BMPCC 6K(Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K)を購入してから半年が経過しましたが、使ってみて流石シネマカメラだと思うぐらい色が綺麗であると感じました。使っていれば多少は不満も出てくるのですが、その点も含めてこのカメラを購入してから気づいた個人的な感想を記事にいたしました。
記事内の目次
BMPCC6K購入後の事
BMPCC 6K(Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K)は、オーストラリアに本社を置くブラックマジックデザイン社が開発・販売しているシネマカメラなのですが、シャドウからハイライトまでとにかく色が綺麗であるとの評判があります。
BMPCC6Kは第4世代のカラーサイエンスを採用しているのですが、URSA MINI Pro 12Kの登場でBlackMagic Design DaVinchi Resolve側では第5世代のカラーサイエンスを適用してカラーグレーディングを行えるようになりました。
当然、カメラ側はアップデートでも無い限り第4世代のままなのでダイナミックレンジは13Stopのままなのですが、Gen4のカラーサイエンスで少々強めに感じていた赤が落ち着いてスキントーンもなかなか綺麗になっています。
良い事なのか悪い事なのかは少々濁したくなる気持ちにもなってしまう事ではありますが、BMD Film Gen5はARRIのカラーサイエンスにだいぶ寄せような感じで、BMD Film Gen5にARRI LogC用のLUTを当てても違和感が無い映像に仕上がりました。
前置きが長くなりましたが、購入後の事はこちらに記載しております。
BMPCC 6K(Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K)を購入してから半年が経過しましたが、使ってみて流石シネマカメラだと思うぐらい色が綺麗であると感じました。使っていれば多少は不満も出てくるのですが、その点も含めてこのカメラを購入してから気づいた個人的な感想を記事に...
カメラ本体以外にお金がかかるカメラだと認識した方が良いかも?
カメラ本体自体は約24万円で購入が出来るのですが、まともに運用できるようになるまで購入価格の倍近く資金を使いました・・。
EFマウントのカメラを使用していた人は、レンズを新たに購入するような事は無いと思うのですが、ソニーFEマウントなど他メーカーのレンズマウントに移行していた人はレンズを新たに購入しなければいけません。
キヤノンもEFマウントから新型のRFマウントに移行してしまったので、どこまで投資して良いのかとても迷う所ではあります。
あとは、BlackMagic RAWを記録できるメディアも限られた製品しか出ていませんし、BRAW 6K Q5 50fpsやBRAW 6K 5:1 50fpsを保存できるBMD公認の記録メディアなんかはほんの数点しか世の中に存在していません。
もしかしたら、外付けm.2 NVMeを代用して使えるようになるかもしれませんが、実際にやってみないとわかりません。
このカメラで一番厄介なのが、内臓バッテリーの持ちの悪さでしょう。CFastならバッテリー持続時間が少々長くなるかもしれませんが、高速SSDで保存すると15分から25分ぐらいしか使用できませんので、LバッテリーやVマウントバッテリーを使用する事は考えておいた方が良いかもしれません。
データを保存する10TBのHDDも数か月でいっぱいになりますし、とにかくお金がかかります。
追加で購入したもの
DELKIN Jugler USB 3.2 CINEMA SSD
USB 3.2 Type-Cで接続する事が出来るブラックマジックデザイン認定の超高速SSDなのですが、読み込み書き込み共に1000MB/S超えの速度で、ファイルサイズがそこそこ大きいBRAWも全く止まらずに高速で転送と保存をしてくれます。
BLackMagicDesign認定品の中でも安価で高速ですので、オススメです。
問題点としては、専用取り付けクリップが折れやすい所とボルトが長すぎる所ですかね・・。ボルトは純正品より5mm短い市販の1/4ボルトを購入して対処しました。
以前書き込み速度が低下して全く記録できないトラブルもありましたが、BMPCC6K側のフォーマットでは改善されず、PC側のエラーチェックやフォーマット(クイックじゃない方)で速度が戻りました。
これはBlackmagic Designのフォーマットの仕様だと思いますので、書き込み時の不具合はPCのフォーマットやエラーチェックで大体正常に戻ります。
