USB3.0接続でライブ配信やゲーム録画をしながら、HDMIケーブルでセカンダリーモニターに4K映像を出力する事が可能なパススルー機能を搭載した格安ビデオキャプチャーボード、Mirabox OEM品のTreasLin HSV321をレビューしていきます!
記事内の目次
TreasLin USB3.0 HDMI 4Kパススルービデオキャプチャーボード HSV321のレビュー
TreasLin USB3.0 HDMI ビデオキャプチャーボード Switch PS5 PS4 PS3 Xbox Wii U用サポート(HDMI 4K30FPS...
ライブ配信やビデオ録画に必要な映像入力機器
カメラを使用したライブ配信や家庭用ゲーム機などのPCとは別の機器から出力された映像を録画する時は、外部から映像を入力するための端子が必要ですが、HDMI出力端子が付いている事は多くても、HDMI入力端子を備えているパソコンはとても珍しいケースなのです。
パソコン内部にデコーダーを収めるスペースや排熱などの技術的な制約もあるかと思いますが、PCを所有するユーザー数全体から見ても、ライブ配信や録画用途に使用するユーザー数は少ないので、本体価格を抑えて販売した方が売れるのでしょう。
また、ソニーなどの家電業界が集まって策定されたHDMI端子は、機器メーカーがライセンス料を支払わなければいけないので、パソコンにありそうで無いのがHDMI入力端子・・・
なので、例外を除いてPCIe接続やUSB端子に接続をして映像を取り込むためのビデオキャプチャーボードが必要になるのです。
ライブ配信やビデオ録画に必要な要件
ライブ配信や録画などで、外部機器から出力される映像をPCに取り込むためには、映像を必要なファイル形式に変換をするための最低要件が存在しています。
必要なスペックに満たなかったとしても、デコード品質や解像度を下げて取り込む事が出来るかもしれませんが、取り込んだ映像がカクカクと動いてモニタリングがまともに出来なかったり、CPUに過度な負荷がかかって映像を取り込むためのソフトウェアがフリーズした状態し続ける事にもなります。
ソフトウェアを動かすためのCPUの性能やDRAM容量、またリアルタイム録画をするためのSSDの速度などのPCの基本的な性能が重要になってきますが、映像の処理を担当するハードウェアビデオエンコード&デコードが可能な、CPU内蔵GPUやPCIe接続のグラフィックボードも重要になってきます。
Intel HD Graphics 520を内蔵している第6世代Intel Coreプロセッサーを搭載したノートパソコンでYouTubeのライブ配信をした際は、OBS(Open Broadcast Software)のフルハイビジョン・デコード品質標準でギリギリのスペックでしたので、これを最低ラインとして考えております。
CPUおよびGPU | フルHD | Intel HD Graphics 520内蔵Coreプロセッサー以上 |
4K | GeForce RTX系グラフィックボード | |
DRAM | フルHD | 8GB以上 |
4K | 16GB以上 32GB推奨 | |
SSD | フルHD | 1TB以上のSATA接続2.5インチSSD |
4K | 1TB以上のM.2接続NVMe | |
ネットワーク(ライブ配信時) | NURO以外の光回線・NUROモバイル以外のモバイルネットワーク |
ライブ配信時のインターネット回線については、配信予定場所のネットワークの使用状況にもよりますが、輻輳が発生しやすかったりパケットロスが多い回線では、映像の視聴者側でフリーズが頻発する事も多いので、安定しやすい回線を契約する必要があります。
今回ご紹介するTreasLinのキャプチャーボードHSV321は、フルHD以上の解像度が高い映像を取り込めない製品なので、割と低いスペックのノートパソコンでも録画やライブ配信は可能です。
TreasLin USB3.0 HDMI ビデオキャプチャーボードHSV321の外観
※3年使用した後の画像のため、本体画像には使用年数相応の擦れや傷があります。
TreasLin HSV321のサイズは105mm×68mm×25mmで、黒い本体と赤いカラーアルマイト処理が施された枠で構成されたデザインになっており、正常に接続が出来ている事を知らせるオレンジ色のLEDランプが上部に取り付けられています。
2つの端子がある側は、パソコンに接続するためのUSB 3.0 Type-A端子と外部映像機器から出力された映像を取り込むためのHDMI入力端子が備えられています。
USB Type-AからType-Cに変換して接続した際は、PC側から認識すらも出来ていなかったので、USB 3.0以上のType-A端子に接続する事が必須条件になります。
反対側のHDMI端子は、PCに取り込んだ映像とは別に液晶ディスプレイでモニタリングするために使用するHDMIパススルーポートになっております。
PCに取り込んだ映像は、デコーダーやソフトウェアなどを経由している間に大幅な遅延が発生してしまう事もあるため、HDMI入力で受け取った映像データをそのまま通過させて、遅延が少ない映像をモニタリングするために使用します。
ゲーム機から出力された映像をPCに取り込んでリアルタイムデコードをしながら、HDMIパススルーポートを経由して液晶ディスプレイを見ながらゲームプレイをする時に、伝送遅延による操作ミスを回避するために必要になるビデオ出力ポートです。
OBSでライブ配信をする時の設定
ライブ配信やリアルタイム録画をする時のソフトウェアは有料無料問わずに、様々なソフトがリリースされておりますが、一番安定していて扱いやすかった無料のライブ配信・録画ソフトウェアのOBS(Open Broadcast Software)を使用します。
画質ではXSplitが良かったのですが、ライブ配信中に時々ブロックノイズ入って画像が崩れてしまう事もあったため、一番安定しているOBSに出戻りいたしました。
OS側は、USBセレクティブサスペンドの無効化やモニターの電源オフの無効化など、OBSやキャプチャーボードに関わる省電力設定を全て無効化しておく必要があります。
OBSの詳細設定
