実燃費が悪くなる傾向が多いようです。
また、ヴォクシーハイブリッドに関しても、最高でカタログ燃費に近い21.4km/Lの低燃費を達成できた事もありましたが、ほとんどの場合は17km/Lから20km/Lに収まる事が多いです。
総合走行距離で25万キロを走行する事を仮定して計算をすると、17km/Lで14,705Lを給油、20km/Lで12,500Lを給油する計算となります。
正直な所は、ガソリン価格が下がってくれるとは思っていないのですが、リッター160円で計算をすると17km/Lで2,352,800円、20km/Lで200万円分のガソリン代を支払うという事になりますね。
ハイオク車からレギュラーガソリン車に乗り換えた事によるメリットはありましたが、ハイブリッド車を購入するメリットというのは、距離ガバじゃないと元は取れない計算になってしまいます。
ヴォクシーのHV車とガソリンエンジン車の差額は埋められるのか
ヴォクシーのガソリンエンジン車は、M20A-FKSの2リッター直列4気筒ダイナミックフォースエンジンを搭載し、125kM(170ps)/6,600rpmの最高出力を発揮します。
システム最高出力が140ps程度と言われるハイブリッド車と比較すると、30psほど力強く車両重量も30kgほど軽い事から、HV車よりもガソリン車の方がストレスが少ない走りを楽しめるのではないかと思います。
みんカラ等の車系SNSを見てみると、12km/Lをピークに8km/lから16km/lまで山があるような感じなので、カタログ燃費の市街地モード11.4km/Lから郊外モードの14.6km/Lの範囲内に収まり、それ以上は高速道路を走行した時の燃費になるのでしょう。
高速道路をメインで走行するのであれば、高速走行に弱いハイブリッド車とガソリンエンジン車の実燃費の差は、良くてもリッター2km/Lから3km/Lぐらいで、車重が重いヴォクシーハイブリッドは特に高速走行が苦手なのです。
みんカラの12km/Lと14km/Lの間を取って13km/Lの実燃費で計算をすると、25万km÷13km/Lで19,230Lのガソリンを消費するという事になり、3,076,800円のガソリン代を払い続けるという事になるのです。
つまり、合計走行距離で25万kmを走行して、ヴォクシーのガソリンエンジン車とハイブリッド車の差額40万円の2倍近い金額がお得になるような計算になりますので、ハイブリッドで17km/L以上の燃費で走り続けて通算走行距離13万km以上は走行をしないと元は取れません。
また、ハイブリッド車のハイブリッドシステム起動後は暖機や駆動用バッテリーの充電などでエンジンを始動する頻度が高く、主にショッピングや子供の送迎などで短距離走行を繰り返すような運転が多い場合は、12km/L~16km/Lまで燃費が極端に落ちてしまう事が多いのです。
その日に初めてハイブリッドシステムを起動した後から4kmを走行した時の燃費は、12.9km/Lほどで、ガソリンエンジン車とはほぼ変わらない燃費になってしまいました。
これよりも距離が短くなると、1桁の燃費となってしまう事もありますが、ハイブリッドシステム起動後は駆動用バッテリーの充電や暖機のためにエンジンを始動させてしまう事がほとんどなので、とても燃費が悪くなってしまいます。
復路は少し遠回りをして10kmを走行していますが、往路で充電と暖機が済んでいた事や、走行距離が長くなってモーターを使用したEV走行が増えた事もあって燃費は19km/Lとなりました。
仮に短距離走行を繰り返して13万kmを走行したとしても、短距離走行の燃費が悪いハイブリッド車では、ガソリンエンジン車との差額は埋められなくなるので、最初からガソリンエンジン車を購入していた方がお得だったという計算になっちゃいますよね。
燃費が良いハイブリッド車という売り文句を鵜呑みにしてしまうと、使用用途によってはガソリンエンジン車と燃費が変わらないどころか、それよりも悪くなってしまう事もあるので、お買い物や家族の送迎のために5km未満の走行を繰り返す用途であればハイブリッド車はオススメできません。
オススメできるとしたら、県外に繰り返し旅行をしている人や、マイカーを使用した出張をする人、アウトドアを楽しむ人など、一回の走行距離が多めの人になるかと思います。
どうしたらHV車で早めに元を取れるのか?
ハイブリッド車を購入したからと言って差額の元を取るのは容易ではない事が分かりましたが、トヨタのHV車には100V・1500Wのアクセサリーコンセントが標準装備になっているので、こちらを活用して今までかかっていた他の費用を節約するのが手っ取り早いのだと思います。
旅行時に宿泊から車中泊に切り替える
1回の旅行で、ビジネスホテルに宿泊した場合は5,000円から15,000円、温泉旅館であれば10,000円以上は確実にかかります。
宿泊していた部分を車中泊に切り替えれば、1人あたり10,000円、4人家族であれば40,000円は節約をできますので、年に2回の旅行をしたとすれば10年で80万円は出費を節約できる計算になります。
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外食を車中食に切り替える
例えば、遊園地や動物園などのテーマパークや大きな公園に行った後は、外食になってしまう事も多くなってしまい、それが毎週続くと案外大きな出費となってしまいます。
ハイブリッド車に標準装備になっている100V・1500Wのアクセサリーコンセントは、IHクッキングヒーターなどの電化製品を使えるようになっているので、それで調理をしてしまうというのも元を取る一つの手段と考えておいても良いでしょう。
4人家族であれば年間で10万円、10年で100万円は節約できるという計算にはなりましたが、それが毎週だと少々過酷かもしれませんね・・。
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空気圧を適正な状態に保つ
モーターで走行可能な距離を伸ばす事がハイブリッド車にとって重要なポイントになるのですが、タイヤの空気圧を適正にするか、少し高めの空気圧にすると燃費が良い状態を保つ事が可能です。
車重の重いヴォクシーハイブリッドの場合は、JATMA、ETRTO規格共に適正空気圧より10kPaぐらい高めに入れておくと少し燃費を向上させる事ができます。
ポータブル電源を搭載する
ハイブリッド車を購入した意味が無いと思われるかもしれませんが、駐車中にポータブル電源を使用して、走行中に使用した分を100Vコンセントで充電をするような使い方をするのもオススメです。
車中泊での暖房の使用や電化製品を使用した時にもエンジンを始動させる必要も無くなりますし、いざという時は非常用電源として活用を出来るので、1台ぐらいは所有しておくのも良いでしょう。
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それが分かっていて何故ハイブリッド車を購入したのか?
基本的に深夜に移動して朝から夜まで活動して宿を取るだけ無駄になってしまう事が多く、必然的に車中泊になってしまう事が増えてきていたのです。
その時に100Vコンセントも使用する予定があったのと、旅行の時にステーションワゴンに5人乗っての旅行は厳しくなっていたので、ヴォクシーハイブリッドという選択肢になりました。
なので、ハイブリッド車の差額分の元を取るという考えを、実はしていなかったりしますが、過去10年間の車の使い方が移動式オフィス兼機材運搬車みたいな感じになっていたので、その利便性を高められるベース車両として選んでおります。
とは言っても、もう少し走行性能が高くて室内長が長かったら良かったという感じではありますが・・。
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