夏が近づくと、エアコンや扇風機などの電化製品を購入する人が増える時期になりますが、扇風機とエアコンの中間的な存在として、冷風扇や冷風機と呼ばれる家電製品も売れ始めます。
しかし、冷風扇はエアコンのように室内を冷やせる製品ではなく、使用環境によっては湿度が上昇して不快に感じることもあるため、個人的にはあまりおすすめできません。
この記事では、冷風扇をおすすめしにくい理由やエアコンとの違い、同じ仕組みを採用している家電製品のほか、スポットクーラーの種類と選び方についても解説していきます。
扇風機のメリットとデメリット
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扇風機とは、モーターの回転力によって羽根を回し、生み出した風によって清涼感を得るための空調機器です。
扇風機が生み出した風に当たると、人体が発した熱が周囲に滞留しにくくなるほか、汗の蒸発によって体の熱が奪われるため、同じ気温の環境でも涼しく感じられます。
また、室内の空気を循環させて熱のこもりを抑えたり、窓を開けて使用することで屋外の新鮮な空気を取り込む換気を補助したりする効果もありますが、エアコンのように室内の空気そのものを冷却することはできないため、基本的には室温を下げられないというデメリットがあります。
一方、エアコンと比較すると消費電力が非常に低く、電気料金を抑えられるうえに、AC100Vのコンセントがあれば好きな場所に設置できるため、手軽で使い勝手が良いというメリットもあります。
エアコンのメリットとデメリット
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家電量販店などで見かけるエアコンは、正式にはエア・コンディショナーと呼ばれ、室内の空気から熱を奪ったり、屋外から熱を取り込んだりすることで、温度や湿度などを調整する空調機器です。
一般的な家庭用エアコンは、蒸発器として機能する熱交換器を内蔵した室内機と、圧縮機や凝縮器として機能する熱交換器を内蔵した室外機を冷媒配管で接続した構造になっており、液体が蒸発するときに周囲から熱を奪う性質を利用して室内の空気を冷やし、その熱を冷媒によって屋外へ運んで放出しています。
具体的には、圧縮機で高温・高圧になった冷媒が室外機の熱交換器で放熱した後、膨張弁で減圧されることによって低温となり、室内機の熱交換器で蒸発しながら空気中の熱を吸収します。このとき、熱交換器を通過して冷やされた空気がファンによって室内に送り出されるため、部屋全体の温度を下げられるのです。
この冷媒による熱の移動を逆方向に切り替えれば、屋外の空気から熱を吸収して室内に放出できるため、冬場には暖房としても機能させることができます。
このようにエアコンは、冷媒の蒸発や凝縮、圧縮と膨張を利用して室内の温度調節を効率よく行っていますが、圧縮機やファンなどを動かすために一定の電力が必要になることから、扇風機と比較すると消費電力が大きく、使用状況によっては電気料金が高くなりやすいというデメリットがあります。
また、一般的な壁掛けエアコンの場合は、室内機と室外機をつなぐ冷媒配管などの設置工事が必要になるほか、設置場所によってはエアコン専用の電気回路やコンセントを増設する工事も必要になるため、家電量販店などを通して専門業者に取り付けてもらうのが一般的です。
冷風扇をおすすめしにくい理由とデメリット
冷風扇は、エアコンと同じように液体が蒸発するときに周囲から熱を奪う気化熱の仕組みを利用した電化製品ですが、こちらの場合は水が蒸発する際に空気の熱を奪い、その冷えた空気をファンで送風することによって、冷たく感じる風を送り届ける仕組みになっています。
エアコンの場合は、室内の暖かい空気を冷たい熱交換器に通すことで結露を発生させ、その水をドレンホースから屋外へ排出するため、冷房と同時に室内の湿度を下げる効果もありますが、冷風扇の場合は水蒸気を含んだ空気を直接室内に送風する仕組みになっているため、使用するほど室内の湿度が上昇する傾向にあります。
つまり、エアコンも冷風扇も液体が気体になるときに熱を奪う性質を利用している点では共通していますが、冷媒を循環させて室内の熱を屋外へ運び、空気中の水分も結露させて排出できるエアコンに対して、冷風扇は水を蒸発させて空気中に水蒸気を含ませることで風を冷やしているため、室内全体の温度や湿度を調節する能力には大きな違いがあるのです。
実は、この冷風扇と同じ仕組みを採用しているのが、空気が乾燥する冬場に大活躍する加湿器なのです。
| 超音波式加湿器 | スチーム式加湿器(加熱式) | 気化式加湿器 | ハイブリッド式加湿器 |
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加湿器を大きく分類すると、超音波の振動によって水を細かい霧状にして放出する「超音波式」、水を加熱して蒸気を発生させる「スチーム式(加熱式)」、水を含ませたフィルターに風を当てて蒸発させる「気化式」、加熱と気化など複数の方式を組み合わせた「ハイブリッド式」の4つに分けられます。
冷風扇と気化式加湿器は、水を吸収したフィルターに風を当てて、水が蒸発する際に発生した水蒸気を含む空気を室内に送り出す点では、基本的に同じ仕組みを採用しており、加湿を主な目的とするか、冷たい風を送り出すことを目的とするかが大きな違いなのです。
