2011年に水冷自作パソコンを製作してから、マザーボードやCPUなどPC内部のパーツを交換しながら今まで稼働を続けていたのですが、ついに最後の一つのパーツとなったATX電源ユニットが故障しました。この記事ではATX電源が故障する前兆に気付いた所から新しい電源に交換をするまでの事を記事にいたします。
記事内の目次
ついにATX電源が故障!新しい電源を購入して安定稼働するまで
過酷な条件でも約11年間稼働していたCorsair製ATX電源
オーバークロックや暗号資産のマイニング、映像編集においては2日間連続でエンコードしっぱなしなどの、割と過酷な条件下でありながら約11年間耐え続けていたパーツが、将来的な拡張を見据えて導入した80 Plus Silver認証のCorsair(コルセア)製大容量ATX電源ユニットAX1200です。
正直言えば紛れもないほどのオーバースペックなATX電源ではありましたが、80 Plus認証電源の変換効率が一番高い50%前後でエンコード出来る点では、電力消費量と電気代の面で少なからずメリットにはなっていました。
また、1.2kWの電源容量を使い切れないほどのハイスペック大容量電源だったため、エンコード時などの負荷が高い時にしか空冷ファンが稼働しない、セミファンレス仕様ATX電源としても運用が出来たのです。
その結果、本来であれば寿命が2年から5年とも言われるATX電源を、およそ2倍から5倍の11年という長期間の運用が出来ていたので、実際に使用する電力の2倍ほどのオーバースペック電源でも問題はなく、長く使い続ける事が出来たというメリットもありました。
そして、当時としてはまだ希少だった、フルモジュラー式のケーブルの採用で、スペースに限りがあるPCケース内の取り回しがしやすかったというメリットもありました。
OSを起動しても負荷をかけると落ちる故障の前兆
映像を書き出していると突然ブルースクリーンが表示されて再起動がかかる頻度が突然多くなってきたので、通称KP41病でユーザーを悩ませたKernel-Power 41エラーを疑いましたが、グラフィックドライバーとBlackmagic DaVinci Resolve Studioをアップデートした後の事で分かりにくかったけど、実際にKernel-Power 41エラーも記録されています。
またかと思いつつも、CPUの熱暴走も疑っていたので、オーバークロックで運用していたCPUとDRAMを定格に戻して様子を見てみます。
負荷をかけた時の温度を確認しようと思ってASUSマザーボードの監視ソフトであるAI SUITEを起動してみると、KP41の記録とBSOD落ちの原因がすぐに判明いたしました。
負荷をかけていない状態でも全ての電圧が低下して、正常に動作している定格出力電圧よりも0.3V低い値が表示されており、当然の事ながらCPUとGPUに負荷をかけるような作業を行うと、さらに電圧が低下してブルースクリーン表示に至っておりました。
連日30度を超す気温が高い日が続いていたため、ATX電源が夏の暑さに負けて一気に寿命に近づいた可能性が濃厚になった事から、後日ATX電源の交換を行ってみました。
新しい電源はCorsair製!しかもオーバースペックに懲りず再び1200W
オーバースペックとは分かっていながらも、今回導入したのがCorsairのATX12V v2.4とEPS12V v2.92に準拠したHX1200というモデルのATX電源です。
AX1200はどうだったか覚えていないが、耐久性によっぽど自信があるのか、10年間のメーカー保証が付いているらしい。
しかも電源変換効率が良い80PLUS PLATINUM認証電源で、低負荷時では90%以上、50%負荷時の電源変換効率は92%以上を達成した省エネ効果も高いATX電源なのです。
CORSAIR HX1200 1200W PC電源ユニット [80PLUS PLATINUM] RTX4090/4080シリーズ推奨電源 PS677 CP-9020140-JP
交流115V入力時の変換効率のグラフを見る限りでは、システム負荷30~50%をピークに低負荷側と高負荷側では最大で2%から3%ほど変換効率が下がっております。
単純計算では、PCの内部の消費電力が400w程度から600Wまでの時にCorsair HX1200の電源変換効率が高く、電源の容量ギリギリで運用するよりも約2%から3%の省電力効果も狙えます。(80PLUS PLATINUM認証電源使用時)
また、消費電力が少ない低中負荷動作時は、ファンが回らないセミファンレス仕様ATX電源として運用する事も出来るので、電源出力40%以内で動作する自作パソコンであれば、完全ファンレスの無音電源ユニットとしても活用する事ができるのです。
電源本体と付属品
HX1200のサイズは、幅150mm×高さ86mm×奥行き200mmで、通常の小容量から中容量のPC電源よりも前後方向の奥行きが40mm長くなっておりますので、ミドルタワーケースからフルタワーケースへの取り付けが推奨される大きさです。
