10年間HDDを交換せず、RAID10構成で運用してきた私の自作パソコン。Adobe PhotoshopやPremiere Proの起動に1分以上かかるようになったため、システムドライブを高速なNVMe M.2 SSDのBIOSTAR M700-1TBに変更しました。
前年には自作PCのマザーボードやCPUを交換したことを記事にしましたが、今回のSSD導入では、パソコンを一から組み直すよりもUEFI BIOSやOSの設定に苦労したように感じます。
この記事では、HDDからNVMe SSDへの換装を考えている方に向けて、ASUS ROG STRIX Z390-F GAMINGへの取り付け方法、UEFI BIOSの設定、Windows 10のクリーンインストールまでを、実際の作業写真とともに紹介します。使用したのはM.2接続のBIOSTAR M700 1TBです。
※その後、BIOSTAR M700の販売が終了したため、SSDをWD Blue SN570 WDS100T3B0Cに交換しました。以下の取り付け手順やUEFI設定は、当時使用した環境での記録としてご覧ください。
NVMeとM.2 SSDの違いとは?接続規格と転送速度を解説
M.2 SSDを選ぶときに混同しやすいのが「M.2」と「NVMe」の違いです。M.2はSSDの形状と接続端子に関する規格で、NVMeは主にPCI Express経由のSSDで使われる通信規格を指します。同じM.2形状でも、SATA接続とPCI Express接続では転送速度が異なります。
M.2 SATA SSDは、SATA 6Gb/sのインターフェースを使用するため、一般的な2.5インチSATA SSDと同程度の転送速度になります。
一方、NVMe SSDはPCI Expressを利用してデータを転送します。今回使用するPCIe 3.0 x4接続では、理論上の帯域幅は約32Gbpsとなり、SATA接続より大きな帯域を利用できます。ただし、実際の読み書き速度はSSD本体や使用環境によって異なります。
2.5インチSSDが登場したときもHDDとの速度差には驚きましたが、NVMe M.2 SSDはケーブルを使わずマザーボードに直接取り付ける方式で、転送速度だけでなく接続方法まで大きく変わっています。
従来の2.5インチSSDはケース内に固定し、SATAデータケーブルと電源ケーブルで接続しますが、M.2 SSDはマザーボード上の対応スロットに差し込み、ネジで固定します。初めて取り付ける場合でも、端子の向きとスペーサーの位置を確認すれば、手順自体はそれほど複雑ではありません。
今回NVMe方式を選んだ理由は、転送速度の速さに加え、使用中のマザーボードでSATAポートの排他制限を避けやすかったためです。ただし、M.2 SSDを使用した際のSATAポートや拡張スロットの制限は、マザーボードによって異なります。
ASUS ROG STRIX Z390-F GAMINGでは、M.2_1にSATA方式のSSDを取り付けるとSATA6G_2ポートが使用できなくなります。一方、今回使用したM.2_2はPCIe 3.0 x4接続に対応しており、NVMe SSDの取り付けによってSATA6G_2が無効になることはありません。ただし、別の拡張スロットの設定によってSATA6G_5とSATA6G_6が使用できなくなる場合もあるため、SATAポートを多数使用する場合はマニュアルの確認が必要です。
BIOSTAR M700-1TBの取り付け方法
今回購入したBIOSTAR M700-1TBは、DRAMキャッシュを搭載しないコスト重視のNVMe SSDです。PCIe 3.0 x4に対応し、公称最大シーケンシャル読み出し速度は2,000MB/s、書き込み速度は1,650MB/s。当時は1TBモデルを16,480円で購入し、ヨドバシカメラのゴールドポイントも利用しました。
それまで10年間使用したHDDをRAID10構成で運用していたので、私にとっては十分魅力的な性能です。2020年5月に価格.comへ投稿された購入者レビューでも、価格を重視した選択ながら読み書き性能に満足し、ヒートシンクと送風で温度が安定したという評価が見られました。ただし、確認できたレビューは1件であり、長期的な信頼性を判断できるほどの情報ではありません。
商品は到着予定より3日早く、ゆうパックで届きました。箱の中にはBIOSTAR M700-1TB本体と英語の説明書が入っており、内容物はいたってシンプルです。
BIOSTAR M700-1TBのサイズはM.2 2280で、幅22mm、長さ80mmです。M.2 SSDには2230、2242、2260、2280、22110などの長さがあり、取り付ける際はマザーボードが対応するサイズを確認する必要があります。
NVMe SSDは製品や負荷によって発熱が大きくなる場合があり、温度が上昇しすぎると性能を抑えて過熱を防ぐ「サーマルスロットリング」が働くことがあります。ただし、すべてのNVMe SSDにヒートシンクが必須というわけではなく、使用環境や冷却状態によって必要性は異なります。
BIOSTAR M700-1TBについては、当時の専門サイトによる検証で、連続した高負荷テストではヒートシンクなしの場合に温度が約81℃まで上昇し、冷却時は最大約62℃に抑えられたと報告されています。長時間のデータ転送を行う場合は、ヒートシンクやケース内の風の流れを確保した方が安心です。
