水冷PCパーツメーカーBykskiの高級志向ブランドとして展開をしているGranzonから、稼働状態をデジタルディスプレイに表示する事が出来る、本格水冷パソコン向けPWM DDC スタイルウォーターポンプをレビューします。
記事内の目次
メンテナンス次第で長期間の運用が可能な本格水冷パソコンの勧め
メンテナンスフリーで容易に取り付ける事が可能な、CPUのウォーターブロックとラジエーターが一体となった簡易水冷ユニットが近年特に人気となっておりますが、経年劣化で徐々に冷却水が減少して、5年ぐらいで冷却能力を失う事もあるそうです。
本格水冷パソコン用冷却システムの場合は、冷却水の補充や定期的なメンテナンスが必要になりますが、ウォーターポンプが故障しない限りは長期間使い続けられる事がメリットとしてあります。
2011年に初めて本格水冷パソコンを自作して以来、水冷ユニット以外のパーツを次々と交換してきましたが、ケースをCooler MasterのHAF700に交換した際に水路洗浄やホースの交換をした直後の、半月後ぐらいでウォーターポンプが停止をいたしました。
13年間一度も止まらなかった耐久性の高い水冷ポンプJINGWAYのDP-600Pは、メーカー直販サイトで販売を続けているようなので、こちらは別の記事でご紹介しております。
初めて水冷自作パソコンを製作して以来、内部のパーツを次々と交換をしながら約13年間使用し続けていましたが、電子部品では最後のパーツとなる水冷ウォーターポンプが寿命を迎えました。 この記事では13年間の高い耐久性を誇った、JINGWAYの水冷ウォーターポンプDP-600Pをレビューします。 最初の...
GranzonのPWM DDC スタイル ポンプのセット内容
今回購入をしたウォーターポンプは、水冷PCパーツメーカーBykskiの高級志向ブランドである、Granzonのデジタルディスプレイ付きPWM DDC スタイル ポンプです。
流量700L/hで最大揚程は驚異の6mというDDC系ポンプの基本的な性能とモニタリングが可能なディスプレイ付である点で購入を決めました。
販売価格は日本国内で22,500円、AliExpressなどの海外通販サイトでも22,015円だったため、輸入関税も含めると、国内の水冷PCパーツ卸販売をしているオンライン通販サイトで購入をした方がお得です。
セット内容には、デジタルディスプレイ付きポンプ本体とリモコン、ビスセットやPMW制御&4ピンコンボ電源ケーブル、謎のカードが2枚付属します。
梱包物の中に取扱説明書が無ければ、ウェブサイトにもダウンロードが可能なマニュアルも無く、G1/4止水キャップも付属しないという点は非常に不親切ですね。
箱の中の緩衝材を破っている時に120mmファン用ブラケットが奥に隠れていたのも後ほど見つけたので、それは記事の下の方で説明をします。
無いと思ってAliexpressで激安ブラケットを注文していたのに・・。
GranzonのPWM DDC スタイル ポンプの外観とサイズ
稼働状態を確認できるディスプレイ付フロント部
ポンプ前面は、ポンプの回転数や冷却水の流量などの稼働状態を確認可能なカラーディスプレイ付きで、高さが84mm横幅と奥行きが68.5mmの割と大きめのサイズとなっております。
Bykski製リザーバーを取り付けられるトップ部
上部は、Bykskiの60mmのリザーバーを直接取り付けられるネジ切り加工済みで、別体のウォータータンクにホースで接続する時は、上部センターのG1/4入水口にフィッティングを取り付けて使用をします。
また、リザーバー一体式ウォータポンプを構成できるウォータータンクは以下の製品のみとなります。
- Bykski 60mm Single Cover Water Tank 60mm:CT-F60-POM-60
- Bykski 60mm Single Cover Water Tank 100mm:CT-F60-POM-100
- Bykski 60mm Single Cover Water Tank 150mm:CT-F60-POM-150
- Bykski 60mm Single Cover Water Tank 200mm:CT-F60-POM-200
G1/4の入出水口が備えられた左サイド部
ディスプレイ部を正面に見て左サイド部には、上部のG1/4入水口と下部にG1/4出水口が備えられています。
アッパー部の入水口と合わせて合計2つの入水口が備えられているため、CPUのみの冷却であれば、どちらか片方の入水口を別売りの止水ネジ等で塞ぐ必要はあります。
後方はステーなどに取り付け可能なネジ穴付き
ポンプの後方には、ステーやファンブラケットにねじ止めが可能な、固定用ネジ穴が2つ設けられています。
ポンプ全体で腐食のデメリットがあるアルミニウムを一切使用していないとの事ですが、背面の金属板がSUS304ステンレスだった場合は、アルミ製品との接触で電蝕の恐れがある事には注意が必要です。
下部にもネジ穴と電源用コネクター付き
下部にはステーやブラケットに固定が可能な2つのネジ穴と、電源を取得するためのコネクター挿入口が設けられています。
付属の4ピンPWMポンプコネクターとペリフェラル4ピンコネクターに分岐したケーブルを接続し、回転数制御信号と12V電源を別々の場所から取得する必要があります。
