映像撮影におけるRAWとLogの違いとは何か?シネマカメラ・ミラーレスカメラ

Logとカラーコレクション後

映像撮影の世界でシネマティックやカラーグレーディングという言葉と共に「Log撮影」や「RAW撮影」という言葉を7年前ぐらいからよく聞くようになりましたが、それと共に今まで映像撮影用の機材として主力だったビデオカメラから、ミラーレスカメラやデジタルシネマカメラで撮影をするスタイルに移り変わり、YouTubeの映像でも撮影した映像をカット編集して公開するスタイルから、LogやRAW映像をカラーグレーディングをしてから公開する凝った映像をよく見かけるようになりました。
この記事では、映像撮影においてのRAWとLogとは何か?またどのような特徴があるのかを解説していきます。

Log撮影とは何か?

Cineon Log Curve
元々は1995年頃にコダックが開発したフィルム映像をデジタル化するCineonと呼ばれる記録方式が登場した事から始まります。
フィルムは明暗差や色を反転させているだけではなく、広いラティチュード(露光範囲)を持つ低コントラストな映像として記録していたため、フィルムの広いラティチュードをデジタル信号に収めるためには単純に階調を上げていけば良かったのです。
しかし、階調を増やした分だけデータ量が大きくなってしまうため、実際の階調に比べて少ないビット数でも同等の階調が得られるフィルム同等のCineonの特性曲線が生まれました。
このフィルムのような特性を持つガンマカーブは、リニアな特性を持つビデオガンマをリニアと呼ぶのに対して、Logと呼ぶようになり、10bitのLogカーブを使用して記録する方法はANSI/SMPTE 268M-1994(DPX)として標準化されました。
日本においては、それまで市販のカメラで馴染みが無かったものの、6~7年前からフルサイズミラーレスカメラやシネマカメラにも採用されるようになり、一般の人にもS-LogやC-Logなどのラティチュードが広いガンマカーブが浸透していきます。
ミラーレスカメラで採用された頃は8bitのLogであっても10bit分の階調を扱えるとはされていましたが、カメラ内部で記録と保存が可能なH.264/AVCベースの録画フォーマットでは、イメージセンサーが受光した色の情報を間引いて圧縮記録した映像だったので、色調補正後のバンディングやノイズの発生を抑えら切れませんでした。
Logとカラーコレクション後
Logは特殊な記録フォーマットなどではなく、ダイナミックレンジが制限されたデジタルデータの中で扱うガンマカーブなので、白飛びや黒つぶれをしてしまうような明暗差が激しい場所で威力を発揮します。

RAW撮影とは何か?

LogとRAWの違い
ここ10年位の映像撮影用のカメラを見ていると、レンズから入った光をカメラ内部で色情報を補完したデジタル信号に変換して、再生機器で読み取り可能な圧縮フォーマットで記録するビデオカメラから、DaVinci Resolveなどのソフトウェアで色調補正を行う前提でRAW記録を可能にしたミラーレス一眼カメラやデジタルシネマカメラへと移り変わって来ました。
ビデオカメラが記録する圧縮フォーマットにはMPEG2やAVCHDなどがあり、近年ではHEVCなどの高圧縮フォーマットで記録するタイプも登場していましたが、データ量の関係で明暗情報や色情報を人間が分からない程度に間引いて保存します。
つまり映像編集機器で映像データを読み込ませた時点で、イメージセンサーが受光した光や色の情報を間引いて記録した圧縮データとなっているため、ソフトウェア等で色調補正を行うと必然的に劣化や破綻が起こってしまっていたのです。
RAWは「生の」「未加工の」データという意味があって、以前から写真ではよく耳にする言葉でしたが、映像においてもカメラ内部の画像処理エンジンで色調補正や再生可能なフォーマットへの変換を行わない生のデジタルデータとして記録をします。
RAW映像はそのままの状態で再生をする事が出来ないため、Blackmagic DaVinci ResolveやAdobe Premiere Proなどのソフトウェアで色調補正を行って、再生機器で読み取り可能な各種フォーマットで書き出しを行わなければいけなければいけません。
しかし、写真と全く同じRAWで出力をしてしまうと、データ量が膨大になってしまう事に加えて映像を編集するソフトウェアを動かすための必要システム構成が大きくなりすぎてしまうため、一部にデモザイク処理を加えて圧縮を行った独自のRAWデータ、つまり半生のRAWを生成しているカメラがほとんどです。

共通しているのは広いダイナミックレンジと色域

カラースペースの比較
シネマカメラから生成されたRAWデータをソフトウェアや専用のプレーヤーに読み込ませると、カメラで生成したRAWデータに付随するメタデータを読み込んでデコードを行った映像が表示されます。
その時点ではカメラメーカー独自のガンマカーブやカラースペースで表示されている映像なので、白っぽくて色が薄い、いわゆる眠い映像となってしまいます。
この状態がイメージセンサーで受光できる最大のダイナミックレンジと広い色域で記録された信号を変換している状態なのです。
ここで言うガンマカーブとはLogガンマの事で、メーカーによってはフィルムと表現する事がありますが、Log撮影でカメラから出力されたデータと違うのは、この時点では画像エンジンが色補正や圧縮などの処理を行ってカメラから出力していない段階と同じ状態にあるという事です。
Logは画像処理エンジンで色調補正と圧縮が済んだガンマカーブの特性なので記録する映像圧縮フォーマットによってカラーグレーディング後の品質が左右されやすいのですが、RAWは画像処理エンジンで色調補正や圧縮をしていない記録方式なのでカラーグレーディング後も劣化しにくい特性があります。
LogとRAWはガンマカーブは似ていても記録方式は別物という認識でいますが、共通しているのはSDRやHDRなど様々な再生方式に対応出来るような広いダイナミックレンジと広い色域で保存が可能な事ではないでしょうか。

その反面、報道などの撮影から放送するまでのスピード感が重要視される場面では全く使い物にならない機能となるので、LogやRAWを必ず使えなければいけないかと言うと、そうではないでしょう。
編集時のコストや納期までの時間を考慮すると、特にこだわりが無ければRec.709やRec.2020のピクチャープロファイルで撮影した方が手っ取り早いのは紛れもない事実ですが、一度LogやRAWに手を出しまうと映像の仕上がりで気になってしまう部分が増えて、こだわりすぎてしまう事が増えてくるのも事実です。



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