私が使用しているASUS ROG STRIX Z390-F GAMINGには、M.2_2スロット用のヒートシンクが標準で付属しています。取り付け時にはSSD表面の製品ラベルを剥がしてしまいましたが、ラベルは保証や製品識別に関わるため、メーカーが指示していない限り剥がさない方がよい部分です。
ヒートシンクのサーマルパッドに貼られた保護フィルムと、SSD本体の製品ラベルは別物なので、混同しないように注意しましょう。
M.2_2用ヒートシンクの裏側には、SSDと密着させて熱を逃がすサーマルパッドが付いています。取り付ける前に、サーマルパッドの保護フィルムを剥がしておきます。
ヒートシンクを固定しているネジは非常に小さいため、タワー型ケースを横に寝かせ、ネジを落とさないよう慎重に取り外すと作業しやすくなります。
ASUS ROG STRIX Z390-F GAMINGのM.2_2スロットは、最大22110サイズまで対応していますが、今回使用するBIOSTAR M700は2280サイズです。マザーボードの取り付け位置を確認し、2280の位置にSSD固定用スペーサーを取り付けます。ヒートシンク側の固定部品と取り違えないように注意してください。
SSD固定用のスペーサーやネジはマザーボードの付属品に含まれるため、組み立て時に保管しておくと安心です。
私は使う予定がないと思っていたので、箱の中から探し出すのが大変でした(笑)。
パソコンの電源を切り、電源ケーブルを抜いた状態で作業します。M.2 SSDをスロットに対して約30度の角度で差し込み、端子が正しく入ったことを確認してから、SSDを水平に倒してスペーサーの位置でネジ固定します。
SSDを固定するときに強い力は必要ありません。スペーサーまで自然に下がらない場合は、無理に押し込まず、差し込み位置や向きを確認してください。
SSDをネジで固定したら、サーマルパッドの保護フィルムを剥がしたヒートシンクを元に戻します。これでM.2 SSD本体の取り付けは完了です。
Windows 10インストールメディアの作成とバックアップ
ソフトウェアやドライバー、必要なデータを退避する
以前のシステムをクローンして移行する方法もありますが、私の場合は10年間使用したHDDからの変更であり、RAID構成や起動方式も見直す必要があったため、Windows 10のクリーンインストールを選びました。
再インストール後の作業を減らすため、必要なドライバー、ソフトウェアのインストーラー、設定ファイル、写真や動画などを、外付けHDDやUSBメモリーへバックアップしておきます。アプリケーション本体を別ドライブへコピーするだけでは、正常に復元できない場合がある点にも注意が必要です。
以前からシステム用とデータ保存用のパーティションを分けていたため、作業対象を整理しやすかったのですが、パーティション分割だけで物理的なディスク故障によるデータ損失を防げるわけではありません。OSをクリーンインストールする前には、別の記憶装置にバックアップを作成し、必要なファイルが残っているか確認することが大切です。
また、ソフトウェアによっては、システム変更前にライセンスの解除やアカウントの確認が必要です。Windowsのライセンス認証方法も確認し、使用中のアプリケーションの製品情報や再インストール手順を控えておきます。
今回クリーンインストールを選んだ大きな理由は、旧世代のX58チップセット環境で構築したRAID10から、非RAID構成のNVMe SSDへシステムを移すためです。レガシーBIOSで起動していたWindowsをUEFI起動へ切り替える作業も必要で、既存の環境をそのまま複製する方法ではトラブルが発生しました。
実際にシステムのクローンも何度か試しましたが、うまく移行できませんでした。結果として、Windowsを新規インストールし、必要なソフトウェアやドライバーを入れ直す方法が、私の環境では確実でした。
Windows 10インストールディスクの作成方法
まず、Microsoftのメディア作成ツールをダウンロードし、Windows 10のインストールメディアを作成します。USBフラッシュドライブに直接作成する方法と、ISOファイルを作成してDVDに書き込む方法があります。
私の場合はWindowsのライセンスをオンラインで購入していたため、クリーンインストール後のライセンス認証もインターネット経由で行いました。認証方法はライセンスの種類やPCの構成によって異なります。
旧環境をそのまま更新するのではなく、新しいSSDへインストールすることで、システム構成も整理できました。
メディア作成ツールを起動したら、「別のPCのインストールメディアを作成する」を選択します。
UEFIモードでインストールする際に重要なのは、作成したUSBメモリーやDVDをUEFI方式で起動することです。USBメモリーが特別な「UEFI専用品」である必要はありませんが、作成方法や起動方法がUEFIに対応している必要があります。DVDドライブを使用する場合も、UEFIとして起動できる構成であればインストールできます。
