SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art A013 | Canon EF-Sマウント | APS-C/Super35
記事内の目次
はじめに
ズームレンズでは世界初となるズーム全域でF1.8通し明るさを実現したSIGMAのArtレンズ 18-35mm F1.8 DC HSM | ARTをBlackMagic Pocket Cinema Camera 6K(以下BMPCC6K)に装着して撮影をしてみました。
BlackMagic Pocket Cinema Camera 6Kは、最大6144×3456の高解像度で記録できるシネマカメラで、レンズマウントにはキヤノンの一眼レフカメラと同じEFマウントを採用していますが、フルサイズ用のLレンズやAPS-C専用のレンズ両方を使用できます。
何故APS-C用のEF-Sレンズを使用できるのかという点ですが、BlackMagic Pocket Cinema Camera 6Kはスーパー35mmセンサーを採用しております。
写真用の35mmフィルムは横向きに装填して使用するので、パーフォレーション(送り穴)分を抜いた36mm×24mmがフルサイズセンサーとなりましたが、映像用の35mmフィルムではリールに巻いて縦に使用する名残から、24mm×14mmサイズのスーパー35mmという映像用の規格が生まれ、現在のデジタルシネマカメラに搭載するイメージセンサーでも一般的なサイズとなりました。
そのため、スーパー35mmセンサー搭載のカメラは、24mm×14mmから縦幅が2mm大きい規格のAPS-C専用のレンズも使用できるのです。
しかし、EF-SレンズはAPS-Cセンサーを搭載しているエントリーモデルから中級機向けの一眼レフカメラ用に開発が行われたため、フルサイズ用のLレンズに匹敵すると言われている「隠れLレンズ」以外はそれなりの画質となってしまい、高画素シネマカメラのBMPCC6Kの性能とはつり合いが取れなくなってしまいます。
もう一点が、BMPCC6Kは撮って出しが出来ないカラーコレクション前提のカメラなので、カット数が多い映像においては光害の影響が少なくて可能な限りクリアな描写で撮影出来た方が後々の編集作業が楽になるのです。
レンズ選びに便利なウェブサイト
レンズ選びには海外のThe-Digital-Picture.comというサイトを利用しています。
レンズの解像感やフレアやゴースト等の光害の影響など、様々な描写性能を比較できるため、手持ちのレンズと比較して購入を検討しているレンズの性能はどの程度のものなのかを調べる事が出来ます。
今回SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artを購入した経緯については、こちらのウェブサイトで比較している中で最もシャープ感を感じられたのと、中古市場で手頃な価格で購入できるという点で選ばさせていただきました。
SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artの外観
シグマは古い設計の旧型レンズの生産を終了して、3つのプロダクトラインに再編し、その中で最も描写性能が高いARTラインに位置するのがSIGMA 18-35mm F1.8 DC HS | Artです。
ゴールドのリングとロゴがあったレンズのデザインを一新しましたが、それでも発売開始日が2013年頃のそこそこ古いレンズとなります。
レンズの全長が変化しないインナーズームを採用しているため、リグを組んでレンズサポートを取り付けた場合や、マットボックスを取り付けた時にも、いちいち固定ノブを緩めて動きやすくする必要も無くなります。
また前玉のフィルターネジ部が回転をしないので、PLフィルターや可変NDフィルターを使用しても設定値が変化する事もありません。
黒いボディにArtレンズである事を証明するAのロゴが入ったシンプルなデザインですが、それが逆に良い。
多少スレ傷のある中古品ではありますが、発売から9年が経過していてもフォーカスリングとズームリングは撮影中に勝手に動くような事は無く、引っ掛かりも無い滑らかな動きをしています。
手振れ補正が無いモデルであるため、オートフォーカスとマニュアルフォーカスを切り替えるスイッチが付いたのみのとてもシンプルな構造です。
SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artの仕様
- レンズ構成枚数 12群17枚
- 画角 76.5° – 44.2°
- 絞り羽根枚数 9枚
- 最小絞り F16
- 最短撮影距離 28㎝
- 最大撮影倍率 1:4.3
- フィルターサイズ φ72mm
- 最大径×長さ φ78mm×121.0mm
- 質量 810g
- 対応マウント シグマ SA マウント/ニコン F マウント/キヤノン EF マウント
見た目の通りにそれなりの重量がありますが、開放f1.8の性能から考えるとこのぐらいの重量になるのは仕方が無いのではないかと思います。
ただし、EF-Sレンズの軽さからすると、とても重く感じる部分はあるのかもしれません。
SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art A013 | Canon EF-Sマウント | APS-C/Super35
SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artの写り
高い解像力とハイコントラストな描写力
EF-S 18mm-55mmレンズと比較しての話ではありますが、コントラストが高めで色がはっきりと出やすい印象は受けました。
色調補正をしたBlackmagic RAWのフッテージをJPEGで保存しているので色味が変わったり、自分好みの色が加味されている点では申し訳ないのですが、ミッドトーンからハイライトにかけてのコントラストが高くなったのと、シャープ感が増して被写体のディテールをしっかりと再現できるようになりました。
つまりシャープ感が増してBMPCC6K本来の解像度通りに記録出来るようになったようなイメージですが、だからと言って扱いにくくなったわけではなく、例えば販売されているLUTを当てるとLUT製作者の狙い通りの色味やコントラストに近づいて扱いやすくなったと考えていただければ良いでしょう。
フレアやゴースト
SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artはフレアやゴーストに強いという説もありますが、使ってみるとそれなりにフレアやゴーストはそれなりに発生します。
光源の角度によってはゴーストがかなり目立つ時もありますが、フレアについては逆光シーンを演出するためのエフェクトとしても活用できそうなぐらいのもので、汚いと思えるようなものでもありませんでした、
暗所撮影性能
BMPCC6KはISO400とISO3200のデュアルネイティブISOを採用していますが、今までISO3200側のISO1250~ISO5000を使わなければ撮影出来なかった場所でも、ネイティブISO感度の最大感度であるISO1000で撮影が出来るようになりました。
BMPCC6Kにおいては、ネイティブISO感度と高ISO感度でダイナミックレンジが変わってしまう特性があるので、イルミネーションや花火などの明暗差が激しい暗所でも白飛びや黒つぶれを極力回避したい場合は、ダイナミックレンジが広いネイティブISO感度を使用するための明るいレンズが必須となりますが、驚異的な明るさのSIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artはこの問題を余裕でクリアする事が出来ました。
また、SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artは、ズームレンズで世界初となる驚異のF1.8を全ズーム域で使用出来る高性能なF通しレンズでもあるため、映像撮影中においてもf値が変わらないままズーム倍率だけを変更する事が出来ます。
SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artで撮影した映像とまとめ
F1.8通しシグマ Artライン 標準ズームレンズ Sigma 18-35mm f1.8 DC HSM|Art Lens with BMPCC6K 暗所撮影レビュー
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以前よりもバンディングが目立つようになってしまいましたが、元のデータには発生していなかったので、YouTubeのエンコードの仕様が変わったのだと思います。
F値は最大でF16までになってしまうのと、シャッタースピードを1/60または1/100で抑えなくてはいけないので、明るい場所ではNDフィルターが必須となりますが、単焦点レンズに匹敵する驚異の暗所撮影性能をズーム全域で使用できるSIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artを一つ持っていても損をする事は無いでしょう。
SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Artの購入
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