ブラケット付属でポンプの固定は簡単
最初は付属の両面テープを貼りつけてフルタワーケースHAF700内に固定をしていましたが、箱を廃棄しようと思って保護スポンジを解体していた最中に、120mmファン取付穴に固定が可能なポンプ固定用ブラケットが付属していたのでこれを利用。
3500回転以上でケースの共振が酷くなってきていたため、スポンジを切ってポンプとブラケットの間に挟んで防振対策をしていましたが、その後仕様変更をしました。
ポンプの下ではなく、ブラケットのネジ穴にファン固定用の防振ゴムを入れた方が振動を効率よく抑えており、最大回転数まで回さない限りはポンプのモーター音がほとんど聞こえない程度になりました。
取り付けた防振ゴムについては以下の画像を参考にしていただければ幸いです。
ポンプの状態を表示するディスプレイ表示と騒音対策
ASUS Q-Fan Controlでポンプの回転速度を調整すると、UEFIのPWM制御で設定可能な下限の速度が2150RPMになり、ホース内を循環する冷却水の水量は5.35L/min前後となりました。
ディスプレイ上には回転数と水量以外にも、電源電圧やポンプのパワーの使用率、オートとマニュアルの制御状態を表示しています。
付属のリモコンでマニュアルに切り替えると、最低回転数の1800rpmから最大回転数の4800rpmまで手動で切り替える事ができます。
12.4L/MINという非常に強力な水流でハードウェアを冷却してくれる回転数が4800rpmとなりますが、ケースのサイドカバーを閉じていてもモーターの共振音やベアリングの回転音のような雑音が耳障りになってくるレベルです。
一般的にはD5系よりもDDC系ポンプの方が騒音が大きめとなるので、しっかりとした防振ゴムなどを間に挟んで共振対策ぐらいはしておくと、耳障りな音はかなり抑えられるようになります。
防振用スポンジを挟んだ時と付属の両面テープ付きスポンジを貼った時の音を比較すると、両面テープ付きスポンジの方が静かでしたが、ファン固定用の防振ゴムで固定をした方が、さらに共振音が抑えられていました。
GranzonのPWM DDC スタイル ポンプ交換後のCPU温度
Cooler Master HAF700のエアフローの良さと、480mmラジエーターの良好な冷却性能のおかげで、アイドル時のCPUの温度は28℃前後となりました。
ASUS Q-Fanコントロールの自動調整でCPUファンの最低回転数が少々高めに設定されてしまいますが、ファンやポンプの音がほとんど聞こえない超静音PCとして運用が出来ております。
Intel Core i7 9700Kの48倍設定では、ウォーターポンプの回転数は3900rpm前後になり、CPUの最高温度は77℃以内に収まりました。
CPUファンは1200rpm、ポンプの回転数は3900rpm程度まで上がっておりましたが、ASUS Q-Fan Controlで設定を変えると、CPUの温度が80℃近くまで上がらない限りは、静音水冷PCとして稼働させられる事ができました。
派手なゲーミングPCにも溶け込む圧倒的な存在感と性能
Granzon PWM DDC Style Pump用にG1/4止水ネジを購入していなかったため、余っていたフィッティングとホースを使用してタンクとポンプを繋ぐホースを2本に増やしましたが、後にInとOutを各1本ずつに変更をしてIN側にはフィルターを装着しました。
最大回転時のウォーターポンプの音は多少気になりますが、PWM制御で最大回転数まで回らないように調整をすれば、ほとんど音が気にならないぐらいまで騒音レベルを下げる事が出来ます。
メンテナンス性を考慮してハードチューブ仕様にする事は考えておりませんが、リザーバーの配置に多少は自由度があるカスタマイズ性の高い水冷パソコン用ウォーターポンプだと思います。
取扱説明書が無かったり、120mmファンブラケットが分かりにくい場所に収納をしているなどの不親切な点もありますが、ポンプの稼働状態を常時チェックする事が出来るGranzonのPWM DDC スタイル ポンプは自作本格水冷派にオススメできます。
ちなみに付属のリモコンについては、PUMP M/AでPWM制御と手動回転数設定の切り替え、その隣のPUMP SPEEDで回転数を手動で変更が可能です。
LEDの手動制御ボタンが付いておりますが、ポンプの設定ボタンがある1列以外はどれも機能しておりませんので、Granzon製品の全てをリモコン一つでコントロールしてね!って事なのでしょう。
GranzonのPWM DDC スタイル ポンプは、Amazonでもご購入いただけますが、水冷パーツ専門店や海外ショッピングサイトの方がお安くお買い求めいただけます。
またポンプのIn側に取り付けたフィルターのレビューは別記事でご紹介しております。
自作水冷PCのウォーターポンプをGranzonのPWM DDCスタイルに交換をした際に、2000円程度の低価格で購入が出来る水路フィルターを取りつけました。 水路を流れるスラッジやゴミを取り除いて、ウォーターポンプのインペラが噛み込む事を防止する役割を果たしますが、使用方法や内部構造などをレビュー...
ファン固定用の防振ゴムの購入もこちらから!
この記事へのコメントはありません。