Corsair製の大容量電源を選ぶもう一つの理由は、付属するモジュラーケーブルとコネクターの多さも選定基準になっており、使いたいケーブルだけを接続して、内部をスッキリと見せたいようなゲーミングPC自作派にはオススメの1台です。
HDD6台とBDドライブ、そして外付け水冷ユニットなどを組んだ自作パソコンで運用をしているのですが、AX1200同様に余るぐらいのモジュラーケーブルが付属してくるのが、自作派にとってはとてもありがたい話。
HX1200に付属するモジュラーケーブルの本数と種類は以下のようになっております。
ケーブルの種類 | 本数 | ケーブルあたりのコネクター数 | 長さ |
ATXケーブル (20+4 24ピン) | 1本 | 1個 | 610mm |
EPS12VCPUケーブル (4+4 8ピン) | 2本 | 1個 | 610mm |
PCIeケーブル (6+2 8ピン) | 6本 | 1個 | 610mm |
SATAケーブル | 3本 | 4個 | 750mm |
2本 | 2個 | 500mm | |
周辺機器用ケーブル | 3本 | 4個 | 750mm |
FDDケーブル | 2本 | 1個 | 101mm |
レーンを選択可能なスイッチと豊富なコネクター
ペリフェラル4pinとSATA電源兼用のコネクター6か所と、PCIeと8Pin CPU補助電源兼用のコネクターポートが6か所もありますが、SATA用の電源ケーブルは一本につき4個のSATAコネクターが取り付けられているので、合計で最大24台のHDDを取り付けられる計算になります。
そしてCorsair AX1200の12Vはシングルレーンのみの出力だけでしたが、HX1200ではシングルレーンとマルチレーンをスイッチで切り替えられるようになりました。
マルチレーンは、各コネクターに保護回路が備わっている代わりに、特定のレーンのみでRAIDを組むような使い方をした時に、複数のHDDが同時に読み書きを始め、一時的に過大な電流が流れて保護回路が働いてしまう事もあります。
その際はシングルレーンに切り替えて運用をすれば回避できる事でもありますが、保護回路が働くような大電流が必要になった時に他のハードウェアも一緒に巻き込んで落ちてしまうリスクもあります。
HX1200の+12Vのマルチレーンは1レーンにつき最大40Aまで流す事が出来るので、よっぽどの事が無いと最大出力電流を超える事も無く、全てのストレージが同時に動いてしまうような時にも、特定の電圧だけが電力不足となってしまう事もありません。
RAID環境を構築していても、シングルレーンに切り替えて運用をする必要は無いとは思いますが、マルチレーンに対応した大容量ATX電源の中には1レーンあたりの最大出力電流が極端に低い製品もあるので電源選びの際は注意が必要です。
交換した後の満足感は無いけど
ファンも含めてライティング機能が備わっていないので、PCに取り付けた時の満足感は得られない部分はありますが、高耐久大容量の信頼性と安心感があってこそのとても大切なパーツなのではないかと思います。
PCケースの上部にATX電源を取り付けるタイプではなく、下に取り付けるタイプのケース構造になっていたため、部分的にケーブルの長さがぎりぎりになるような不都合な点もありますが、通常の配置であれば問題ないぐらいの長さのケーブルが付属しています。
電源交換後は電圧が安定するようになりました。
イベントログ上では、春ごろからKP41以外にも沢山のエラーが表示されていたため、もっと早い段階でATX電源が不調を訴えていたとは思われますが、ついに今年の夏の暑さに耐えきれなくなって寿命を迎えてしまったようです。
多少は定格の電圧よりも低く表示されてはいますが、GPUとCPUをオーバークロックして4時間ほど動画をエンコードし続けても、これ以上は電圧が下がる事はなく、今まで記録されていたエラーも全く無くなりました。
今までAdobe Premiere proでCPUの使用率が極端に低い時もありましたが、今回電源を交換した後からはその症状も無くなっています。
少々大きな出費になってしまいましたが、酷使され続けてきた電源が11年間も稼働し続けていた事を考えると、高い買い物では無かったようにも思えます。
回し者ではないのですが、10年間の保証付きで故障しにくく、電源変換効率が良い80PLUS PLATINUM認証のCorsairのATX電源、HX1200は本当にオススメです。
Corsair HX1200の購入はこちら。
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現在はHX1200iが事実上の後継機種になっているため、同じ性能を求めるならそちらの購入がオススメです。
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