動画編集ソフトウェアなどでVRAM容量を大量に使用するPCの作業に最適な、12GB・GDDR6ビデオメモリーとNVIDIA製GPU搭載の低価格グラフィックボード、ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionのレビューです。
記事内の目次
12GBのVRAM搭載グラフィックボードASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionのレビュー
ASUS デュアルNVIDIA GeForce RTX 3060 V2 OCエディション 12GB GDDR6 ゲーミンググラフィックスカード (PC...
ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionのサイズ
近年はPCIe(PCI Express)スロットを2か所占有するグラフィックボードが販売されている事がほとんどですが、冷却用のヒートシンクや空冷ファンを含めると実質3スロットを占有する大型の製品も販売されている事があります。
ATX規格のマザーボードは、2スロットを占有するグラフィックボードの使用を見越して、1つ飛ばしでPCI EXPRESS×16スロットを配置している場合が多く、2スロット占有であればSLIを使用した2枚差しも可能です。(RTX3060は非対応)
ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionは、20cm×12.3cm、高さは3.8cmという小型サイズですが、PCIe×16直下のスペースも使用する2スロット占有タイプのグラフィックボードです。
SLIについて少し触れていましたが、RTX3060はSLI/NVLink非対応のグラフィックボードになっておりますので、1枚差しでの使用が前提条件となります。
また、ミドルタワーケースでの使用であれば、フロントケースファンやハードディスクとの間に空間が出来る200mmという小型サイズになっているため、大型のグラフィックボードと比較すると、GPUで熱せられた排熱が再びファンに吸い込まれる熱だまりが出来にくい仕様にもなっております。
ライティング機能もありますが、ASUSとGEFORCE RTXの文字の間のラインが光るだけの仕様になっておりますので、サイドクリアパネルを採用したATXケースに内蔵したとしても、点灯している事を忘れるぐらい目立ちません。
2つのAxial-techファンを搭載した冷却性能
冷却機能はファンブレードの周りにバリアリングを備えAxial-techファンを2基搭載し、直進性と流速を高めたエアーをヒートシンクに直接吹き付けて、高負荷時に発生する熱を効率よく排出するそうです。
実際の温度測定結果は、外付け水冷と12cmケースファンを4つ搭載してエアフローが割と良いATXケースでも、アイドル時の温度は50度を軽く超えているので、アイドルから低負荷にかけての温度は少々高めになる傾向があるようです。
室温にもよりますが、GPU使用率が100%近い高負荷状態になると冷却ファンの回転数を自動で調整をしながら75度前後でピタリと止まり、どんな事をしても(オーバークロックしても)80度以上まで温度が上昇する事はありません。
ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionは、以前使用していたGALAKURO RTX 2070 Superよりもアイドル時の温度は高めになりますので、低負荷時にファンの回転数を低速にして、ファンノイズを最小限に抑えるような制御が行われているようです。
ステンレスマウントブラケットと4つのディスプレイ出力
これまでメッキ(亜鉛?)が多かったマウントブラケットは、ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionで耐腐食性の高いSUS304ステンレスを採用し、湿度の高い場所での長期間の使用でも錆の発生が抑えられています。
また、最大4つまでのディスプレイに映像を出力できるDP 1.4aディスプレイポートを3ポート、1ポートのHDMI 2.1出力を備えており、いずれのポートも8K映像と動的HDRの出力にも対応しております。
※DP 1.4aとHDMI 2.1の出力可能な解像度はDP1.4a+DSC で最大 4k 12 ビット HDR@240Hz、DP 1.4a+DSC または HDMI2.1+DSC で最大 8K 12 ビット HDR @ 60 Hzまでをサポート。
NVIDIA GeForce RTX3060と12GB VRAMを搭載
ビデオメモリーを大量に消費するアプリケーションに最適な12GBの大容量VRAMと、NVIDIA®Ampereアーキテクチャを採用したグラフィックスエンジンNVIDIA GeForce RTX 3060の搭載で、強化されたレイトレーシングコアと Tensorコア、新しいストリーミングマルチプロセッサ、による驚異的なパフォーマンスが得られます。
