動画編集ソフトウェアなど、VRAM容量を大量に使用するPC作業に適した12GBのGDDR6ビデオメモリーとNVIDIA製GPUを搭載する、比較的低価格なグラフィックボード「ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Edition」のレビューです。
- microATXマザーボードよりも短いASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionのサイズ
- ステンレスマウントブラケットと8K HDRにも対応する4つのディスプレイ出力
- コンパクトサイズにNVIDIA GeForce RTX3060と12GB VRAMを搭載
- Axial-techファンを2基搭載した冷却性能
- 動画編集と書き出しは4Kでも割とスムーズ
- 動画編集でRTX 3060 12GBとRTX 4060 Laptop GPUを比較
- FF15のベンチマーク結果はRTX4060と2070Sより下か同等ぐらい
- ライブ配信用エンコーダーNVENCも搭載
- 3060はLHR版なので仮想通貨のマイニングには不向き
- 予算を抑えたいゲーマーや映像制作者向け
- ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionのスペック
microATXマザーボードよりも短いASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionのサイズ
ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionのサイズは、長さ20cm×幅12.3cm、厚さ3.8cmで、グラフィックボードの搭載スペースが確保されていれば、Mini-ITXやmicroATX対応のコンパクトな自作PCケースにも取り付けられる2スロット占有タイプのグラフィックボードです。
フロントパネル側にHDD取り付けスペースがあるミドルタワーPCケース「Antec Nine Hundred Two」では、ATXサイズのマザーボードよりも全長が44mm短く収まっています。
マザーボードよりも長いグラフィックボードでは、フロントパネル側に取り付けたハードディスクのコネクターと干渉してしまうこともあったので、メンテナンス性を損なわない、ちょうど良いサイズ感だったと思います。
ステンレスマウントブラケットと8K HDRにも対応する4つのディスプレイ出力
従来はメッキ加工されたものが多かったマウントブラケットですが、ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionでは耐腐食性の高いSUS304ステンレスを採用しており、湿度が高い場所で長期間使用した場合にも錆の発生を抑えられます。
また、DisplayPort 1.4aを3ポート、HDMI 2.1を1ポート備え、最大4台のディスプレイに映像を出力できます。いずれの規格も、対応するディスプレイとの組み合わせで8K映像やHDR映像の出力をサポートしています。
※DisplayPort 1.4a+DSCでは最大4K・12ビットHDR・240Hz、DisplayPort 1.4a+DSCまたはHDMI 2.1+DSCでは最大8K・12ビットHDR・60Hzをサポート。
コンパクトサイズにNVIDIA GeForce RTX3060と12GB VRAMを搭載


NVIDIA Ampereアーキテクチャを採用したGeForce RTX 3060を搭載し、ブーストクロックはGaming Modeで1837MHz、OC Modeでは1867MHzに設定されています。
microATXマザーボードよりも短いコンパクトなサイズでありながら、動作クロックを標準仕様よりも高めたOCエディションに位置付けられており、一般的なRTX 3060と同等以上のGPU性能が期待できます。
また、12GBの大容量VRAMを搭載しているため、ビデオメモリーを大量に消費する動画編集ソフトウェアのレンダリングや3DCGの描画などで有利になります。
Axial-techファンを2基搭載した冷却性能
冷却機構には、ファンブレードの周囲にバリアリングを備えたAxial-techファンを2基搭載し、直進性と風圧を高めた空気をヒートシンクに吹き付けることで、高負荷時に発生する熱を効率よく排出します。

私のミドルタワーケースでは、電源ユニットとグラフィックボードの間に熱だまりが発生して常時ファンが回りっぱなしになっていたので、ケース内のエアフローによっては同じような現象が発生する可能性もあります。
室温にもよりますが、GPU使用率が100%近い高負荷状態でも、冷却ファンの回転数を自動調整しながらGPU温度は75℃前後で安定し、今回の使用環境ではオーバークロックしても80℃以上に上昇することはありませんでした。
これが、直進性と風圧を高めた空気をヒートシンクに吹き付けるAxial-techファンの強力な冷却効果なのでしょう。