2022年12月の時点では国内在庫が少なく、入手が困難な状態が続いています。
SmallRig BMPCC 4K/6K用NP-Fバッテリーアダプタープレート 2698
ソニーのLバッテリーから給電できるバッテリーアダプタープレートで、内臓バッテリーを外してダミーバッテリーを使用して給電するタイプと12VDCコネクターから給電できるケーブルが同梱されています。
12VDCコネクターで給電するとLバッテリーの残量が少なくなった時に内臓バッテリーに切り替わるので、ノンストップで収録をする事も可能ですが、カメラアップデート7.3以降は収録中にシャットダウンしやすくなりました。
現在はVマウントバッテリーでの給電を行っています。
SmallRig ハーフケージ BMPCC 4K/6K対応 Blackmagic Design Pocketシネマカメラ用 CVB2254B
ジンバルスタビライザー右側のチルトモーターとのクリアランスを考慮してハーフケージにしましたが、これがあるだけで周辺機器の拡張をしやすくなります。
サイドやトップに1/4ネジや3/8ネジ穴の他、アクセサリーシューが付いた金属製の枠のような製品ですが、さらにサイドとアッパー面がNATOレールと互換性があるデザインをしているので、上記のバッテリーアダプターやSSD以外にも様々なカメラアクセサリーを取り付ける事ができます。
雲台との接触面積も広くなるので、三脚を使用して撮影する時はケージが無い時よりも安定するようにもなるのですが、欠点としてはただでさえ軽くないBMPCC6Kがさらにズッシリとした重いカメラになります。
DJI RONIN-Sであればオフセットプレートを使用してカメラを搭載しなければいけないのですが、下面にも沢山の1/4ネジ穴が開けられているので、わざわざオフセットプレートを購入しなくてもそのまま取り付けられるようになります。
SMALLRIG カウンターウェイト&マウントクランプキット
BMPCC6KをDJI RONIN-SやZhiyun Weebill/Craneなどのジンバルに搭載する場合は、アームに取り付けるカウンターウェイトが無いとバランスが取れません。
他のメーカーからもカウンターウェイトが販売されていますが、SmallRigは100gと200gのウェイトが付属しているので、しっかりとバランスを取りたい場合はこちらの方がオススメです。他社製のウェイトは軽すぎてダメそうでした。
SMALLRIG DJI RS3 /RS 3PRO用 DJI Ronin S/Zhiyunジンバルスタビライザー用カウンターウェイト 200g-AAW2285
ROWA SONY ソニー対応 NP F530 F550 F570 F750 F770 F930 F950 F960 F970 互換 バッテリー
外部バッテリーから給電する時に必要なのがソニーのNP-Fバッテリーなのですが、純正のNP-F970はとても高い!
と言うかソニーの純正品はクソ高い! という事で、ROWA Japan(ロワジャパン)のNP-F970互換バッテリーを購入いたしました。
BMPCC6Kでは12Vに昇圧するかダミーバッテリーを使用して給電するのですが、約1時間半から1時間45分ぐらい普通に使えています。
互換バッテリーは当たり外れが多く、ノーブランドの製品などでは、ほとんど使用できなかった例もあるらしいので、ROWAかEDOGAWA製を選んでおけば間違いないです。
カメラを運用できるようになるまで色々購入はしましたが、DJI RONIN-Sから給電できるDCケーブルはほとんど使い物になりませんでした。BMPCC6Kはただでさえ消費電力の大きいカメラなので、本来モーターで使うはずのパワーまでカメラに持って行かれてジンバルの挙動が不安定になります。
BMPCC6Kを使用して気になった事
- AF精度が甘い
多分、普通に使用していれば気にならないのだと思いますが、オートフォーカスに定評があるソニーから移行すると少々気になる部分ではあります。 それだけではなく、ATOMOSのモニターに搭載されているフォーカスピーキングよりも少々感度が高いようにも感じました。逆に感度を低くすると、場面によっては低すぎると感じる事もあります。(追記:カメラアップデート7.3でかなり改善されました) - 6K撮影時のローリングシャッター歪みは結構強めに出ます
ローリングシャッターを搭載しているカメラを使用している時に気になるのが、動く被写体を歪ませるローリングシャッター歪み、通称こんにゃく現象と呼ばれている物ですが、割と強めに出ておりました。 - 内臓モニターがかなり見にくい