VRAM容量が8GBのRTX 2070 superを搭載したPCでBlackmagic Design DaVinci Resolveを使用した動画編集を行うと、4K以上の解像度で極端に書き出し速度が落ちてしまったり、編集内容によってはVRAM容量エラーで書き出しを止めてしまう事もありましたが、低価格帯のグラフィックボードでもあるRTX3060は、VRAM容量がRTX3080Tiと同容量の12GBに拡大されているため、VRAM容量を大量に使う動画編集ソフトウェアの使用や3DCGの描画などでとても有利になります。
動画編集と書き出しは4Kでも割とスムーズ
8GBのビデオメモリを搭載したグラフィックボードでは、RAWデータやApple prores、Avid DNxHRなどの不可逆映像圧縮フォーマットの編集や4K以上での書き出しで、メモリー容量不足エラーや書き出しに充分な速度を出せない事もありましたが、カラーグレーディングやスタビライズ処理などを重ねて使用しても充分な速度を保ったまま4Kから6Kでの書き出しを行えるようになりました。
4KのAvid DNxHR HQで長さ30秒ほどの映像クリップをMOV H.265で書き出すと、書き出し速度最大115fps約9秒ほどで書き出しを終える事が出来ました。
BMPCC6KのBlackmagic RAW Filmで撮影した1分の映像クリップを、SDR Rec.709のMP4 H.265・4Kから6Kの解像度で書き出すと、平均42fps 約1分13秒で書き出しを終えられましたが、書き出し時のビデオメモリーは9GB近くまで使用します。
書き出し時の解像度を4Kから6Kまで変更しながら書き出し時間を比較してみましたが、VRAMの残容量に余裕があれば、いずれの解像度でも書き出し速度に大差は生じませんでした。
6K Blackmagic RAWで、カラーグレーディングとNeat Videoを使用したノイズリダクション処理を行って、4K HEVC Main 10 HDRで書き出すと4fps、5Kや6Kになると1~3.5fpsでの書き出し速度になります。
ノイズリダクションやオプティカルフロー+スピードワープの使用では、5K以上の処理が難しくなってしまうレベルとなりますが、4Kまでであれば時間はかかっても書き出せない事はありません。
GPUの性能がほぼ同じか少し上ぐらいでVRAM容量が8GBのRTX 2070 Superでは、VRAM容量エラーでノイズ軽減処理を行えなかったぐらいなので、8GBから12GBにVRAM容量が増えただけでも扱える映像はだいぶ多くなりました。
GPUの性能ばかりに目を向けられがちだけど、作業内容によってはビデオメモリの容量も軽視できないレベルであると感じさせられます。
動画編集 RTX3060 vs RTX4060の比較
RTX3060を搭載したデスクトップPCと、RTX4060を搭載したゲーミングノートパソコンLenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPで同じ処理を行った際の書き出し時間を比較すると、1世代後のRTX4060の方が4fps~5fpsほど書き出し速度が遅くなっています。
RTX4060はRTX3060よりもCUDAコア数を500~800基近く減らされているため、GPUとビデオメモリーに負荷がかかるDaVinci Resolveを使用したHEVC Main10 HLGの書き出しでは、RTX3060 12GBの方が性能が高く、より高速で映像の処理が終えられるという事になります。
ノイズリダクションプラグインNeat Videoを適用したクリップの書き出しでは、GPU アクセラレーションレンダリングにおける第8世代と第13世代Intel CPUの性能差を埋められず、RTX3060は5~5.5fpsでエンコードをしていたのに対し、RTX4060では6fps~6.5fpsの書き出し速度になりました。
DaVinci Resolveの場合は、VRAM容量が足りなくなってしまった際に、映像の書き出し処理が出来なくなるビデオメモリー容量エラーを吐いてしまう事もあるので、重い処理を重ねた解像度が高い映像の場合は、VRAM容量の差が出てRTX3060 12GBの方が処理落ちしにくくなります。
FF15のベンチマーク結果はRTX4060と2070Sより下か同等ぐらい
既にRTX2070superは手放してしなっていたため、記憶の中での比較となってしまいますが、FF15ベンチマークの4K高品質設定では、RTX 2070 SUPERの性能が上か同等ぐらいとなりますので、GPUを主に使用するゲームやソフトウェアでは3060の方が10%近く性能が低く感じる事はあると思います。
VRAMよりもGPUを主に使うソフトウェアやゲームで使用するのであれば、2070 SUPERよりもスコアが高くなるRTX 3060 Tiかそれ以上のグラボをオススメします。
動画の書き出しでCUDAコア数の減少が結果に反映されてしまっていたRTX4060ですが、FF15ベンチマークの4K高品質設定では、RTX3060よりも400ポイント以上スコアに差を付けていました。
低解像度の画像を高解像度にアップスケールしてフレームレートを伸ばすDLSSを有効にするとさらに差が付いて、RTX3060の5760に対してRTX4060は6522までスコアを伸ばしました。
