Adobe Lightroom Classic CCやPhotoshop CCのAdobe Camera Rawに追加された「ビンテージプロファイル」は、写真の色調やコントラストを調整し、フィルム写真のようなレトロな雰囲気を表現できる機能です。
今回は、2018年4月のアップデートで追加されたビンテージプロファイル01〜10について、実際のRAW現像で写真の仕上がりがどのように変化するのかを比較しました。宮城県名取市の熊野那智神社から撮影した夜景写真とカラーチャートを使用し、それぞれの発色、彩度、明暗の階調、コントラストの違いを詳しく検証しています。
ビンテージ プロファイルが使えるようになった!
2018年4月、Adobe Lightroom Classic CC、Lightroom CC、Adobe Camera Rawのアップデートによって、写真の色や階調を決定するプロファイル機能が大幅に強化されました。
従来のAdobe Standardなどに加え、新たに6種類のAdobe Rawプロファイルと40種類以上のCreativeプロファイルが追加され、写真の仕上がりを幅広く選択できるようになりました。
Creativeプロファイルには、アーティスティック、白黒、モダン、ビンテージの4つのカテゴリーが用意されており、それぞれ異なる色調や雰囲気を写真に与えることができます。
これまでフィルム風やレトロ調の写真を仕上げるには、トーンカーブやHSLによる細かな調整、あるいはサードパーティ製のプリセットなどを活用する方法が一般的でした。しかし、今回のアップデートによって、Adobeが標準で用意したビンテージプロファイルを選ぶだけでも、独特の色彩表現を手軽に楽しめるようになりました。
また、CreativeプロファイルはRAWデータだけでなく、JPEGやTIFF形式の写真にも適用できます。通常の現像パラメーターを直接書き換えるプリセットとは異なり、プロファイル自体の適用量を調整できるため、好みの色調に合わせた仕上げも可能です。
それでは、Lightroomのビンテージプロファイルを適用すると写真の色がどのように変わるのか、実際の比較画像とカラーチャートを使って確認していきます。
カメラマッチング 人物


今回の比較には、宮城県名取市にある熊野那智神社の境内から撮影した夜景写真と、色の変化を確認するためのカラーチャートを使用しました。
熊野那智神社は、名取平野や仙台市方面の美しい夜景を望める撮影スポットとして知られています。明るい街の光と暗い背景が共存する夜景写真は、プロファイルによるハイライトやシャドウの変化を比較するのに適した被写体です。
比較の基準には、ニコンD7500のカメラマッチングプロファイル「人物」を使用しています。カメラマッチングは、カメラメーカー独自のピクチャーコントロールなどの色調をAdobeのRAW現像環境で再現するためのプロファイルです。
この基準画像に対してビンテージ01〜10を順番に適用し、実際の風景写真とカラーチャートの両方から、発色や明暗の変化を比較していきます。
ビンテージ01


ビンテージ01は、元画像と比較して暗部が引き締まり、全体的にコントラストの高い写真に仕上がるプロファイルです。
特にシャドウ部分の明るさが抑えられることで、夜景の光が際立ち、メリハリのある印象になります。一方、色相の変化は比較的控えめで、元の写真が持つ色彩の雰囲気を大きく変えずに仕上げられる点が特徴です。
ビンテージ特有の極端な色調変化を避けながら、写真に重厚感や引き締まった印象を加えたい場合に使いやすいプロファイルだと感じました。
ビンテージ02


ビンテージ02は、コントラストの変化が比較的小さく、写真全体に青みを加えたような寒色系の仕上がりが特徴です。
ビンテージ01のように暗部を強く引き締めるのではなく、元画像の明暗のバランスを大きく崩さずに、落ち着いた色調へ変化させる印象があります。
カラーチャートを見ると、中間調付近では色の変化が比較的穏やかで、明るさによって効果の現れ方に違いがあることが分かります。
青みを帯びた静かな雰囲気を表現できるため、夜景や薄暗い室内など、寒色系の色彩を生かした写真に適していそうです。
ビンテージ03


ビンテージ03は、やや高めのコントラストに加え、写真全体が紫がかった淡い色調へ変化するプロファイルです。
ビンテージ01や02と比較すると色彩の変化が大きく、元画像とは異なる独特の雰囲気が生まれます。彩度が抑えられたような落ち着いた発色と紫系の色かぶりによって、古いフィルム写真を思わせる仕上がりになります。
自然な肌色や植物の色を忠実に再現したい写真にはあまり向かない印象ですが、歴史的建造物や古い街並み、レトロな景観などには相性が良さそうです。
色の正確さよりも写真全体の雰囲気を重視したい場合に、面白い表現ができるプロファイルだと感じました。
ビンテージ04


ビンテージ04は、写真全体にブラウン系の色調を加え、セピア調に近いレトロな雰囲気を作り出すプロファイルです。
特にシャドウ部分への色の変化が印象的で、暗い領域に暖色系の色合いが加わることによって、通常のカラー写真とは異なる独特の温かみが生まれます。
単純に写真を茶色一色に変換するセピア加工とは異なり、元画像の色彩を残しながらブラウン系の雰囲気を強調できる点が特徴です。
古い写真や懐かしい風景を思わせる表現に向いており、木造建築や歴史ある街並みなどを撮影した写真に適用すると、味わい深い仕上がりが期待できそうです。
ビンテージ05