BMPCC6Kのモニターは非常に見にくく、明るい場所ではほとんど見えない時もあります。反射率の低い保護フィルムを使用していてもかなり見にくいような印象でした。
モニター用のフードを付ければ多少改善されると思いますが、SmallRigのフードが約5か月届かなかった挙句、いつの間にか販売が中止に・・。と思ったら、2021年に再販されたので無事に取り付けられました。 - 端子のゴムキャップが結構邪魔
カメラ左側のゴム製のキャップって非常に扱いずらいように感じます。特に12Vの給電端子とUSB-C端子が近すぎてUSBケーブルを外してからじゃないと12Vプラグが脱着しにくいですよね。端子の耐久性が分からない上に、12V給電端子を折ってしまうんじゃないかと毎日不安に思っています。 - 音声入力や内臓マイク関係がそんなに性能が良くない
BMPCC6Kの内臓マイクがそんなに良くない!だけならまだ良いのですが、マイクとライン入力レベルが低すぎるようにも感じます。
なので、今まで使用していたRODE NT4を使えるような状況ではなかったので、ハンディレコーダーのZOOM H4nのライン出力レベルを調整してBMPCC6Kのマイク入力に接続しています。
多分ですが、BMPCC6K/4Kのマイク入力ってアンプ等で増幅しないと適切な音量で入力できないんじゃないかと思います。 - BMPCC6Kのフォーマットではドライブエラーが治らない
前述した通りにSSDがエラーを起こして記録速度が極端に落ちた事がありましたが、電源の切り方やバッテリーが途中で切れた事に問題があったのではないかと感じます。特にバッテリー消費が激しいカメラなので早めに電源を落としたくなりますが、RECを止めたら10秒以上待ってから電源をオフにした方が良さそうです。
ドライブがエラーを起こした場合は、BMPCC6Kのフォーマットでは修復ができないので、PCでSSDのエラーチェックと修復を行って対処しなくてはいけないようです。※ブラックマジック社に確認済み
後々色々調べてみましたが、PC側のUSB3.1 Gen2が突然落ちる不具合にも原因がありそう。まだ原因がはっきりとしていないので何とも言い切れませんが、どちらにしても安全な切断方法を行わないとSSDに不具合が発生するようです。 - 防塵防滴仕様では無いので突然の雨に注意!
こちらもブラックマジック社に確認をいたしましたが防塵防滴仕様では無いので、雨や雪が降ったら即座にレインカバーを被せるなどの対策が必要です。
上面吸気下面排気の強制空冷仕様だったので防水性能は皆無なんじゃないかと思ったのですが、やはりそうでした。
普通は温かい空気の方が軽くなるので上面排気の方が良いような・・何かしら理由があるんでしょうけど・・。
以前使用していたSony α7SとBMPCC6Kは何が違うのか?
BMPCC6Kを購入する前はSony α7Sを使用していたのですが、きっとカラーグレーディングの仕方が下手なんだと思って、カラグレをある程度覚えるまでの約5年ほど使用していました。
特定の色だけ抜いて色を変えたり、有料のLUTを購入してみたり、多い時には1つのシーンでコレクターが20個ぐらいになった時もあって動画を一本仕上げるのに2週間かかったりって事もあったのです。
ここまでやったのは2019年ぐらいからで、それまではLUTを当てるだけだったりカラースペース変換をする程度だったかと思います。
まずBMPCC6Kを使ってみて感じたのは、12bitのRAWなのでゴリゴリのカラーグレーディングをしてもバンディングを起こさない所でしょうか。空などの緩やかなグラデーションが綺麗に再現されるのです。
そして、木の葉などの色をしっかり出そうと思って彩度を上げても、自然な発色のまま色が出ている感じでホワイトバランスがずれていくような事がありません。
α7SⅡやⅢなどはある程度色がしっかりしてきているのでソニーが悪いという事は全く無いのですが、初代のα7Sに限ってはソニー独特のいわゆるソニー色が強く出ていて、α7SⅡの発売時期から考えて人柱になっていた感も否めません。
特にカラフルな衣装が多いマーチングバンドは、体育館などの屋内環境で演奏をする事もあって赤系の衣装と木目色の床の色が同化して、色を抜いて衣装の色だけ変更するのも難しいぐらいでした。
常に自分のセンスの問題もあるとは思いながら撮影はしておりますが、BMPCC6Kは同じ条件で撮影をしていても色がしっかりと分離していて、簡単なカラコレだけでも映像がだいたい仕上がってしまうのです。
高感度撮影に関しては、ISO25600でもノイズが少ないα7Sには敵いませんが、S-Log2よりBlackMagic Film Gen4の方がハイライトの伸びが良いので、花火などの明るい点光源の色がしっかり残りやすく、点光源周辺の色のにじみや煙などのミッドトーンだけ色が濃くなるような事もありません。
