2011年3月11日に発生した東日本大震災で被災した事と家屋全壊を振り返り

宮城県仙台市蒲生地区の津波発生時に燃えた車両

2011年3月11日に東北地方と関東地方を襲った東日本大震災で多くの人命が失われて、沿岸部の多くの住宅は大津波の被害を受けて全壊になる、未だに経験した事の無い自然災害に見舞われました。
私自身も津波被害を受けて被災しておりますが、今まであまり話をした事が無かった当時の事について振り返る事にしました。

2011年3月11日当日の地震発生時の事

東日本大震災当時は、職場からも近かった仙台市宮城野区蒲生北部地区という地域に住んでおりました。
仙台港南側と七北田川に挟まれた沿岸部の地域で、三井アウトレットパークなどの大型商業施設が近隣にあり、サーフ・岸壁・堤防・ルアー釣りなどが出来る釣りスポットの他、野鳥が飛来する蒲生干潟がある事で知られています。

蒲生地区に移り住んで3年ほどでしたが、散歩のついでに立ち寄れるような海や川や公園もあって、心を落ち着かせる自分の場所を作るには最適な住宅地だったと思います。
今思えば2010年2月27日に発生したチリ大地震で大津波警報と避難指示が出た時点で、引っ越す事も考えておいた方が良かったような気もしますが、まさかその後に大地震と大津波に襲われるとは思ってもいませんでした。

2011年3月11日は、いつものように職場で勤務をしていましたが、14時46分に体がフラフラしているような揺れが突然大きくなり、目に映る全ての物が歪んで見えるような錯覚に襲われるほどの大地震が発生しました。
職場自体は倒壊を免れたものの、ライフラインがほとんど止まってしまった事と、大津波警報の発令で、次回出勤日を未定にしたまま避難命令が下されました。

素直に近隣の指定避難場所に逃げ込むか、七北田川の堤防道路を通って内陸側に逃げるか迷っていましたが、蒲生地区の避難場所になっていた中野小学校が2階まで浸水していた事を後に知ったので、七北田川を内陸に向けて避難していたのは正解だったと思います。

蒲生地区の津波被害と火災の痕跡

東日本大震災から数日が経過してから蒲生地区の様子を記録した映像となりますが、堤防上に瓦礫が上がって避難途中だったと思われる自動車は路上で停止した状態で、その一部は津波警報の解除を待って確認をしにきた人の車両だと思われます。
居住地区は完全に浸水して一部地域からは煙が上がり、堤防を降りる事が出来るようになるまでは、数日かかるだろうという所までは確認が出来ました。

使える家財を引き上げるために自宅の様子を確認したのは約3日後の事で、想像以上の被害に唖然とさせられました。
宮城県仙台市蒲生地区の津波被害を受けたアパート
筆者は1階に住んでいましたが、引き波の時に瓦礫がぶつかって壁が破損した形跡が残り、2階部分は火災で壁と屋根が焼失している状態です。
その後聞いた話では、一階が完全に浸水するほどの津波が襲っている時に火災も同時に発生していたため、2階の燃え方が酷かったとの話でした。

宮城県仙台市蒲生地区の津波発生時に燃えた車両
元々一軒家が数件建っていたはずの場所には、一晩中燃えていたという証言がある自動車や瓦礫が残り、住居が建っていた形跡は全く残されておりませんでした。
七北田川の堤防から見えていた煙は、ここに溜まっていた車両が燃えていた時のものだったのでしょう。

宮城県仙台市蒲生地区の津波の痕跡が残された自宅室内
自宅アパートの室内を確認すると、冷蔵庫が横倒しになって、全ての家財が浸水または流失の被害を受けておりました。
テレビ台の上に冷蔵庫が載っているのは、南側の窓や壊れた壁から津波が入って北側に流されたからなのだと思われますが、北の仙台港側よりも南の七北田川方面の方が被害が甚大です。

宮城県仙台市蒲生地区の津波の痕跡が残された自宅室内キッチンの様子
キッチンも津波被害を受けた痕跡はあるものの、水に浮き上がった流し台などの軽い物が倒れた程度の被害がありました。
室内全体としては一番被害が少なかった箇所だったと思われます。

