レンズが別体となっているミラーレス一眼レフカメラやシネマカメラの悩みどころでもある不安定感を解決し、周辺機器拡張や超望遠レンズのブレさえも抑える事が可能なSmallRig(スモールリグ)の15mmロッドシステムを紹介します。
記事内の目次
何故カメラリグが必要なのか?
一昔前の動画撮影と言えばレンズ一帯型のビデオカメラが主流になっていましたが、5~6年ほど前ぐらいからレンズ交換式のミラーレス一眼レフやシネマカメラに移り変わっていきました。
ビデオカメラであればカメラ底部全体を三脚の雲台やスライディングプレートで固定する事が出来ていてとても安定感がありましたが、主流が小型のミラーレス一眼レフカメラやシネマカメラに移り変わると、固定する面積が小さいカメラ単体では特にチルト方向のブレが発生し、主にスチール向けに開発されたレンズの手振れ補正ではパンやチルトを振った後の大きな揺り戻しが発生してしまう事も少なくありません。
特に飛行機などの高速で移動する被写体を追う場合は、揺り戻しが酷くて手振れ補正をオフにしないとまともに撮影できない場合があるのです。
しかもビデオカメラとは違って外部拡張機器に頼らなければいけない部分もあるので、本体が小型化された分、外部バッテリーやら記録メディアやら、時にはフォーカスコントローラーが必要になったりします。
他にもレンズがブレないように固定したい場合など、パーツの組み合わせ次第でどうにでもできる拡張キットがカメラリグの主な役目なのです。
こうやって使わなくてはいけないというのは無くて、むしろ組み合わせ自由。固定方法も1/4ネジ・3/8ネジ、NATO互換・ARRI互換・アルカスイスやマンフロット・15mmロッドなどなど・・様々です。
デメリットとしてはカメラリグの沼に落ちると機材が少しずつ重くなってしまう事ですかね。
15mmロッドシステムを組んで撮影してみました。
SmallRig ベースプレート 15mmロッドクランプ付き 三脚ベースプレート15mmロッドクランプ三脚プレート-1798
BMPCC6Kと三脚座がセットになっているSIGMA APO 50-500mmレンズでSmall Rigのロッドシステムを使用してみましたが、35mm換算で約650mmの500mm超望遠域でもしっかりした安定感があり、逆に三脚の脚の不安定感が目立ってしまったぐらいです。
重量バランスの関係でカメラ本体とレンズサポートで固定をする事は出来ませんでしたが、とりあえず今回はこんな感じに組みました。
カメラ本体にはSmallRigのハーフケージを取り付けているので、外部バッテリーや外部マイク、左側にはSSDも取り付ているのですが、SmallRigの製品は価格の割に作りがしっかりしていて機能面でも素晴らしいだけではなく、見た目がとにかくかっこいいんです!