しかもS-log2で使用できるISO感度がISO3200スタートだったのですが、これがなかなか扱いにくく・・PLフィルターとNDフィルターの2枚重ねなんて事もしておりましたが、BMPCC6KではISO100から使用できるので、フィルター2枚重ねをした時みたいに描写が甘くなる事がありません。
今回BMPCC6Kを購入したついでに、ジンバルをFeiyu Tech α2000からDJI Ronin-Sに変更しましたが、安定感が全く違いました。
撮影をする上で自分の腕を疑う事が大前提ではありますが、人それぞれ相性があるとは思うので時にはカメラや機材を疑ってみるのも必要だとは思います。
まとめと昨年撮影した映像
色々問題点もありますが、色の美しさやディテールの細かさは、さすがブラックマジックの6Kと言った所でしょうか。BlackMagic RAWはDaVinci Resolveでグレーディング中にISO感度も変えられるので、白飛びせずに明るい夜景映像に仕上げる事も可能なので本当に素晴らしいシネマカメラです。
今まではGen4のカラーサイエンスが採用されていましたが、DaVinci Resolve側がGen5に対応したのでLUTを当てた時の色の美しさに磨きがかかったような感じがしました。8bitのS-Log2で空のグラデーションが綺麗に出ない事に悩んでいましたが、やっと解放されてだいぶ気が楽になりました。
ただし、ジンバルに搭載した時の重さは合計で5kgを超えるので、気軽に扱えるポケットシネマカメラというわけでは無かったようです。
そういえば、Apple Prores RAWの使用が承認された製品に一時期BlackMagic Pocket Cinema Camera 6K Proと表記されていた事がありましたが、いつの間にか消えてしまいましたね。
誤表記なのか本当に新機種を発売する気だったのかはわかりませんが、URSA Mini Pro 12Kと同じGen5のカラーサイエンスを採用した新製品を出す気になっていたと考えるのが自然なのかもしれません。
I chatted with them, in a future update they will be bringing Gen5 color science in camera to the BMPCC6K, didn’t get a timeframe though
— James Drake Films (@jamesdrakefilms) September 21, 2020
このツイートでは、BMPCC6Kのアップデートで第5世代のカラーサイエンスが使えるようになるようになるという話を中の人から聞いたような事を記載していますので、Prores RAWの使用が承認された製品からPocket Cinema Camera 6K Proが突如消えた理由としては、Prores RAWを使用しないで他の部分はファームアップで対応できるようになったという可能性が出てきたのではないかと思います。
BlackMagic Designが発表するアップデートはファームウェアなのか新機種なのか分からない部分がありますが、ファームアップであると信じたいですよね。
2021年2月18日に行われたBMPCC6K PROの発表と同時にBMPCC4K/6KのカメラアップデートでURSA MINI12Kと同じ第5世代カラーサイエンスを使えるようになるとの発表がありました。
つまり既存ユーザー切り捨ての新製品発表ではなく、既存ユーザーにとっても嬉しい発表だった模様。
近日発表になるカメラアップデート7.3で使用できるようになるみたいですが、新製品発表と同時にアップデートの発表も行う姿勢が素晴らしいですよね。
外部モニターと外部給電で使用しているBMPCC4K/6Kユーザーにとっては驚くような発表ではなかったけど(内臓ND以外は)、悲しむような発表でもなかったのはありがたい。
BMPCC6Kで撮影した動画をYoutubeで公開していましたので、ご視聴とチャンネル登録もよろしくお願いいたします。
ちなみにYoutubeには6Kが無いので5Kでエンコードしても大丈夫ですよ。
20 mins of Plane Spotting at Sendai Airport | 仙台空港 飛行機の離着陸動画 | BMPCC6K | Miyagi Japan SDJ/RJSS
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