特に気温が高い夏場は、冬場と比較して空気中に含むことのできる水蒸気量が多くなるうえに、日本の夏はもともと湿度が高い日も多いため、冷風扇を使用すると吹き出し口周辺では冷たく感じられたとしても、室内全体としては湿度が上昇し、ジメジメとした不快な環境になってしまう場合があります。
さらに、湿度が高くなるほど水分が蒸発しにくくなるため、冷風扇による冷却効果そのものも弱まりやすくなります。
極端な話では、高温多湿の屋内で冷風扇を使い続けてしまうと、スチームサウナの中に入っているかと思うぐらいに蒸し暑く感じられ、不快指数も上がってしまうんですよね。
冷たそうな風の画像や「マイナス〇℃下がる」といった言葉を使って冷風扇や冷風機として販売されている商品もありますが、気化式加湿器と同じ仕組みであることや、室内の湿度が上昇するデメリットが十分に伝わらない広告表示もあるため、購入する際には注意が必要です。
実際に、冷風扇の冷却効果や広告表示をめぐるトラブルについては、独立行政法人の国民生活センターでも商品テストや紛争解決の結果が公表されています。
国民生活センターが2023年2月に公表した卓上型冷風扇の商品テストでは、室温約28℃、湿度約65%の環境で測定したところ、吹き出し口直近(0cm)では室温より最大4.4℃低かったものの、50cm離れた位置では室温より0.2~1.3℃低い程度にとどまり、風が冷たいとは感じにくいと考えられる調査結果となりました。
また、2018年に公表された冷風扇の広告表示に関する紛争では、「体感温度-4.1℃」などの広告を見て購入した消費者が、実際に使用すると室温や湿度が上昇したとして返金を求めた事例も紹介されており、最終的には商品代金と往復分の送料を販売事業者が負担する内容で和解が成立しています。
冷風扇の吹き出し口付近で温度が下がること自体は事実であっても、それが部屋全体を冷房できることを意味するわけではないため、広告に記載されている温度低下の数値だけで判断せず、測定条件や製品の冷却方式を確認することが大切です。
冷風扇の広告表示に関する紛争 : 国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(平成30年度第2回)[PDF形式]
独立行政法人 国民生活センター:出てくる風が冷たく感じられない卓上型冷風扇(相談解決のためのテストからNo.172)
このように、冷風扇を単体で使用して室内を涼しくしようとするのはあまりおすすめできませんが、エアコンの使用によって室内が乾燥しすぎてしまう場合には、湿度を確認しながら補助的な加湿器として使用する分には悪くないのかもしれませんね。
もっとも、私は1回だけ使ってそれっきりですけど(笑)
スポットクーラーの種類と注意点
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スポットクーラーとして販売されている製品の多くは、エアコンと同じように冷媒と圧縮機を使用した冷却システムを一体型の本体に収め、冷たい風を送り出すとともに、排熱口から暖かい空気を放出する簡易的なクーラーとして使用できる空調機器です。
一般的な壁掛けエアコンのような室内機と室外機の設置工事が不要で、設置場所もある程度自由に選ぶことができますが、ナカトミのハンディクーラーMAC-15のように、屋外へ排熱するためのダクトを備えていない製品は、部分的に冷たい空気を送風できても、同時に本体から排出される熱が室内に広がってしまうため、部屋全体の温度を下げる用途には適していません。
スポットクーラーという名称の通り、局所的に冷たい風を送り出す製品としては間違っていないのですが、排熱が室内を巡って冷たい空気と混ざり合ってしまう分、熱を屋外に放出する一般的なエアコンと比較すると、室内全体を冷やす効率が悪く、電気料金に見合った冷房効果を得られない場合があります。
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それに対して、ナカトミの移動式エアコンMAC-20のように、排熱ダクトを接続して本体から発生した熱を屋外へ放出できるタイプは、一般的な壁掛けエアコンほど効率的ではないものの、室内全体を冷やす代替の空調機器としても利用することができます。
基本的には壁掛けエアコンのような大掛かりな設置工事が不要な製品ですが、屋外へ熱を放出するための排熱ダクトを通す穴を設けたり、窓枠にダクト用のパネルを取り付けたりする必要がある場合もあります。また、窓から排熱する場合は、排熱した暖かい空気が室内へ戻らないようにすることも重要です。
さらにややこしいのが、スポットクーラーや冷風機という名称で検索した際に、冷風扇と同じ気化熱方式の製品が混在している場合もあるという点です。
同じように冷たい風を送り出す家電製品であっても、水の蒸発によって風を冷やす冷風扇と、冷媒や圧縮機を使用して空気を冷却するスポットクーラーでは性能や用途が大きく異なるため、購入する際には商品の説明書きをよく読み、冷却方式や排熱ダクトの有無をしっかりと確認することが大切です。
ここ数年は真夏に35℃を超える猛暑日が続くことも珍しくありませんので、熱中症にならないようにこまめに水分を補給するとともに、必要に応じてエアコンや扇風機を併用し、室内の温度と湿度を適切に管理しながら、快適な環境で無事に夏を乗り切りましょう。
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