また、実際に使用しているATXケースでは、グラフィックボードのファン音はケースファンの動作音に埋もれる程度でさほど気にならず、比較的静かな方だと思います。
動画編集と書き出しは4Kでも割とスムーズ
8GBのビデオメモリーを搭載したRTX 2070 SUPERでは、RAWデータやApple ProRes、Avid DNxHRなどの映像フォーマットの編集や4K以上での書き出しで、メモリー容量不足のエラーが発生したり、十分な書き出し速度が出なかったりすることもありましたが、RTX 3060ではカラーグレーディングやスタビライズ処理などを重ねても、十分な速度を保ったまま4Kや6Kの高精細映像を書き出せるようになりました。
4KのAvid DNxHR HQで長さ30秒ほどの映像クリップをMOV形式のH.265で書き出したところ、最大115fpsの書き出し速度で、約9秒で処理を終えることができました。
BMPCC6KのBlackmagic RAW Filmで撮影した1分の映像クリップを、SDR Rec.709のMP4・H.265形式で4Kから6Kの解像度に書き出したところ、平均42fps、約1分13秒で処理を終えられましたが、書き出し中のビデオメモリー使用量は9GBに達しました。
書き出す解像度を4Kから6Kまで変更して所要時間を比較してみましたが、VRAMの残容量に余裕があれば、いずれの解像度でも書き出し速度に大差は生じませんでした。
6KのBlackmagic RAWにカラーグレーディングとNeat Videoによるノイズリダクション処理を行い、4K HEVC Main 10 HDRで書き出すと約4fps、5Kや6Kになると1~3.5fpsの書き出し速度になります。
ノイズリダクションやオプティカルフロー+スピードワープを使用すると、5K以上では処理が難しくなるほど速度が低下しますが、4Kまでであれば時間はかかっても書き出すことができます。
GPUの描画性能ではRTX 3060と同等以上となる場合もあるRTX 2070 SUPERですが、VRAM容量は8GBのため、容量不足のエラーでノイズ軽減処理を行えないことがありました。8GBから12GBにVRAM容量が増えただけでも、扱える映像はだいぶ多くなりました。
GPUの性能ばかりに目を向けがちですが、作業内容によってはビデオメモリーの容量も軽視できないのだと感じさせられます。
動画編集でRTX 3060 12GBとRTX 4060 Laptop GPUを比較
RTX 3060を搭載したデスクトップPCと、RTX 4060 Laptop GPUを搭載したゲーミングノートパソコン「Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJP」で同じ処理を行って書き出し速度を比較すると、1世代後のRTX 4060 Laptop GPUを搭載したノートPCの方が4~5fpsほど遅い結果となりました。
RTX 4060 Laptop GPUのCUDAコア数は3072基で、RTX 3060の3584基より512基少なくなっています。今回のDaVinci Resolveを使用したHEVC Main 10 HLGの書き出しでは、RTX 3060 12GB搭載PCの方が高速でしたが、CPUやGPUの動作条件も異なるため、速度差がCUDAコア数だけによるものとは限りません。
一方、ノイズリダクションプラグインNeat Videoを適用したクリップの書き出しでは、第8世代と第13世代Intel CPUの性能差も影響したと考えられ、RTX 3060搭載PCが5~5.5fpsだったのに対し、RTX 4060 Laptop GPU搭載PCでは6~6.5fpsの書き出し速度となりました。
DaVinci Resolveでは、VRAMが不足するとビデオメモリー容量エラーで映像を書き出せなくなることもあるため、重い処理を重ねた高解像度の映像では、8GBのRTX 4060 Laptop GPUよりも12GBのRTX 3060の方がメモリー不足に陥りにくい点がメリットになります。
FF15のベンチマーク結果はRTX4060と2070Sより下か同等ぐらい
すでにRTX 2070 SUPERは手放しているので記憶の中での比較となりますが、FF15ベンチマークの4K高品質設定ではRTX 2070 SUPERの方が同等か上の結果だったため、GPU性能が重視されるゲームやソフトウェアでは、RTX 3060の方が10%近く性能が低いと感じることもあると思います。
VRAM容量よりもGPUの処理性能を重視するソフトウェアやゲームで使用するのであれば、RTX 2070 SUPERよりも高いスコアが期待できるRTX 3060 Tiか、それ以上のグラフィックボードをオススメします。
動画の書き出しではRTX 3060搭載PCの方が高速だった一方、FF15ベンチマークの4K高品質設定では、RTX 4060 Laptop GPU搭載PCがRTX 3060搭載PCよりも400ポイント高いスコアを記録しています。
低解像度の画像を高解像度にアップスケールしてフレームレートを伸ばすDLSSを有効にすると、さらに差が開き、RTX 3060搭載PCの5760ポイントに対してRTX 4060 Laptop GPU搭載PCは6522ポイントまでスコアを伸ばしました。
