車に乗せる人数や旅行やアウトドアなどの使い道、また最近高騰しているガソリン価格などを総合的に見て、ハイブリッドかPHEVのSUVかミニバンと考えていましたが、検討を重ねた結果、トヨタのMクラスミニバンである新型90系(95)ヴォクシーハイブリッドの電気式4WD車、E-Fourを購入いたしました。
この車が納車されてから、街乗りや郊外など様々な道を走行してみましたが、全体的には良い車ではあるけど、これはダメだと思える所も見つけたので、まとめてみました。
記事内の目次
トヨタのミニバン!新型90系ヴォクシーハイブリッドE-Four納車後のインプレッション!ここが良くてここがダメ!
購入の決め手
以前の記事でも執筆しておりましたが、前車アベンシスの継続車検の費用が高額になってしまう予想になっていたため、車検を受けずに急遽次期マイカー購入の検討をいたしました。
近年のガソリン価格の高騰が理由で、ハイブリッド車かPHEVのSUVかミニバンというのはほぼ決まっておりましたが、走りや燃費、居住性や荷物の積載量などを総合的に判断すると、全メーカーでもう少し頑張ってほしいというのが現状だと思います。
まず第1候補は三菱のアウトランダーPHEVでしたが、充電後にバッテリーを使い切ると燃費が15km/l(営業マン談)ぐらいにしかならないとの事で、郊外や高速道路を走行してこの燃費では、前車アベンシスの長距離走行とあまり変わらないので、今回は見送りとなりました。
第2候補にマツダのクリーンディーゼル車も検討していましたが、現役マツダ車乗りの友人からの評判が悪く、購入する決め手がある車種が正直言って無かったのです。
アベンシスはディーラーへの入庫でしたので、ここぞとばかりに営業マンが現行ノア・ヴォクシー・ハリアーの3車種のカタログを持ってきて現車も確認し、一応アウトランダーPHEVが第一候補である事を告げて検討は家に持ち帰っております。
次に購入する車種は撮影旅や移動中の仮眠、家族旅行などが不便なく出来るのが前提で、さらに今までの郊外走行15km/l以上の燃費+5km/lの20km/l以上の燃費である事。
わがままを言えばライブ配信用のポータブル電源やカメラなどを充電をしながらでも燃料消費量を抑えられる事、上り坂でも苦にならない走りなど、車に求める要求は大きかったです。
トヨタ車で検討するのであればノアかヴォクシーのハイブリッド2択から、無難なフロントマスクと完全な一文字ではないテールランプのデザインが良いノアに気持ちが傾いておりましたが、中一日空けてトヨタの営業マンに購入の意思を告げた車種はヴォクシーハイブリッドS-Z E-Fourです。
室内や基本性能は2車種共にほとんど変わらないので、無難で落ち着いたデザインのフロントマスクか、ロアーグリルの主張が大きすぎる奇抜なナマハゲ顔か迷いましたが、結局ナマハゲ顔のヴォクシーで決まりました。
アベンシスを手放して新車を購入する場合は納車までは1年かかるという事で、試乗車入れ替えの時期でたまたまヴォクシーとノアの試乗車落ち中古車があるとの事だったので、2023年9月中に契約をして3週間で納車となりました。
納車してから近距離・中距離・車中泊をしてヴォクシーハイブリッドの良い所と悪い所を見つけたので、この記事で走行性能や車内空間の使い勝手などをまとめました。
是非ノアとヴォクシーの購入を検討している人のお役に立てれば幸いです。
また、トヨタの認定中古車の納期については以下の関連記事カードリンクからもご覧いただけます。
新車の購入では契約から納車まで1年以上待たなければいけないと言われるトヨタの90系ヴォクシーですが、筆者は契約から納車までの期間が短くて済む認定中古車を購入いたしました。 今も納車待ちや購入を検討している方もいると思いますが、その経緯や購入の決め手を踏まえて是非皆様の参考になれば幸いです。 トヨ...