続いて言語、アーキテクチャ、エディションを選びます。同じPCにWindows 10を再インストールする場合は、「このPCにおすすめのオプションを使う」を選択すると設定が簡単ですが、実際にインストールするエディションやライセンスに合っているか確認しておきます。
次に、USBフラッシュドライブへ直接書き込むか、ISOファイルを保存するかを選択します。ISOファイルを選んだ場合は、作成後に別途ディスクへ書き込む必要があります。
ISOファイルが完成したら、「DVD書き込み用ドライブを開く」などの案内に従ってインストールディスクを作成します。USBを使用する場合は、作成先のデータが消去されるため、必要なファイルが入っていないことを事前に確認してください。
インストールメディアが完成したら、バックアップが取れていることを確認し、パソコンをシャットダウンして作業の準備をします。
クローンやバックアップで試行錯誤した末にクリーンインストールへたどり着いたので、この時点ですでに疲れていましたが、ここからUEFI BIOSの設定が始まります。
Windows 11を見据えたUEFI起動とGPTの基本
以前のパソコンでは、電源を入れると文字中心のBIOS設定画面が表示されることが一般的でした。私も長年その画面を使ってきたので、UEFI BIOSの項目の多さには少し戸惑いました。
従来のBIOSは古いPCの起動方式に由来する仕組みで、現代のUEFIとはブート手順やディスクの扱い方が異なります。
従来のMBR形式では、一般的な512バイトセクターのディスクで扱える容量がおおむね2TBまでに制限されます。UEFIによる起動では、GPT形式のディスクをシステムドライブとして使用できるため、このような制限を回避できます。
UEFIはGPT形式での起動に対応するほか、セキュアブートなどの仕組みも利用できます。起動速度などの面でも利点がありますが、実際の設定項目や動作はマザーボードによって異なります。
マザーボードによっては、旧BIOSとの互換性を保つCSMという機能が用意されており、レガシー起動とUEFI起動を切り替えられます。ただし、どちらの方式でWindowsをインストールしたかによって必要なディスク構成が変わるため、設定を切り替えるだけで既存のOSが起動するとは限りません。
Windows 10は構成に応じてUEFI起動にもレガシー起動にも対応していました。一方、Windows 11の最小システム要件にはUEFIとセキュアブートへの対応に加え、TPM 2.0や対応CPUなどが含まれます。セキュアブートは「対応していること」が要件であり、インストール時に必ず有効化されていなければならないという意味ではありません。
今後Windows 11への移行を考える場合にも、UEFI方式でWindowsをインストールし、GPT形式のシステムディスクを使用しておくと構成を整えやすくなります。ただし、UEFI設定だけでWindows 11の全要件を満たせるわけではないため、CPUやTPMの対応も確認が必要です。
ASUS ROG STRIX Z390-F GAMINGのUEFI BIOS設定方法
SATAモードの選択
SATA Mode Selectionは、SATA接続のHDDやSSDの動作モードを指定する項目です。一般的な単独ドライブ構成ではAHCI、既存のIntel RSTによるRAID構成を使用する場合はRAIDを選択します。NVMe SSDそのものの接続方式を切り替える設定ではありません。
私は動画や写真の保存に使うHDDを残しつつ、システムを新しいNVMe SSDへ移行するためAHCIを選択しました。ただし、稼働中のRAID構成で不用意にAHCIへ変更すると既存のOSやRAIDボリュームにアクセスできなくなるおそれがあるため、変更前に必ずデータをバックアップしてください。
Boot Sector(MBR/GPT)Recovery Policyの確認
ASUS ROG STRIX Z390-F GAMINGでは、外付けドライブの接続時に起動エラーが生じるという事例を参考に、Boot Sector(MBR/GPT)Recovery Policyも確認しました。ただし、この設定がすべての外付けドライブの起動トラブルを解決するわけではありません。
私の環境では、Advanced Modeの「Boot(起動)」にある「Boot Sector(MBR/GPT)Recovery Policy」を「Auto Recovery」に設定しました。これはブートセクターの回復方針に関する項目であり、NVMe SSDを認識させるための必須設定ではありません。
セキュアブートの設定を確認する
続いて「Secure Boot」の「OS Type」を確認します。ASUSのUEFI BIOSでは、「Windows UEFI mode」や「Other OS」などの項目が表示され、選択した設定によってセキュアブートの扱いが変わります。表示名はBIOSのバージョンや言語設定によって異なります。
今回はUEFI方式でWindowsをインストールするため、Windows向けのUEFIモードを選択しました。なお、「Other OS」を選ぶ設定は、WindowsをUEFI起動できなくすることと同じではありません。
