ブラックマジックデザインが2019年に発売したシネマカメラ、Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K(BMPCC 6k)を導入しました。13stopのダイナミックレンジを確保し最大25,600のデュアルネイティブISOを備えたSuper35mmセンサー搭載で、最大6K解像度50fpsの12bitRAWで記録が可能になった素晴らしいカメラです。
記事内の目次
BMPCC 6Kの概要
キヤノンEFマウントの採用
ブラックマジックデザインが2019年に発売したBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K(BMPCC6K)は、同社が発売していたBMPCC4Kの後継機ではなく上位機種と位置付けられているシネマカメラです。
BMPCC4Kではマイクロフォーサーズマウントを採用していましたが、この機種ではAPS-Cセンサーサイズに近いSuper35mmセンサーとキヤノンEFマウントを採用しているため、EFレンズ・EFSレンズの両方に対応しています。
なので、キヤノン製品を使用しているユーザーであればレンズ資産を有効に活用する事ができるのです。
実は、2014年頃からソニーFEマウントとニコンFマウントに移行していたので、EFレンズはほとんど手放してしまっていたのですが、2011年前後から放置してあったEFS標準レンズが偶然にも見つかったのでBMPCC6Kに装着をしてみました。
ケラレ等もなくカメラ本体側でも認識していましたので、EFレンズだけではなくEFSレンズにも対応していると思って良さそうです。
※その後18-35mm F1.8 DC HSM | Artを購入しました。
デュアルネイティブISO
BMPCCはISO400と3200が基準ISOとなっているデュアルネイティブISOを採用しています。
技術的な事はよくわかりませんが、明るい場所ではベース感度400のISO100~1000を使用しますが、暗所撮影時にはベース感度がISO3200となる1250より上のISO感度を使うことによって、Blackmagic Designが従来苦手としていた暗所撮影と暗所でのダイナミックレンジ確保を可能にしました。
これは、ISO1000よりもベース感度が変わるISO1250の方が画質面でも良好な結果が得られるというメリットがありますが、ハイライト側が弱くなり、特に赤い光の白飛びが発生しやすくなります。
RAWは内部記録と外部記録に対応
BMPCC6KはBlackmagic RAWとApple Proresを内部ストレージと外部ストレージのどちらかで記録できます。
内部記録はCFastとSDの両方に対応していますが、1TBで1時間から2時間程度しか記録できないぐらいなので、容量の大きい製品が無いSDカードや高価なCFastよりも外部記録できるSSDの方がオススメです。
試しにUSB-CでATOMOS NINJA FLAMEで使用していたサンディスクの2.5インチSSDを使用してみましたが、時々認識しなかったり収録中に止まってしまったりしたので、ブラックマジックデザインのBMPCC6K商品ページにある「互換メディア一覧」に掲載されている製品の方がオススメです。
その中でも6K Blackmagic RAW 5:1 50fpsに対応しているのは7製品しかないのですが、一番安いDelkin Devices DJUGBM1TBでも一切止まる事がなく記録をする事が出来ました。
シンプルな操作系と大型だけど少々見にくい背面モニター
背面モニターはタッチパネル式の5インチフルHDモニターを採用しているのですが、屋外の昼間は暗め、夜は明るめに感じるので、ゼブラを表示させながらヒストグラムで調整するのが良さそう。
他にもフォーカスアシスト機能もあるので、コンティニュアスAFを搭載していないBMPCCでは、撮影時のフォーカスをマニュアルで微調整する時にとても便利でした。
国内メーカーのカメラからBMPCCに移行した時にとても不便に感じる部分ではありますが、国内メーカーは撮影時の補助機能を開発していく技術が素晴らしく、特に一発でピントが合うソニーのミラーレスから移行した時は、フォーカス精度の甘さに少々不満を感じてしまう時があるかもしれません。