ビンテージ05は、中間調の明るさを抑えたような落ち着いた階調表現と、全体的に低めの彩度が特徴です。
トーンカーブで中間部分を下げたような暗めの仕上がりとなり、鮮やかな色彩を控えることで、写真に渋さや重厚感が生まれます。
カラーチャートでも、色の鮮やかさが抑えられているように見え、派手さよりも静かな雰囲気を重視した色調になっています。
古い建造物や石畳、歴史的な街並みなど、質感や落ち着いた色彩を生かした風景写真との相性が良さそうです。彩度を抑えたフィルム風の写真に仕上げたい場合にも適していると感じました。
ビンテージ06


ビンテージ06は、ハイライト側のコントラストが比較的穏やかな一方、シャドウ側では明暗の差が強調されるような仕上がりになります。
特に暗い部分が引き締まる傾向があり、もともと明暗差の大きい夜景写真では、暗部のディテールが見えにくくなる場合があります。
反対に、明るさの差が少ない風景や、全体的に柔らかな光で撮影した写真であれば、適度なメリハリを加える効果が期待できそうです。
写真のシャドウをどの程度暗く見せたいかによって印象が大きく変わるため、被写体や撮影時の露出に合わせて使い分けたいプロファイルです。
ビンテージ07


ビンテージ07は、映画のカラーグレーディングで知られる「ティール&オレンジ」を思わせる色彩表現が特徴的なプロファイルです。
寒色系と暖色系の対比が印象的で、通常のRAW現像とは異なる、映画のワンシーンのような雰囲気を演出できます。
また、シャドウとハイライトの階調にも強い変化が見られ、暗い部分と明るい部分が大胆に整理されたようなコントラストのある仕上がりになります。
自然な色再現を重視する風景写真には好みが分かれそうですが、映画風の色調を生かした夜景や都市景観、ドラマチックな雰囲気の写真では魅力的な効果が得られそうです。
ビンテージプロファイルの中でも、色彩による演出効果を強く感じられる設定の一つでした。
ビンテージ08


ビンテージ08は、シャドウ側にオレンジ系の色調を加え、中間調からハイライトにかけて青みを帯びた色へ変化させるプロファイルです。
カラーチャートでは、最も明るい白色部分への影響は比較的小さく、明るさによって色の変化が異なる様子が確認できます。
また、暗部から中間調にかけては、明るさがわずかに持ち上がったような印象があり、シャドウを極端に引き締めるタイプとは異なる階調表現になっています。
暖色と寒色を組み合わせた独特の発色によって、夜景や街並みなどの写真に奥行きのある雰囲気を加えられそうです。色の変化を楽しみながら、比較的柔らかな階調に仕上げたい場合にも使いやすいと感じました。
ビンテージ09


ビンテージ09は、ハイライト側にブルー系、シャドウ側にオレンジ系の色調が加わるような、寒暖の色彩対比が特徴です。
ビンテージ08と似た傾向が見られますが、こちらは寒色系の色にも赤みが加わったような変化があり、青や緑の発色が元画像とは異なる印象に仕上がります。
明るさによる色調の変化に加え、特定の色相にも影響が及んでいるように見えるため、写真全体のカラーバランスを積極的に変化させたい場合に適していそうです。
自然な発色を忠実に残すというよりも、暖色と寒色の組み合わせによって独特の世界観を表現できるプロファイルだと感じました。
ビンテージ10


ビンテージ10は、無彩色の明るさや色調には大きな変化を与えず、特定の色相や彩度を調整したような仕上がりになるプロファイルです。
カラーチャートを見ると、赤系の彩度が高くなったように感じられる一方、青系の色相にも変化が見られます。LightroomのHSLパネルで個別の色を調整したような印象で、写真全体を単純に暖色や寒色へ変化させるタイプとは異なります。
元画像の明暗の雰囲気をある程度維持しながら、一部の色彩にアクセントを加えられるため、被写体によっては印象的な仕上がりが期待できそうです。
個人的にも好みの色調で、今回比較した10種類の中では、比較的使いやすいプロファイルの一つだと感じました。
まとめ
今回、Adobe Lightroomのビンテージプロファイル01〜10を比較してみましたが、同じRAWデータを使用していても、選択するプロファイルによって写真の色調やコントラストが大きく変化することが分かりました。
比較画像では、左側が元画像、右側がビンテージプロファイルを適用した写真となっています。
それぞれのプロファイルには、暗部を引き締めてメリハリを強調するもの、彩度を抑えて落ち着いた雰囲気に仕上げるもの、セピア調や寒暖の色彩対比によって独特の発色を生み出すものなど、異なる特徴が見られました。
特に印象的だったのは、薄暗い夜景や古い建造物などの写真に適用すると、デジタルカメラで撮影した画像にも、フィルム写真のような懐かしさやレトロな雰囲気を加えられることです。
一方で、ビンテージプロファイルは色相や彩度を意図的に変化させるため、自然風景の色彩を忠実に再現したい場合や、正確な色が求められる写真には必ずしも適しているとは限りません。
ただし、LightroomやAdobe Camera Rawではプロファイルの適用量を調整できるため、効果が強すぎる場合には控えめにすることも可能です。元の写真が持つ雰囲気を残しながら、少しだけフィルム風の色調を加えるといった使い方もできます。
RAW現像では露出やホワイトバランス、トーンカーブなどの調整に注目しがちですが、プロファイルの選択だけでも写真の印象は大きく変わります。
昔のフィルムカメラで撮影したような写真や、オールドカメラ風のレトロな色彩表現を楽しみたい方は、ビンテージプロファイルを試してみると、普段とは違った写真の魅力を発見できるかもしれません。







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