Windows 11ではUEFIとセキュアブートへの対応が必要ですが、実際にセキュアブートが有効になっているかは、設定画面やWindowsのシステム情報で確認します。
セキュアブート用の鍵が登録されていない場合は、BIOSの既定キーを再登録する操作が必要になることがあります。設定名は製品によって異なるため、鍵の削除や登録を行う際はマザーボードのマニュアルを確認してください。
CSMを無効にする
CSM(Compatibility Support Module)は、従来のBIOS起動との互換性を保つための機能です。今回のようにWindowsをUEFI方式で新規インストールし、必要な機器がUEFI起動に対応している場合は、CSMを無効にして進めます。
ただし、古い拡張カードや周辺機器にはCSMが必要な場合もあります。既存のレガシー起動環境で設定だけを変更するとOSが起動しなくなることがあるため、変更前の構成を確認しておきましょう。
Boot Optionの設定とインストールメディアの起動
Boot Optionには、起動可能なデバイスやWindows Boot Managerが表示されます。写真はNVMe SSDへのインストール完了後の画面なので、「Windows Boot Manager(M.2_2: BIOSTAR M700-1TB)」が表示されています。
OSをまだインストールしていない段階では、NVMe SSDのWindows Boot Managerは表示されません。インストール用USBメモリーやDVDを接続してUEFI BIOSを開き、起動先としてインストールメディアを選択します。ASUSのマザーボードでは起動時にDeleteキーやF2キーで設定画面を開けます。
起動メニューにUEFI:ドライブ名と表示されている項目があれば、それを選択してUEFI方式でWindowsのインストーラーを起動します。インストール先には新しいSSDを指定し、既存のHDDやRAIDのデータを誤って消去しないよう、ドライブの容量と名称を必ず確認してください。
Windows起動後の確認とNVMe SSDの速度測定
Windowsをインストールしたら、システム情報(msinfo32)を開いて「BIOSモード」が「UEFI」になっているか確認します。セキュアブートを有効に設定した場合は、「セキュアブートの状態」も「有効」と表示されているか確認し、その後に必要なドライバーやWindows Updateを適用します。

CrystalDiskMarkでBIOSTAR M700-1TBの転送速度を測定したところ、シーケンシャルリードは約2,000MB/sとなりました。公称値に近い読み出し速度が得られ、HDDからの換装による改善を実感できました。
Windowsの起動だけでなく、Adobe Premiere ProやPhotoshopの起動も以前より軽快になりました。ただし、CrystalDiskMarkの数値が数倍になったからといって、すべてのアプリケーションが同じ倍率で高速化するわけではありません。6K RAW映像の編集や大容量動画ファイルの読み書きでは、SSDの連続転送性能に加え、素材の圧縮方式、ビットレート、キャッシュの状態なども実際の処理速度に影響します。
今回の換装では、高速なストレージをシステムドライブとして使えることに加え、複数のHDDを接続したまま運用できる点も大きなメリットでした。NVMe SSDの導入では、ベンチマークの最大速度だけでなく、マザーボードの接続制限や用途に合った容量も確認したいところです。
10年間HDDをシステムドライブとして使用してきた私にとって、DRAMレスのBIOSTAR M700-1TBでも十分満足できるアップグレードになりました。
NVMe SSD自体は回転部品がないため動作音がありません。ただし、保存用のHDDやケースファン、電源ファンなどは引き続き動作するので、パソコン全体を無音にするには別の対策が必要です。
その後、BIOSTAR M700 1TBの販売が終了したこともあり、使用するSSDをWD Blue SN570 WDS100T3B0Cへ交換しました。
CrystalDiskMarkの測定結果を比較すると、私の環境ではBIOSTAR M700 1TBよりもランダムアクセスの一部項目が低下した一方、シーケンシャル読み出し・書き込みはWD Blue SN570の方が高速になりました。ベンチマークの結果は測定条件によって変わるため、これだけで両製品の優劣を判断することはできません。
WD Blue SN570は、1TBモデルで公称最大シーケンシャル読み出し3,500MB/s、書き込み3,000MB/sのPCIe 3.0 x4対応SSDです。実際に使い続けた印象では、私の環境ではBIOSTARより安定して運用できており、同じような用途で選ぶのであればWD Blue SN570をすすめたいと感じています。
WD Blue SN570 WDS100T3B0Cは、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングなどでも取り扱われていた製品です。

























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