奇抜だけど見慣れるとかっこいいエクステリア
新型の90系ヴォクシーとノアで迷っている人のほとんどは、ノアの廉価版グレードを除けばフロントマスクのデザインで決めると思いますが、ノアはヘッドライトとポジションランプが一体となったコンビネーションランプを採用してスタイリッシュなデザインのフロントマスクになっているのに対し、ヴォクシーは部品としては一体だけど見た目上ではポジションランプやウィンカーをボンネット下部に配置し、ヘッドライトを大型フロントロアーグリル上部に配置しているフロントマスクになっています。
一見すると落ち着いたデザインのノアの方が良いように見えますが、フロントロアーグリルの未塗装樹脂パーツの少なさなどを含めると大胆でやんちゃそうなヴォクシーの方が若干上質感があるのも選ぶポイントになりました。
一つだけ違和感があるとすればアッパーグリルとロアーグリルの間の処理と主張しすぎなトヨタエンブレムぐらいで、ここさえ気にならなければ最初からヴォクシーを選んでいたと思います。
クリアランスランプの吊り上がり方も含めて全体的な車体の輪郭は80系とさほど変わっていないようにも見えますが、新型の90系は三角窓が大型化し、リアクォーターガラスが後ろに向けて絞り込まれるようなデザインに変わりました。
今までの三角窓は、おまけ程度でさほど役目を果たしていなかった車種もある中で、実際に左右の斜め前方を見渡せるほどの良好な視界は確保できております。
フロントのライト関係は、上がクリアランスランプとLEDウィンカーのコンビネーション、ロアーグリル上部がヘッドライト、下部はS-Zにだけ標準装備になっている薄暮灯というアクセサリーランプになっており、薄暮灯自体はグレードの差別化ぐらいの役割でしかありません。
ヴォクシーのハイブリッドとガソリン車の全グレードで、薄暮灯の有無やオプション設定の三眼式プロジェクターヘッドランプの選択以外で大きなデザインの違いはなく、ノアの廉価版グレードのようなフロントバンパーのデザインの違いのような設定もありません。
ガソリンエンジンの4WDとハイブリッドのE-Four車は、FFに比べて全高が3cmほど高くなり、それに合わせてフェンダーアーチとタイヤのクリアランスも非常に大きくなります。
リアの車高に合わせてフロントの車高も上げた事によって、80系4WDとE-Fourのホットロッドのような超前傾姿勢は解消されておりますが、最低地上高はFFの140mmから15mm下がって、フロントアンダーガードが地上高125mmに設定されています。
下回りを見た限りでは、リアのドライブシャフトへの負担を減らすために地上と平行になるように取り付けられていたため、フロントのドライブシャフトも平行になるようにエンジンマウントを下げた結果、フロントサスペンションクロスメンバーを下げたのだと思われます。
また、4WDとE-Fourの全グレードを通して17インチではなく、16インチアルミホイールとタイヤが標準装備となってしまうのもFF車との大きな違いです。
後ろもノアとヴォクシーを見分ける事ができる差別化が図られており、ノアの外側に向けて跳ね上がるようなカラードコンビネーションランプに対し、ヴォクシーは一文字テールの上に電球式ウィンカーが付いたスモーククリアテール仕様となります。
ノアはフロントが電球式ウィンカーでヴォクシーは後ろが電球式となる謎仕様になっていますが、ディーラーで聞いても詳しくは分からないとの事。
また、リアバンパーに関しては、ノアとヴォクシーのS-GとS-Zで共通の二段リフレクター仕様となっているため、1段リフレクターを採用しているノアのノーマルボディとの差別化とテールランプの違い以外は、共通のデザインになっております。
一見するとリアワイパーレスにも見えるリアビューになっていますが、リアルーフスポイラーの中にワイパー一式を隠すように取り付けているため、スイッチをオンにするとモーターを中心に上から下に回転するように動作します。
また、フロントワイパーを作動させている時にシフトレバーをリバースに入れても、自動的にリアワイパーを動かして後退中の後方の視界を確保してくれます。
前グレードが3ナンバーに大型化
90系ヴォクシーは先代までの5ナンバーベースから車体を大型化し、全グレードが3ナンバーとなる幅1730mmにサイズアップいたしました。
ミドルサイズミニバンのライバル車であるステップワゴンとセレナのちょうど中間というサイズに収まり、全高が先代よりも70mm高くなった以外は大きな変化が見られない大型化ではありますが、車内高も拡大して車内移動などの利便性はかなり高くなっております。
新型 ヴォクシー | 日産 セレナ | ホンダ ステップワゴン | |
全長 | 4,695 | 4,690~4,765 | 4,800~4,830 |