最初に詳細設定で映像の設定を行いますが、8bit フルHDまでしかPCに取り込めないHSV321は、カラーフォーマットNV12(8bit, 4:2:0 2 planes)に設定します。
色空間は、色域またはカラーガマットとも呼ばれるもので、ハイビジョン映像や4K SDR映像の一部でも使われているRec.709に設定をします。
色範囲はキャプチャーボードに取り込む映像機器が出力できるソースの信号にもよりますが、0-255で出力している場合はフル(フルレンジ)、16-235で出力している場合はリミテッド(リミテッドレンジまたはビデオレンジ)または、配信先が対応しているレンジに設定をします。
これを正しく設定していないと、コントラストが低い映像になったり、白飛びや黒つぶれしている映像が記録されてしまうので、最終的に表示される予定のデバイスでチェックをしておくのがオススメです。
映像の一般設定
基本(キャンバス)解像度は、メインの OBS ウィンドウでソースを追加するための下地(Canvas)にあたる部分になります。
キャプチャーボードで入力した映像をフルスクリーンで配信をする時は、ソース解像度と同じアスペクト比と解像度を設定しておきます。
出力(スケーリング)解像度は、メインウィンドウ内(キャンバス)で構成したソースをデコードして、配信先で表示する解像度や録画したデータを保存する時の解像度を決定する設定です。
基本解像度と出力解像度を同じアスペクト比に設定をしないと、縦か横に映像が引き伸ばされてしまいます。
縮小フィルターは、基本よりも出力解像度が低くなる時に使用するフィルターの種類を選択する項目です。
ランチョスが一番画質が良くなりますが、その代わりにデコードを受け持つGPUなどのハードウェアにかかる負荷が高くなってしまいます。
また、アップスケーリングでも縮小フィルターを選択する事が出来ますが、OBSのフォーラムによるとアップコンバート時にフィルター自体は機能していないとの事なので、ダウンスケーリング時のみ有効になるフィルターです。
FPS共通値は29.97fpsに設定しておりますが、HSV321はフルHD 60fps以上の映像を出力出来ない仕様になっているので、ヌルヌル動くようなゲームの配信や録画は物足りなくなってしまう事にご注意を!
映像キャプチャデバイスのプロパティ設定
HSV321で外部から映像を取り込んでライブ配信や録画をする際は、ソースを映像キャプチャデバイスに設定します。
次に右クリックでプロパティを表示してから、デバイスをMiraBox Video Captureに設定しますが、デバイス名が表示されている状態で映像が表示されない時は、別のデバイスに一旦切り替えてから、再度MiraBoxに切り替えると表示されます。
TreasLin HSV321として販売がされている製品ですが、中身はMiraBox HSV321と同じものなので、メーカー名を変えただけのOEM品だと思われます。
それ以外は基本的にデバイスの既定値のままで大丈夫ですが、下の方にある「利用可能な場合はハードウェアデコードを使用する」にチェックを入れないと、映像がカクカクして正常に録画や配信をする事ができません。
利用可能な場合と記載されていますが、利用しないとハイスペックなPCでも無理です。
音声出力モードは「音声のみをキャプチャ」のままで正常に音声は出力できております。
出力の配信と録画設定
出力の配信設定では、PCに内蔵しているハードウェアの性能やインターネット回線の速度や安定度に合わせて、ビットレートやプリセットを調整しながら無理のない設定値を詰めていく必要があります。
映像エンコーダーは、H.264<HEVC<AV1の順番に画質が良くなって、データのサイズも小さくなっているのですが、ハードウェアに負荷がかかったり、そもそも対応をしていない事もございます。
選択可能な映像エンコーダーで最もデータサイズが小さくなって画質が良好なものを選び、プリセットで品質を調整しながら、CPUやGPUの負荷が80%以内に収まるように設定します。
また、ネットワークの通信速度や安定度に合わせてビットレートを調整して、配信先の視聴者側でフリーズが発生しないようにドロップフレームの発生を抑え込む必要がありますが、最適な設定は経験と勘に頼らなくてはいけません。
YouTubeで配信をした際の画質
宛先で配信先のアカウントを接続するか、ストリームキーを入力して、配信開始をクリックすると配信が始まります。
OBSを使用したYouTube配信の時にアカウントを接続すると、配信中に勝手に終了にされてしまう事もあったため、配信を中断して最適なビットレートを探りながら配信をする時はストリームキーを入力して接続するのがオススメです。
TreasLin HSV321を使用してライブ配信をした映像のアーカイブは以下のYouTubeプレーヤーで視聴できます。
中古のビジネスパソコンとモバイルWi-Fiをネットワーク回線に使用している都合で、フルハイビジョン画質でビットレートを下げてライブ配信をしていましたが、過度なブロックノイズやアーティファクトの発生を抑え込みながら、比較的高い画質を維持する事は出来ました。
AVerMediaのLive Gamer ULTRA 2.1 GC553G2も所有していますが、フルハイビジョン画質で比較すると、どちらもさほど変わらない品質でしたので、5000円以内で購入できるビデオキャプチャーボードの中では画質が良い方だと思います。
HDMIの4Kパススルー出力は、フルHDで20msぐらいのディレイが発生しているような感じでしたので、ゲーム配信の際は遅延が若干気になってしまうかもしれません。
カメラを接続して3年近く使用していましたが、ライブ配信やゲーム録画入門用キャプチャーボードとして購入をするのがオススメ!
TreasLinのビデオキャプチャーボード HSV321は、Amazon・楽天市場・Yahooショッピングの各ショッピングサイトでお買い求めいただけます。
TreasLin USB3.0 HDMI ビデオキャプチャーボード Switch PS5 PS4 PS3 Xbox Wii U用サポート(HDMI 4K30FPS...
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