使用したレンズが10年前のEFSレンズなので、スピードはやはり10年前の水準なのですが、ピントを合わせる時に迷いがあるのは機種依存なのだと思われます。
不満ばかりではなく、BMPCCのモニターは大型なだけあって撮影設定やRec状態がとても見やすく、タッチパネルをフリックして表示を消したり水平器やグリッドを表示する機能もあるのが素晴らしい所。
モニターに3DLUTを当てて表示する機能も備えています。
ホワイトバランスの調整もしやすいです
ホワイトバランスはプリセットとカスタム設定(CWB)の他に、オートホワイトバランスではホワイトバランスカードやグレーカードをモニターに映してWB更新をタップすると自動的にホワイトバランスを調整してくれます。
モニターの表示に3DLUTを当てて微調整をする事ができますが、ベクトルスコープが無く、外部モニターか勘が頼りになってしまう所がありますので、微調整は映像の編集時にするぐらいで考えていても良いかもしれません。
充分すぎるぐらい備わっている接続端子
BMPCCには外部モニターに表示するHDMI端子やファンタム電源対応のミニXLR端子、3.5mmヘッドフォン出力・マイク入力端子、外部バッテリーからの充電が可能な外部ストレージ接続などに使うUSB-Cや12VDC端子が備わっています。
端子をカバーするゴムキャップは3分割になっているのですが、USBと12VDC端子はHDMI端子をカバーしている部分を外さないと脱着しにくく感じます。
ちなみにバッテリー関係の話では、ソニーのミラーレスはUSB 5V出力のモバイルバッテリーから7.2V出力の内臓バッテリーを充電できましたが、BMPCCではそれが出来ませんでした。
12V出力も出来るPD対応のUSB-Cチャージャーもダメでしたが、AnkerのPowerIQやQUALCOMM社が開発したQuick Chargeを搭載している最大12V出力以上のUSB-CモバイルバッテリーやACアダプターで対応できます。
これ、DJI RONIN-Sも共通でした。
BMPCCの一番の弱点である内臓バッテリーは、キヤノンのLP-E6互換バッテリーなので、外部ストレージを使用して撮影をすると20分程度しか使用できませんでした。
大量に内蔵バッテリーを買い込むか、外部電源を接続しないとまともに使えないので、初めてBMPCCのカメラを購入した人はかなり悩まされてしまうのではないでしょうか。
DJI RONIN Sからの給電も試みましたが、割とバッテリー消費が激しいので、ジンバルのバッテリー残量が半分ぐらいでも電圧が足りなくなってジンバルの挙動がおかしくなりますのでご注意を!
SmallRigのNP-Fバッテリーアダプターも一時期使用していましたが、電力供給量が足りなくなって電源が落ちてしまうので、現在はVマウントバッテリーからの12V給電(D-Tap to DC LEMO 2ピン)で落ち着いています。
BMPCC6Kの重さや大きさ
ポケットシネマカメラという名称であるBMPCCは、どこがポケットなのかわからないぐらい大きくて、ニコンのAPS-C一眼レフを横に伸ばしたぐらいのサイズはあります。
重さが約900グラムあるのと、特にレンズマウントから右側の横幅が広くなっているので、何かしらの対策をしないと3軸ジンバルに乗せられない事もあります。 私が使用しているFeiyuTech α2000ではアームを反対向きにして無加工での取り付ける事が出来ましたが、DJI RONIN-SやZhiyun Crane2ではオフセットプレートを付けるなどの工夫が必要なのだそうで、ミラーレスカメラ用ジンバルで各アームの可動範囲が狭い場合はBMPCCが載せらないと思います。
FeiyuTech α2000もアームを最大まで伸ばして何とか載っている感じなので、これ以上周辺機器を載せてしまうとバランスを崩してしまいます。
※モーターのペイロードは足りていましたが、アームの強度が弱すぎてカメラの重さに耐えられなかったのでDJI RS2に変えました。
最近話題の熱停止はあるのか?