全幅 | 1,730 | 1,695~1,715 | 1,750 |
全高 | 1,895 (4WD 1,925) | 1,870~1,895 | 1,840~1,855 |
ワンボックスと1.5ボックスミニバンの中間的な大きさの車体ですが、フロントのシャープなデザインと、後端を絞ったリアクォーターガラスのデザインがずんぐりむっくり感を解消させてくれている印象は受けます。
高さ1.9m制限の駐車場もなかなか無いとは思いますが、一度だけ1.9m制限の駐車場に入りかけてしまった事もあるので、FF車はぎりぎり入るけど3cm車高が高くなっているE-Fourと4WDは高さ制限をオーバーしてしまう事には注意が必要です。
全車3ナンバー化も室内長は先代より短く
先代ヴォクシーとは車体寸法があまり変わっていないにもかかわらず、室内長は先代より125mm短く、室内幅は80mm狭くなっている事がカタログ値で分かりましたが、5ナンバーサイズの拡大版ボディと全幅1800mmオーバーのエスティマを比較すると、セカンドシート以降の搭乗者からは少し窮屈さを感じてしまうとの事。
その代わりにトールミニバンであるヴォクシーの室内の高さは充分すぎるほど確保されているため、センターコンソールを跨がなければいけない前席を抜いて、スライドドアからの乗り降り、2列目から3列目の移動などは特に不便さを感じさせない作りになっています。
7人乗りは厳しそうだけど、シートアレンジ次第で使い方は自由自在
2列目がキャプテンシートの7人乗り仕様を選びましたが、3列目のセンターが跳ね上げ2分割シートの中心となってしまう都合で、サードシートの真ん中の座面はかなり固めです。
ここに人が乗るのは緊急時用で、7人フル乗車での長距離の移動はかなり厳しいと思っておいた方が良いのかもしれません。
ファーストシートからサードシートまでのクリアランスを均等割りにするようにセカンドシートを動かすと、サードシート前の足元に余裕があるぐらいのスペースは確保されているので、割とリラックスできるような姿勢で座る事は出来ます。
745mmのロングスライドが可能な2列目座席用シートレールの採用で、4人乗り仕様のスーパーリラックスモードでは、運転席と助手席の後方に足を伸ばせる程の巨大空間が生まれます。
S-Zのオプションで快適利便パッケージを選択すると、セカンドシート前部にオットマンが付くようになりますが、4WDとハイブリッドE-Fourの全車でオットマンの設定はありません。
サードシートを格納した4人乗りでのラゲッジモードやセカンドシート最前まで移動させた2人乗りでのビッグラゲッジモードなど、乗せる人数や使い方に合わせて大荷物も搭載できるようなシートアレンジも可能です。
また、サードシートを片側だけ格納すれば、キャンプ用品などの長物を積載したまま、最大5人までの乗車にも対応可能となっています。
また、1列目シートを倒して2列目シートをつなげるフロントフラットモードは、ラゲッジスペースの積載量を減らさずに車中泊中のインパネ操作や運転席への移動も容易なシートアレンジです。
シートの段差が結構気になるので、クッションなどを使って段差を埋めるとそこそこ快適に寝る事ができます。
2列目と3列目を使用したリアフラットモードは、フロントフラットモードよりも寝返りをうちやすく、シートの段差もあまり気にならないシートアレンジです。
荷物の積載は、各シートの背もたれ下とセカンドシート間ウォークスルー部に限定されてしまうため、高さ25cmから27cmの高さに収まる荷物しか積むことができなくなる事と、サードシートがゴツゴツしているのがデメリットとなります。
バックドアを閉めるとサードシートが完全なフルフラットにはならないという記事も見かけましたが、実際にはヘッドレストを外した状態でサードシートを後方に倒すとフラットにはできます。
どちらにしてもそのまま倒しただけでは寝心地が良いとは決して言えないほどの段差が生じてしまうため、車中泊用のマットなどは用意しておいた方が良いのでしょう。
床下にも荷物を積み込めるスーパーラゲッジスペース
ヴォクシーの購入は、5人が乗って荷物を積むというのが前提で選んだ車でしたので、車内の広さと共に荷物を積み込むラゲッジスペースの広さは重要視していたポイントでした。
最近の車はスペアタイヤが標準装備になっていない代わりに、ラゲッジスペースの床下を荷物積載スペースとした、スーパーラゲッジスペースが標準装備となっております。
重ねて積むのが難しい長いカーボン三脚が今までラゲッジスペースを広く占有していたため、予定では三列目シートの片方を格納して荷物を搭載する予定で考えておりましたが、大容量の床下格納スペースであるスーパーラゲッジボックスにカーボン三脚などの長物を収める事が出来たので、ほぼ床上には何も載せていない状態から残りの荷物を搭載する事が出来ました。