これだったら形から入っても良さそう。
SmallRig 15mm Rod System to reduce the shaking of the camera Test Video
サブチャンネルで公開しているSIGMA APO 50-500mmの500mmを使って撮影をした比較動画です。
レンズサポートを外すとローリングシャッター歪みが発生するぐらい激しくブレるような強い風だったのですが、15mmロッドシステムのレンズサポートを付けるだけでかなり揺れが収まるようになります。
三脚が風に煽られているのもあって完璧にはブレが収まっていませんが、15mmロッドシステムの採用はかなり有効な手段になる事が分かりました。
カメラ本体とレンズサポートで固定をするパターンも試してみましたが、レンズ交換時のセッティングが容易になった分、ベースプレートから50-500mmレンズの可動部に取り付けたレンズサポートまでの距離が長くなってしまうので、少々ブレは大きくなってしまいます。
ちなみに、鏡胴の長さが変化しないインナーズームレンズであればレンズサポートをどこに固定しても良いのですが、鏡胴の長さが変化するアウターズームレンズは前玉に遊びがあるので、焦点距離をほとんど変えない場合は極力レンズ前方を固定した方がしっかりと保持できます。
ロッドシステムを組むのに必要な物
ベースプレート
SmallRig ベースプレート 15mmロッドクランプ付き 三脚ベースプレート15mmロッドクランプ三脚プレート-1798
SmallRigのロッドシステムはフルセットでの販売が無く、パーツを個別に購入して自分で組む必要があります。
カメラやケージに対応した専用品も販売されていますが、カメラが一つだけではない場合や三脚座付きのレンズを使用する場合は汎用のベースプレートがオススメです。 今回はブレを極力少なくするのが目的だったのでプレートサイズが90mm×57mmとなっているSmallRig デュアル15mm径ロッドクランプ付きベースプレート 1798を購入いたしました。
ロッドクランプ2つとプレートが2枚入っておりますが、既存のスライディングプレートへの固定は1/4インチネジと3/8インチネジの合計2本で固定をします。
2本のねじで固定が出来て強度は高いのですが、スライディングプレートのねじ穴から細いドライバーでねじの締め付けをしなくてはいけないので、少しのコツと手間がかかる少々難ありな取付方法となります。
予算があるのであればこちらのプレートがオススメ
SmallRig 15mm二重管式ダブテールベース 4002
SmallRig 8”軽量ARRIダブテールクイックリリースプレート 3770
映画・放送業界向けのカメラを取り扱っているARRI互換のダブテールベースプレートとクイックリリースプレートは、脱着の容易さと固定方法の面でオススメです。
ダブテールクイックリリースプレートは、雲台付属のプレートの上に1/4または3/8インチネジで固定をして使用します。
ARRI規格のダブテールは、ベースプレートをスライドさせて固定をするので、カウンターバランスの調整や脱着の早さの面でとても有利な仕組みになっています。
クイックリリースプレートは200mmのショートタイプと300mmのロングタイプがありますが、レンズサポート干渉などの弊害も発生しやすいので、使用するカメラのセッティングに合わせた物を選ぶのが良いでしょう。
15mmロッド2本
SmallRig 15mmロッド チーズロッド M12ネジ穴 300mm
レンズサポートやフォーカスモーターを取り付ける15mmロッドはカーボンファイバーとアルミニウム合金から選べますが、広角域から超望遠域まで様々なレンズを使用する場合は連結可能なアルミ製がオススメです。
200mmと300mm2本ずつと連結コネクター2個がセットになっていて、全て連結すると約500mmまで拡張する事が可能です。
連結した時の強度は気になりましたが、多少強く揺すってもブレないぐらいのしっかりとした強度がありました。
レンズサポートブラケット
SmallRig レンズサポート レンズサポートプラケット レンズサポートシステム
15mmロッドシステムに対応したレンズサポートプラケットは、53.5mmまで高さを調整できるロングタイプにしました。
三脚座付きの望遠レンズで使用した時は残りの調整幅が7mmしかなかったので、ちょうど良かったかもしれません。
使用感とまとめ
今回購入した製品全てで12,097円なので製品品質の良さの割にはかなり安かったのですが、レンズを簡単に脱着できると思っていたプレートは太さ5mm以下のマイナスドライバーを使用しないと1/4ネジを回せない仕様になっていた模様。
望遠レンズの三脚座を使用して固定する場合は、アルカスイス互換プレート&クランプ 2144とアルカスイス互換プレート 2146があると素早く標準レンズ仕様に変更が出来そうです。
組み立てる時まで全く気付きませんでした。
しかし、簡単に仕様を変更できるのもセット販売がされていないSmallRigロッドシステムの良さと言った所で、組み合わせ次第で様々なカメラやレンズに対応可能なのが本当に素晴らしいです。
購入時はベースプレートが短くてロッドがブレるんじゃないかと思っていましたが、レンズやカメラを叩いてもブレないぐらいの保持力がありますので、望遠レンズのブレに悩まされている方にはオススメしたい製品です。
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