どちらもRTX 30シリーズと40シリーズの比較的低価格なモデルですが、VRAM容量とCUDAコア数が多いRTX 3060はメモリーを大量に使用する動画編集で有利な一方、クロック周波数とL2キャッシュが大幅に増えたRTX 4060 Laptop GPUは、今回のゲームベンチマークで高い性能を発揮する結果となりました。
ライブ配信用エンコーダーNVENCも搭載
映像のエンコードを行う専用回路「NVIDIA Encoder(NVENC)」を搭載しており、OBS Studio(Open Broadcaster Software)やXSplitなどのライブ配信ソフトウェアでは、CPUへの負荷を抑えながら高品質なライブ配信を行うことができます。
RTX 3060はNVENCによる高圧縮映像フォーマットHEVCを使用した配信にも対応しているため、配信先がHEVCに対応していれば、H.264よりも低いビットレートで画質を維持しやすく、回線速度が遅くネットワークが不安定になりがちな場所でのライブ配信にも役立ちます。
本製品ではNVENCによるH.264とHEVCのエンコードが使用できますが、より高い圧縮効率が期待できるAV1のハードウェアエンコードはRTX 40シリーズからの対応となり、RTX 30シリーズはAV1のデコードのみ対応しています。
3060はLHR版なので仮想通貨のマイニングには不向き
取引などのデータをブロックチェーンに記録し、その報酬として仮想通貨を得るマイニングのブームによって、マイニングに使用するグラフィックボードの品薄と価格高騰が続いたことがありましたが、ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionは、特定のマイニング処理の計算速度を制限するLHR版(Lite Hash Rate版)となります。
マイニングを行う人が購入する動機を弱め、ゲーマーや動画編集者にも製品が行き渡りやすくなることを狙った仕様ですが、実際の販売価格は当時の市場状況にも左右されます。
予算を抑えたいゲーマーや映像制作者向け
ASUS デュアル RTX3060 OC 12GB GDDR6 PCIE 4.0 HDMI 2.1 3XDP 1.4A V2
RTX 40シリーズやRTX 3060 Ti以上のグラフィックボードの価格がなかなか下がらない状況ですが、ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionは、GPU自体の性能が特別高いわけではないものの、PCI Express 4.0×16に対応し、これまで8GBのビデオメモリーでは足りないと感じていたゲーマーや映像制作者にはオススメできるグラフィックボードです。
記事執筆当時の価格は45,000円から58,000円ぐらいで推移していたので、予算を抑えながら12GBのVRAMを確保したい方には、ちょうど良いスペックだと思います。
ただし、性能に対して価格が値上がり傾向にある点は気になるところです。
ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionのスペック
| アーキテクチャ | Ampere |
| GPU | GA106 |
| プロセス | 8nm |
| トランジスタ数 | GA106:132億 |
| ダイサイズ | GA106:276mm² |
| CUDAコア数 | 3584基 |
| Tensorコア | 112基 |
| RTコア | 28基 |
| GPU コアクロック | OC Mode – 1867 MHz (Boost Clock) Gaming Mode – 1837 MHz (Boost Clock) |
| VRAM メモリ規格 | GDDR6 |
| VRAM メモリ容量 | 12GB |
| VRAM メモリバス | 192bit |
| バンド幅 | 360GB/s |
| メモリスピード | 15Gbps |
| インターフェイス | PCI Express 4.0×16 |
| NVIDIA NVLink | 非対応 |
| 最大デジタル解像度 | 7680×4320 |
| 標準ディスプレイ コネクタ | HDMI 2.1×1・Display Port 1.4a×3 |
| マルチモニター表示 | 最大4 |
| HDCP | 2.3 |
| AV1デコード | 〇 |
| AV1エンコード | × |
| NVIDIAエンコーダー | 第7世代 (RTX20と同等) |
| NVIDIAデコーダー | 第5世代 (RTX40と同等) |
| 占有スロット数 | 2 |
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動画編集向けにRTX 3060をご紹介している記事です。
























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