3列目シートを格納しなくても、カメラバッグ2つと宿泊セットを搭載しても残りの空きスペースが充分確保されているので、最大乗車定員まで乗ったとしても、特に荷物の積載スペースに困る事はありません。
そして3列目シートの下は高さ200mmぐらいの空きスペースになっているので、小物を入れる箱を置くスペースや長物を通すスペースに活用するなど、荷物の積み方次第で様々な使い方を出来るのもノアとヴォクシーの長所とも言えるでしょう。
右側に3COINSの収納ボックスがすっぽりと収まり、左側にはIHクッキングヒーターとミニアウトドアテーブルが丁度よく収まりました。
ただし、ラゲッジスペースに奥行きが無い分、高く荷物を積み上げた時にリアゲートを開けた際に地上に落下してしまう事もあるので、ラゲッジネット等で荷物の落下防止対策ぐらいはしておいた方が良いでしょう。
大型バックドアは大きくて雨除けに良いけどパワーバックドアを付ければ良かった
前車アベンシスはリアゲートで雨宿りをする事が出来ずに荷物の出し入れをしている時に体が濡れてしまうような事もありましたが、ヴォクシーとノアはかなり大きなバックドアを採用しているため荷物の出し入れ時に雨に濡れてしまうような事は無いでしょう。
パワーバックドアが無くても大丈夫だとは思っていましたが、跳ね上げた時の反発力が結構強かったので、女性がメインで使うのであれば付けておいた方が良いのかもしれません。
また、パワーバックドアを装着していなくても、後方が狭い時に途中で停止させる事が出来るフリーストップバックドアが標準装備になっております。
100V給電用のコンセントが便利
ハイブリッド車のS-Zでセンターコンソール後方とラゲッジスペースの2か所に標準装備、S-Gではリアのみ標準装備でセンターコンソール後方はメーカーオプションとなっている給電用100Vコンセントは最大で1500Wまで使用できますので、電子レンジや電気ポット、またIHクッキングヒーターなどの家電製品も標準で使用できるのがとても便利です。
まず今まで困っていたのが、カメラなどの撮影機材を使った後に必ず充電祭りとなっていた事でしょう。
シガーソケットからAC/DCインバーターを経由して電源タップから各充電器に100V電源を送って充電をするというのが一つの儀式みたいになっていたのですが、今まではインバーターと電源タップが届く範囲である助手席かセカンドシートに機材を置いて充電をしておりました。
ヴォクシーのハイブリッド車は、ラゲッジスペースとセンターコンソールの2か所に100Vアクセサリーコンセントが設置されているため、2列目や3列目の邪魔にならない位置を使用して充電をする事が可能になり、どんな状況でも広い車内空間を有効に使う事が出来るようになりました。
ガソリン車であればポータブル電源を充電しながら撮影機材のバッテリーを充電しなければいけない事情もあって、エンジンを停止する事ができずに無駄な燃料費がかかっていたのも今までネックになっていた事ではありましたが、走行時に充電が追いつかなくてもスタンバイ状態や非常時給電モードを使用して、燃料費を節約しながら100Vの電力を使えるというのも大きなメリットになります。
郊外の花火大会などの帰りは、食事をする店舗が営業時間外になっている事も少なくないため、車載用に購入をしたIHクッキングヒーターが使えるのがとても便利です。
ヴォクシーとノアは、ハイエースクラスほどの大きな車内スペースを確保している車種にはなっていないため、完全なキャンピングカー仕様にする事は難しいかと思いますが、車内での食事も含めた車中泊程度であれば問題なく出来ております。
給電機能付きUSB端子はS-Zで4つも装備
モバイルバッテリーを持ち歩いていればさほど問題にはならないのですが、人数を乗せて長距離の移動となると誰かは必ずスマホのバッテリーが切れてしまうというのも何度か見てきました。
90系ヴォクシーとノアにはセカンドシートに2つのUSB Type-C給電用端子を装備し、フロント側にはディスプレイオーディオとの通信と給電が兼用になったUSB-A端子と給電用USB端子が1つずつ標準搭載されていますので、最大で4人同時にスマホのバッテリーが切れかかっても大丈夫です。
子供達が見つけなければ言わないつもりだったけど、さすが現代っ子・・スライドドアを開けて5秒で後席にもUSB端子がある事に気付きました。
ノアとヴォクシーは電装品のUIが明らかにおかしいという部分も少なからず見受けられますが、セカンドシートのすぐ横の折り畳み式大型サイドテーブルの上部にケーブルを差し込むのは若干の不安はあって、いつか足を引っかけて端子を折られてしまうような気もしています。
収納スペースは多め!ドリンクホルダーはS-Zで最大15か所!