どちらもRTX30系と40系の下位に位置する低価格帯グラフィックボードとなりますが、VRAM容量とCUDAコア数が多いRTX3060は動画編集向けのスペックになっているのに対し、クロック周波数とL2キャッシュが大幅に増えたRTX4060の方がゲームなどの3DCG描画で高い性能を発揮している結果となりました。
どちらの方が高性能なのか?というと、使用用途にもよる微々たる物となってしまいますが、VRAM容量が4GBも違うというのはゲームでは無関係で、動画編集では書き出せるか書き出せないかの大きな差になった事が分かりました。
ライブ配信用エンコーダーNVENCも搭載
ビデオのエンコードに使われるGeForce GPUの独立したNVIDIAセクションであるNVIDIA Encoder (NVENC)を搭載し、OBS(Open Broadcast Software)やXSplitなどのライブ配信ソフトウェアでは、X264の1.2倍から1.5倍のパフォーマンスで高品質なライブ配信も可能になっています。
RTX3060は、NVIDIA NVENCの高圧縮映像フォーマットHEVCを使用した配信にも対応しているため、回線速度が遅くネットワークが不安定になりがちな場所では、映像品質と圧縮率を上げて、ネットワークの安定性に依存してしまうビットレートを下げた、途切れの少ないライブ配信を行う事もできます。
また、CPU内蔵GPUを使用するQSVやソフトウェアエンコードのx264/x265ではCPUに過度な負荷がかかってしまい、ネットワークアダプターやライブ配信ソフトウェアが不安定になってしまう事もあるので、配信ソフトウェアと映像のエンコードをCPUとGPUで切り分けて処理をするために、Nvidiaのグラフィックボードを搭載するメリットになります。
NVIDIA NVENCのH.264とHEVCは使用出来ますが、より高圧縮で高品質なエンコードを可能にしたAV1についてはRTX40系からの対応で、RTX30系はデコードのみの対応となっております。
3060はLHR版なので仮想通貨のマイニングには不向き
取引などのデータをブロックチェーンに保存する作業を行って、その報酬として仮想通貨を得る事が出来るマイニングブームで、マイニングに使用するグラフィックボードの品薄と価格高騰が続いた事がありましたが、3060はマイニングの計算速度を意図的に下げるLHR版(Lite Hash Rate版)となります。
品薄と価格高騰の原因となったマイナー勢(マイニングをする人)が手を出しにくい設計となっているため、ゲーマーや動画編集者の手に回りやすく、価格も上がりにくくなっているようです。
また、原材料高騰や140円前後の相場が続いている円安の影響などで、まだまだ高性能なグラフィックボードには手を出しにくい日々が続きそうです。
お金に糸目をつけたいゲーマーや映像制作者向け
ASUS デュアル RTX3060 OC 12GB GDDR6 PCIE 4.0 HDMI 2.1 3XDP 1.4A V2
RTX 40シリーズやRTX3060Ti以上のグラフィックボードの価格がなかなか下がらないご時世ですが、ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC EditionはGPU自体の性能は良いとは言えないけど、PCI EXPRESS×16 Gen4に対応し、今まで8GBのビデオメモリで足りなく感じていたゲーマーや映像制作者にはオススメできるグラフィックボードです。
価格は、45,000円から58,000円ぐらいで推移しているので、お金に糸目をつけたい方にはちょうど良いスペックとなるでしょう。
ASUS Dual GeForce RTX 3060 V2 OC Editionのスペック
ASUS デュアルNVIDIA GeForce RTX 3060 V2 OCエディション 12GB GDDR6 ゲーミンググラフィックスカード (PC...
アーキテクチャ | Ampere |
GPU | GA106 |
プロセス | 8nm |
トランジスタ数 | GA106:132億 |
ダイサイズ | GA106:276mm² |
CUDAコア数 | 3584基 |
Tensorコア | 112基 |
RTコア | 28基 |
GPU コアクロック | OC Mode – 1867 MHz (Boost Clock) Gaming Mode – 1837 MHz (Boost Clock) |
VRAM メモリ規格 | GDDR6 |
VRAM メモリ容量 | 12GB |
VRAM メモリバス | 192bit |
バンド幅 | 360GB/s |
メモリスピード | 15bps |
インターフェイス | PCI Express 4.0×16 |
NVIDIA NVLink | 非対応 |
最大デジタル解像度 | 7680×4320 |
標準ディスプレイ コネクタ | HDMI 2.1×1・Display Port 1.4a×3 |
マルチモニター表示 | 最大4 |
HDCP | 2.3 |
AV1デコード | 〇 |
AV1エンコード | × |
NVIDIAエンコーダー | 第7世代 (RTX20と同等) |
NVIDIAデコーダー | 第5世代 (RTX40と同等) |
占有スロット数 | 2 |
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