宮城県仙台市蒲生地区の津波の痕跡が残された和室

津波の高さと思われる痕跡が残された和室の高さは地上から約3メートルほどで、7メートルを超えたとされる仙台港周辺の津波の高さとは大きな違いがありました。
2メートルぐらいの高さだったという話や、2階までは浸水しなかったという証言が多かったので、沿岸部でも仙台港や地区内にある中野小学校よりは水位が低かったのだと思われます。

蒲生地区内でも蒲生干潟に近い東側は、基礎を残して住居が完全に流失するほどの甚大な被害を受けている様子も見受けられました。

仙台市宮城野区蒲生地区の津波被害の様子
タイヤとホイールが無い車は、近所にあった整備工場から流されてきた車両の可能性もありますが、給油口が開けられた車両も見受けられたので、火事場泥棒は蒲生地区にも来ていました。
使えそうな家財を引き上げたのは3日後の話でしたが、これらの写真を撮影したのは震災発生から1か月後の事なので、ガソリンが入手困難だった頃には既に荒らされていたのでしょう。

ライフラインが復旧するまでの参考に

生活に関する事

実家が名取市の浄水場から直線距離で2km以内の位置にあった事、ガスの供給元が町内で管理するプロパンガスであった事から、ライフラインの中で完全に供給が止まっていたのは電気のみです。

飲食物は1週間分をまとめて買う事が多かったため、冷凍食品、冷蔵が必要な食品の順番に消費し、元調理師だった父の知恵で、米はガスと石油ストーブを使って炊いていました。
炊飯器を使わない米の炊き方を知ったのは震災がきっかけなので、ライフラインが止まった時の調理方法はマニュアル化しておくのも良いと思います。

携帯電話の充電や小電力家電は、車載用AC/DCインバーターを自動車のバッテリーに直結して、エンジンを始動させないまま使用していました。
そのまま使用を続けていれば当然バッテリーも上がってしまうので、他車のバッテリーにブースターケーブルを接続して、エンジンの始動を確認できてしばらくしてから停止を繰り返していたのです。

分散備蓄の必要性

震災から1週間程度は、避難した時に来ていた衣類と当日着ていた作業着しか無かったため、避難所で事情を説明して受け取れるか確認をしたらダメとの返答でした。
避難所に入る必要があった方が優先になるので、仮住まいが見つかったような人は、救援物資を受け取れる対象にはしていないとの事です。

もし、自宅が全壊になるような被害を受けたら、避難先をどこにするか考えておいて、避難所以外を選択するなら避難予定先にも衣類等や非常用持ち出し袋を置く、分散備蓄を心がけておいた方が安心です。

指定避難場所の立地や地盤の確認

災害が起きてから指定避難場所を外れてしまった所もあるため、津波・崩落・増水などのあらゆる自然災害を想定して適切な避難場所を探す事も考えておいた方が良いでしょう。
自治体と一般企業が災害時応援協定を結んで、店舗屋上駐車場を緊急避難場所としている所もあるので、そちらの方が安全だと感じたら選択肢の一つとして考えておくのもオススメです。

家族の安否確認や連絡方法の共有

ネットワークの輻輳やサーバーのダウン、情報通信網のトラフィック制限で、一般利用者同士の連絡手段が一切途絶えてしまう事も充分考えられる事です。
東日本大震災発生後もほぼ全ての時間で通話が出来ない状態が続いていたので、安否確認をする方法や緊急時に集合する場所を事前に共有しておくのが良いでしょう。

現金の貯蓄の確認も

災害発生時に電力の供給や情報通信網が遮断されてしまった際に、オンライン決済サービスが停止してしまう事も想定されます。
タンス貯金をしたり、防災バッグに現金を入れておく事が緊急時の備えとして役立つ場合があります。
特に都市型の大災害が発生した際には、大規模なサービスの停止がある可能性まで考えておいた方が良いのかもしれません。

火災保険や地震保険の規約を確認する

居住区域が全壊認定地域となれば話が早く済む事もありますが、破損の程度によっては保険会社が保険金の支払いを渋って揉める事もあります。
罹災証明の取得や地震保険の保険金受け取りのために破損の状態を証明する写真が必要となる事もあるので、被災後に自宅の様子を確認できる状態になったら、片付けを行う前にすぐに写真を撮って保存しておくのが望ましいでしょう。