ダッシュボード助手席側にアッパーボックスやグローブボックス、さらにその中間にはオープントレイが設けられていますし、センターコンソールボックスの他、フロントドアには小物入れとドアポケットがありますので、小物や書類の収納に困る事はまず無いでしょう。
そしてドリンクホルダーの数を数えてみたら合計で15個ありましたので、全ての取り付け位置をまとめてみました。
- ダッシュボード上2か所
- センターコンソール2か所
- フロントドア2か所
- リアセンターテーブル4か所
- リアスライドドア2か所
- 3列目デッキトリムボトルホルダー3か所
1人につき2か所から3か所を占有できる計算になりますが、片方に飲み物を入れて片方をスマホ入れにするような使い道であれば、妥当な数になるのかもしれませんし、ドリンクホルダーを活用したカー用品も沢山ありますので、それを見越して多くしているのかもしれません。
視界は広く三角窓も実用性あり
トールミニバンらしく全ての窓が大きめで、旧型ヴォクシーとノアよりも大型化した三角窓も併せて良好な視界が確保されています。
右側Aピラーが視覚になって横断歩道を渡ろうとする歩行者が見にくくなる事もありますが、前方と左右のほぼ全域を見渡せる死角が少ない良好なドライバーズビューが確保されています。
ディスプレイオーディオプラスは良いけど操作性は微妙?
CDやDVD、ETC2.0ユニットがセットになっているディスプレイオーディオプラスはオプション設定となっていますが、ヴォクシーとノアを購入した方のほとんどは付けて購入する事が多いらしいです。
Android AutoやApple CarPlayを使用した音楽や映像の視聴する分には特に困る事は無いので、標準装備のディスプレイオーディオの機能だけでも充分足りるレベルだと思いますが、S-Zでは標準ディスプレイオーディオの6スピーカーに対して、オプションのディスプレイオーディオプラスは12スピーカー仕様となるので、音にこだわりたい方やETC2.0ユニットを付けたい方はディスプレイオーディオプラスを選択する方が良いのでしょう。
12スピーカー仕様はハイレゾ音源にも対応しているので、Apple MusicやAmazon Music Unlimitedの有料プランを契約すれば、24bit/48kHz以上の高精細ハイレゾ音質での音楽再生やDolby Atomosなどの空間オーディオの視聴も可能になります。
また、ディスプレイも標準の8インチからDAプラスでは10.5インチに拡大されるので、画面の視認性はとても良くなります。
ただし、設定やメニュー呼び出しの操作性はかなり悪く、一つの操作をしたくても、何度もタッチパネルを操作して、目的のアプリを呼び出さない煩わしさは感じられます。
使う人の慣れも必要なのかもしれませんが、もう少し分かりやすく使いやすいUIにして欲しかったのと、ディスプレイが大きくなった分、分割画面などの設定を拡充した方が使い勝手が良かったのかもしれません。
また、12スピーカーの音質も特別良いというわけではなく、低域まで一応音は出ているけど、どちらかと言うとハイ上がりな印象の音質だと思いますので、オプション設定のディスプレイオーディオプラスに過剰な期待はしない方が無難なのかもしれません。
スマートフォン連携でサブスク音楽配信サービスの他に、YahooカーナビやGoogleマップなどのディスプレイオーディオ対応アプリケーションも使用できるようになりますが、ルート案内に関しては純正よりもYahooカーナビの方が優れている印象は受けます。
S-Zは7インチマルチインフォメーションディスプレイ搭載のオプティトロンメーター
ヴォクシーのガソリン車とハイブリッド車共にS-Zは、メーターパネルが7インチのTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイ付オプティトロンメーターとなります。
ハイブリッドのS-Zでは、左にハイブリッドインジケーターを中心としたハイブリッド車ならではの走行系の状態表示、右に水温系やガソリン系などのエンジンの状態表示、真ん中がスピードメーターや車両の状態を表示するマルチインフォメーションディスプレイになります。
ドライブモードをパワーに変更すればスピードメーターの表示が赤くなったりなど、一目でドライブモードの状態が分かるような演出も加えられておりますが、せっかく7インチのマルチインフォメーションディスプレイを搭載しているのですから、4.2インチと同じ表示内容とせずに、表示項目を2つに分割をしたり、シフトポジション表示を分かりやすい位置にしたりなどの工夫はして欲しかったとは思います。
燃費表示やエネルギーフローモニター、また4WD車は駆動状態の表示など様々なモニタリング機能が表示できますが、表示項目や設定項目は別のページで解説いたします。
第5世代に進化したハイブリッドシステムは走行する場所を選ぶ!