Canon EOS R5の8K動画やSony α7SⅢで話題になった発熱での停止問題があるか無いかで言ったら、完全に無いわけではありません。
BMPCC6kの問題ではなく、炎天下の屋外ロケーションで撮影した際に6K RAWでの記録で外部SSDが発熱して記録を停止する事がありましたが、上ではなく直射日光が直接当たる面積が少ない横付けで対応できました。
カメラ本体自体は、空冷ファンでの強制冷却となっているので停止する事は無いのですが、上面吸気で下面排気になっているので、Smallrigのケージやスペーサーなどで排気口と雲台の隙間は空けておいた方が良さそうです。
上面吸気なので、雨天時は正直不安です(笑)
それでも購入をした理由
Davinci Resolveを無料で使用できるようにしているBlackmagicですが、BMPCC6Kで撮影したデータも無料でギャラリーからダウンロード出来るようにしています。
商売が上手いと言うか罠と言うか・・また今回も罠にハマってしまったような感じなのですが、BMPCCのRAWデータは色が綺麗であると以前から良い評判を聞いていたので、ギャラリーで公開しているデータをダウンロードしてグレーディングをしてみました。
元々ソニーの8bit S-Log2を使用していたのですが、BMPCC6Kの12bit RAWは色が綺麗でコントラストを強めなくても被写体のディテールがしっかりしているのが素晴らしいなと・・。
ダイナミックレンジが広くて色が綺麗で12bitで・・、そんな動画用カメラをずっとお待ちしておりました・・。 しかも有料のBlackmagic Design Davinci Resolve Studioのアクティベーションコードも付いてきます。
まだ数分しか撮影を出来ていなかったので、私の動画は公開するまでに至っていないのですが、ある程度撮影が出来ましたら後程別の記事で動画を公開させていただきます。
やはりバッテリーの問題やコンティニュアスAFが無い事などもありますが、それでもBlackmagic RAWの色再現性と階調の豊かさに憧れるという人は買ってみても損はしないのではないかと思います。
しかし、最近はソニーのEマウントに移行してしまった方も沢山いると思うので、カメラ本体以上にそれ以外の部分にお金がかかってしまうというのは覚悟しておいた方が良いかもしれません。
SonyのAマウントに続きCanonもEFマウントの開発中止を発表しているので、贔屓のメーカーが無い人のためにそろそろ全メーカーでマウント形状を統一して欲しいです。
スペック
有効センサーサイズ | 23.10mm x 12.99mm(スーパー35mm) |
レンズマウント | アクティブ方式キヤノンEFマウント |
レンズコントロール | アイリス、フォーカス、ズーム(対応レンズ使用時) |
撮影解像度 | 6144 x 3456(6K)50 fpsまで 6144 x 2560(6K 2.4:1)60 fpsまで 5744 x 3024(5.7K 17:9)60 fpsまで 4096 x 2160(4K DCI)60 fpsまで 3840 x 2160(Ultra HD)60 fpsまで 3728 x 3104(3.7K 6:5アナモルフィック)60 fpsまで 2868 x 1512(2.8K 17:9)120 fpsまで 1920 x 1080 120 fpsまで |
フレームレート | 23.98、24、25、29.97、30、50、59.94、60fps 6K 50fpsまで・2.8K 120fpsまで |
フォーカス | ワンショットオートフォーカス (コンティニュアスオートフォーカスは無し) |
アイリスコントロール | アイリスホイールおよびタッチスクリーンスライダーで電子制御可能なレンズのマニュアルアイリス調整。 |
スクリーン | 5インチ 1920×1080 容量性LCDタッチスクリーン |
ビデオ出力 | HDMIタイプA x1 |
アナログオーディオ入力 | ミニXLRアナログ x1(ファンタム電源対応のMicおよび最大+14dBuまでのLineで切り替え可能) 3.5mmステレオ入力 x1、タイムコード入力にも使用可能 |
アナログオーディオ出力 | 3.5mm ヘッドフォンジャック x1 |
コンピューターインターフェース | USBタイプC |
マイク | モノスピーカー x1 |
内蔵スピーカー | モノスピーカー x1 |
記録メディア | CFast 2.0 x1 SD UHS-II カード x1 高速USB-C拡張ポート(外付けメディア用) x1 |
電源 | 12V-20V(外部電源入力:2ピン固定コネクター) USB-Type-C |
バッテリー持続時間(メーカー公称) | LP-E6:約45分(24fpsの6K RAWでCFast 2.0に収録、スクリーンの明るさ50%の状態) |
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