その後公費解体になりましたが、賃貸契約の解除後にも取り壊し許可書の提出が必要で、全員の書類が揃って取り壊されるまでは、2年近くかかっていたと記憶しています。

東日本大震災発生から変わった事とこれからの事

従来の防災グッズは生き延びるために必要なものではありますが、東日本大震災の頃からの技術の進歩が目まぐるしく、今まで容易でなかった電力の確保が個人でも出来るようになったのではないかと感じます。

ハイブリッド車の普及

東日本大震災の頃から変わった事と言えば、ハイブリッド車の普及で、家庭用電力を供給する選択肢が増えている事でしょう。
ハイブリッド車であれば、車内に搭載されたAC100V1500W出力のコンセントから直接電化製品に電力を供給する事ができますが、電気自動車やPHEV車はV2H(Vehicle to Home)機器を通じて、バッテリーに蓄えられた電力を家庭用電力として活用をする事も出来るのです。

特務機関NERV(ゲヒルン株式会社)がエクリプスクロスとアウトランダーPHEVを使用して災害対応のデモンストレーションを行っていた事がきっかけでしたが、その後にヴォクシーハイブリッドを購入して災害時の非常用電源として活用できるようにしていたのです。

ポータブル電源の大容量化

東日本大震災当時に非常用電源として活用できるのは発電機のみでしたが、その後に急速にシェアを伸ばしていったのが、保守やメンテナンスが容易なポータブル電源でした。
小電力家電の使用やスマートフォンの充電が可能な300W程度の製品であれば2万円台から購入が可能で、一般家庭の大部分の家電製品に電力が供給できる大容量高出力タイプは20万円から30万円程度で購入が出来るようになりました。

実際に災害が起きた時は、最低でも600Wから1500W以上のAC100V出力に対応したモデルは必要ですが、ハイブリッド車やソーラーパネルを併用して充電をすれば、停電時でも数日間は電力を利用できるはずです。

ポータブル冷凍冷蔵庫の活用

停電時の電力消費量を抑えるために、電力消費量が低いポータブル冷凍冷蔵庫を活用するのも一つの手段だと考えました。
買い物帰りに冷凍食品を入れて自宅まで運ぶために使用したり、夏場のアウトドアや旅行でも冷蔵や冷凍が必要な食品を持ち運ぶために活用をしていますが、最大60Wの消費電力で最低温度-20℃まで冷やす事ができるポータブル冷凍冷蔵庫を災害時に活用するのもオススメです。

IHクッキングヒーターとカセットコンロの活用

東日本大震災の時はガスの製造設備が損傷した事で、ガスの供給再開に12日ほどかかった地域が多くあり、被害が甚大だった地域は復旧まで1ヶ月以上の時間を要していました。
ガスが停止した時はカセットコンロを使用して調理をする事が出来ますが、復旧に時間がかかるとカセットコンロ用ボンベの需要が高まって、入手が難しかった記憶があります。

これから実際に災害が発生してしまうと、規制が行われる前に転売をするための買い込みが行われる事も考えられるため、ボンベを必要としない卓上用IHクッキングヒーターを使用してガスの復旧を待つ事も検討するのが良いでしょう。

防災マニュアルはアップデートが必要

阪神淡路大震災や東日本大震災、能登半島地震は全て性質が違う地震だったと思っているので、今まで存在している防災マニュアルが次の地震の参考になるとは限りません。
今まで見た事も経験した事も無い災害の時には混乱をしてしまう事もあるかもしれませんが、あらゆる可能性や避難経路を事前に確認しておいて、災害の規模に合わせて自分や家族が適切に身を守れる行動を取れる事が、一番大切なのではないかと思います。

大川小学校の悲劇を繰り返さないためにも、あらゆる可能性や被害を想定して、生き残った後の対策だけではなく、生き残るための対策を柔軟にアップデートしていく事も求められる時期ではありますし、日本国内に在留する外国人数も年々増えている傾向にあるので、今までの防災対策のままで治安を維持させられる事が出来るのかという疑問も投げかけた方が良いような気もしています。

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