トヨタのハイブリッドシステムTHSⅡは第5世代に進化して、ノアとヴォクシーの1.8Lハイブリッド車に初めて搭載されました。
駆動用バッテリーの種類がニッケル水素電池からリチウムイオン電池に変わって、従来よりも15%の出力向上と30%の小型化に成功し、またPCUも29%の損失低減も果たして、駆動用のモーターについては150km/hまでアシスト出来るように全ての電動モジュールを刷新しています。
筆者自身もハイブリッド車の価格で元が取れるようになるまではエコカーを購入しないで、しばらくはガソリン車かディーゼル車を乗るつもりでいましたが、最近のガソリン価格はハイオクで200円に迫る勢いで高騰していたのもあって、ちょっと早いハイブリッド車への乗り換えとなりました。
また、ライブ配信を始めた事でポータブル電源や撮影機材の充電を移動中の車内でしなくてはいけなくなった事や、間に合わなかった分はアイドリングで充電をしなくてはいけない事もありましたので、車の使い道としてはガソリン車よりもハイブリッド車の方が合ってきたのも購入した理由の一つに挙げられます。
まず今まで何故ハイブリッド車を避けていたかと言うと、ストップアンドゴーが少ない郊外を走る事が多く、ガソリン車でもミニバンのハイブリッド車よりも少し燃費が悪いぐらいで走る事が出来ていた事や、ハイブリッド車を購入した所で元が取れるかどうか分からなかった事が理由としてあります。
今まではガソリン車一択だったので、ハイブリッド車の加速性能や高速走行時の燃費などがあまり良くないのが理由で購入を躊躇う材料が多かったのもありますが、THSⅡが第4世代と第5世代になって劇的に進化を遂げたのでしょう。
1.8Lハイブリッドに搭載されるエンジンは新型のM型エンジンではなく、ベースが古いZRエンジンの中では非力な部類の、最大出力72kW(98ps)のハイブリッド車専用直列4気筒1.8L DOHC 16バルブ VVT-i ミラーサイクルエンジン2ZR-FXEとなっております。
2ZR-FXE自体は2009年にプリウスに搭載されたのが初めてですが、近年の1.8Lハイブリッド車に搭載している2ZRエンジンは最大熱効率を38.5%から40.0%に向上させて、EGR率も18%から25%に高めた改良型となっておりますので、初搭載された頃のエンジンとは別物に仕上がっているのだそう。
実際にヴォクシーハイブリッドが納車されてみてから1000kmほど走行をしてみましたが、燃費が良い走り方を見つけるのにはまだまだ時間がかかりそうではあるけど、信号が少ない郊外の燃費で20km/l前後まで伸びるようになったので、我慢するような走り方をすればもう少し燃費は伸びるのだと思います。
エコモードで走ればもっさりとした加速になってしまうけど、ノーマルモードやパワーモードでアクセルを踏み込むとエンジンとモーターの両方のパワーを活かした力強い加速感が得られますので、ドライブモードの設定とアクセルの踏み方次第では、0発進から中速域にかけてミニバンらしくないきびきびとした走りも楽しめます。
E-Fourの場合は、0発進から強いトルクを発揮する最高出力30kW(41PS)、最大トルク84Nm(8.6kgm)のリアモーターによる発進時のアシストが4~5秒間加わるので、アクセルを踏み込むとFFとは違った押し出されるような発進加速になります。
その一方で、中間加速や高速走行などは速度の上昇に合わせて加速力が少しずつ悪くなってくるような走りになるので、高速走行がメインの人はガソリン車の方が走りやすくなってくるのかもしれませんし、エンジンの回転数はZRエンジンの巡行時の回転数にしては割と高回転域で回る事も多いので、エンジンが発する騒音が気になる人もいるかもしれません。
ハイブリッド車にはエンジンの回転数を示すタコメーターが全グレードで付いてきませんが、S-Zのメーカーオプションになっているカラーヘッドアップディスプレイを付ければ、設定次第でタコメーターの表示も行えるため、力が欲しいような走行状態の時は、エンジンの最大出力付近の回転数を使っているのも分かります。
モーターの出力がもう少しあれば、60km/h以上の速度でもエンジンを始動させずにEV走行が出来るのかもしれませんが、エンジンが始動しないぎりぎりの踏み込み量で60km/hを何とか維持できるアシスト力となっているので、省燃費走行をする上でこの速度域でEV走行を維持するアクセルコントロールに慣れるまでは少々時間がかかりそうです。
そして7人フルで乗車した時の走りはというと、アクセル踏み込み量に対する立ち上がりが遅いエコドライブモードは発進時にかなりもたつく印象があるので、エンジンの介入量が増える事を除けばノーマルモードで走り続けた方が普通に走れるかと思います。
ただし、ヴォクシーの重量に対して1.8リッターの旧型エンジンを搭載したハイブリッドシステムでは、アップダウンが激しい甲信越地方が苦手なようで、上りで唸るようなエンジン音が煩わしく、下りではシフトレバーをBレンジに入れてもエンジンブレーキが弱めに動作し、駆動用バッテリーについてもすぐに満充電になってしまいます。
ヴォクシーの重量では、回生ブレーキの制動力だけでは足りない下り坂も何か所かありましたので、B1レンジとB2レンジを設けて、強力な回生ブレーキとエンジンブレーキを発生させるモードがあった方が良かったのかもしれません。
高速走行や山道にも適応したパワートレインではなく、あくまで街乗りを中心とした0発進から国道走行時の時速60km/h前後までの走行を考慮して開発をしたと思われるので、空気抵抗も加わる高速走行は苦手な印象を受けました。
あえてパノラミックビューモニターを選択しないのもあり
車両を上から見たような映像をディスプレイオーディオ画面に表示するパノラミックビューモニターは、目視で確認できないような場所を映し、リアルタイムで車両周辺の状況を確認できる先進的な機能です。
ところが、このオプションを選択するとストレート式シフトレバーからプリウスなどと同じエレクトロシフトマチックに変わります。
個人的な感覚ではエレクトロシフトマチックのドライブに入れる動作がマニュアルのリバースに入れる動作とほぼ同じになるので、無意識でリバースとドライブを入れ間違える可能性も考えてストレート式シフトゲートを採用したモデルで良かったと思います。
長い事マニュアル車に乗っていた時期が長い人ほど、エレクトロシフトマチックは肌に合わないのではないかと思いますが、パーキングスイッチと同様にリバースレンジもシフトレバーから除外すれば、操作性が違かったのかもしれません。
足回りは少し固めだけど乗り心地は悪くない
比較対象がステーションワゴンがメインで、ミニバンの中で比較するとヴォクシー購入前に時々乗っていたエスティマだけの、あまりアテにならないレビューとなってしまう事をご了承下さい。
今までの筆者が選んだ所有車は、四輪独立サスペンションを採用した車種が全てで、たまに運転をするエスティマを除けば、フロントがマクファーソン・ストラット式・リアがトーションビーム式コイルスプリングを採用した車種を選んだのはヴォクシーハイブリッドが初めてです。
リアにストラット式を採用したマークⅡクオリスを除けば、リアにダブルウィッシュボーンかマルチリンクを採用した車種というのが何故かこだわりでしたが、左右輪をクロスビームで繋ぐ仕組みが安っぽく感じてしまうのと、接地性が低くなってしまうのがあまり好みではありませんでした。
そのため、今回ヴォクシーハイブリッドを選んだのは、足回りの構造を初めて妥協しての初めての車選びとなります。
特に前車アベンシスはイギリスのトヨタで製造している欧州車に近いトヨタ車という事で、アウトバーンでの走行を想定した高速安定性と荒れた峠道でも接地性の高さを感じられる足回りが売りでしたが、オーバースピード気味で段差のあるカーブに突っ込んでも曲がってくれる走行性能が素晴らしかったので、車検がすんなり通れば手放したくなかった車種でもあります。
エンジンは非力だけど足回りがしっかりしていて運転していて楽しい車が欧州生まれのアベンシスでした。
もちろんエスティマを時々運転していたので、なんとなくトーションビーム式の乗り心地は理解していたつもりですが、後ろから前席にまで伝わってくる突き上げというかふわっとする感じが少し気持ち悪かったけど、乗っているうちの慣れなのでしょうね。
ミニバンでもいいかなっって気持ちにさせてくれた車ではありましたが、その後にアベンシスを運転するとやっぱり足回りがしっかりとした安心感は伝わってきます。
90系ヴォクシーハイブリッドE-Fourの足回りは、エスティマと基本的な形式は同じで、フロントがマクファーソン・ストラット式・リアがトーションビーム式コイルスプリングとなります。
乗り心地は意外とミニバンっぽさが少なく、小さな段差は少し硬めに反応して大きな段差で効率よくショックを吸収し、跳ねている感じやふわふわ感が少ないしっかりとした足回りであると感じますし、高速走行時の不安定感も感じない良い乗り心地だと思います。
しかし、車高が高いE-Fourは、カーブを曲がる時にアクセルオフよりもアクセルオンの時に大きなロールを発生させてしまいやすく、カーブを曲がる際の不安定感やステアリングの舵角に対する反応の鈍さは強めに感じてしまいます。
車体全高と重い車両重量が影響しているのだと思いますが、タイヤを指定の空気圧よりも少し高めに調整しておくと、ステアリングの操作に対する反応の悪さは多少改善されるようになりました。
ブレーキの性能に関しては、回生協調油圧ディスクブレーキと四輪ベンチレーテッドディスクブレーキを採用しているにも関わらず、効きは甘めに感じてしまう事もありますが、モーターを使用した回生ブレーキを使う頻度が高いとディスクブレーキの温度が上がらない影響もあるのだと思われます。
軽く踏めば回生ブレーキを作動させてモーターのみの減速をし、時速5km/hになると油圧ディスクブレーキを使用して停車をさせる制御を行っていますが、エコインジケーターのCHGを振り切ると回生ブレーキと油圧ディスクブレーキを併用した減速に自動的に切り替わります。
最初は時速5km/hで油圧ディスクブレーキに切り替わる時のショックが気になりますが、切り替わる瞬間にブレーキを少し緩めるような動作をさせるとほとんど気にならなくなります。
人間が退化する先進機能が凄かった!
10年間も車を乗り換えていなかったので、この10年の間の車の進化は凄いなと感じさせられたのが、レーダークルーズコントロールなどの走行支援機能です。
オートクルーズは前方を走行する車両に追従するレーダークルーズコントロールになり、高速道路のカーブでは手を添えているだけで勝手に曲がってくれる所まで進化していました。
事故の危険性がある時は警報を発したり操舵支援を自動的にしてくれるなど、徐々に運転手はおまけで車が勝手に走ってくれるような時代が近付いてきたのだと実感させられますが、運転自体は元々好きですし、無事故無違反のゴールド免許所持者でもあるので、正直な所はあまり先進機能は使い込んでおりません。
むしろ、自分で道路状況を認識できているどうでも良い所で警報を発するのが煩わしく感じてしまう事もあります。
走行支援機能と事故防止機能は、マルチインフォメーションディスプレイ上で感度や設定を変更する事ができますので、この設定を変更すれば扱いやすい機能になるのではないかと思いますが、走行支援機能と事故防止機能を過信しすぎるのも良くないと思うので、高速道路メインで使用するのがオススメの機能です。
まだまだ使いこなせてないけど良い車
E-Fourも含めてまだまだヴォクシーハイブリッドを使いこなせていない段階ではありますが、THSⅡの性能も上がってガソリンエンジン車からの乗り換えでもすんなりと受け入れられた素晴らしい車であると感じました。
ディスプレイオーディオプラスの扱いにくさなども含めて、UIはまだまだ改善が必要だとは思いますが、旅行やアウトドア、また車中泊にはぴったりの最高の車ではあります。
ただ、ミドルクラスミニバンとしては価格が高くなりすぎて一昔前の高級車枠になっちゃったような気がするので、もう少しファミリーカーとして購入しやすい価格帯にしてもらった方がありがたいですね・・。
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