動画共有サイトYoutubeに動画をアッロードしているクリエイターに向けて、子供向けに製作した動画であるのかどうかを申告しなくてはいけない規制を発表しました。ユーチューバーにとってはとても気になる内容の新たな規制なのですが、どのような規制なのかまとめてみました。
記事内の目次
今回の規約変更の内容
事の発端となったのは、人気ソーシャルビデオアプリであるTIKTokが、13歳未満の児童の個人情報を保護者の同意無しに違法収集していた事が発覚して、児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に基づき、570万ドル(約6億3000万円)の罰金をTikTok運営者が支払い、2019年2月27日に米連邦取引委員会(FTC)と和解することに合意したのが始まりです。
この問題はTikTokだけでは終わらず、米GoogleおよびYoutubeも保護者の同意なしに子供の個人情報を違法に収集していたという米連邦取引委員会(FTC)の申し立てを受けて、1億7000万ドルの制裁金を支払う事で和解した事を2019年9月4日付でFTCから発表がありました。
Yotubeの場合は、IDやパスワードと共にウェブサイトの閲覧履歴を収集するCookieと呼ばれる会員証のようなシステムが、米国の児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に違反したというものです。
Cookieとは、わかりやすく説明すると、会員制のウェブサイトにログインした後にブラウザを閉じたとしても、しばらくは新たにログインをしなくても会員制ウェブサイトを閲覧できる状態になっているのがクッキーの役目です。
例えばネットショッピングでも、カートに商品を入れたままにして端末の電源を切ったとしましょう。
後日そのウェブサイトを訪れたとしても、ショッピングカートに商品が入ったままになっている状態なのは、サーバーから端末に送られてきたクッキーが保管されているからなのです。
今回は、そのCookieが米国の児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に違反したと認められたもので、収集した個人情報を使ったチャンネル視聴者へのターゲティング広告で数百万ドルを得ていた事が問題であったとされています。
今回のYoutubeの規制については、制裁金の支払いの他に和解条件として、YouTubeがCOPPAを順守するために、YouTubeでチャンネルオーナーが子ども向けコンテンツを特定するためのシステムを開発し、実装する条件があった事から、今回の規制強化に踏み切る事になりました。
COPPAとは?
COPPA (Children’s Online Privacy Protection Act)は2000年4月21日にアメリカ合衆国で施行された、子供向けサイトに規制を課す事で子供のインターネット上の安全を守ろうとする法律です。
日本では「児童オンラインプライバシー保護法」と訳されて、商用サイトが、12歳以下の子供の個人情報を収集する場合に以下の内容を義務付けています。
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Youtubeでの規制内容
今回の規制を受けて、既にYoutube Studioの動画編集欄には「この動画は子ども向けですか?」と記載された項目が追加されています。
未成年者でも見れる動画であれば何か優遇される項目なのかと思い、「はい。子ども向けです」にチェックを入れたくなったのですが、どうやら今回はそうでも無いらしいのです。
COPPA における FTC の指針では、以下の場合に子ども向けの動画とみなされます。
- 以下に記載する要素を踏まえ、主な視聴者として子どもを対象としている場合
- 子どもを主な対象としていないものの、以下に記載する要素を踏まえ、子どもを対象としている場合チャンネルや動画が子ども向けかどうかを判断する際は、以下のようなさまざまな要素を考慮してください。
- 動画のテーマ(例: 未就学児向けの教育コンテンツ)
- 子どもの視聴者を想定して制作された動画であるか、また実際に子どもが視聴しているか
- 動画に子役や子どものモデルが含まれているか
- アニメや漫画の登場人物など、子どもの興味を引くキャラクター、有名人、おもちゃが動画に含まれているか
- 動画で使われている言葉や表現は、子どもが理解できることを想定しているか
- 芝居、簡単な曲やゲーム、早期教育など、子どもの興味を引くアクティビティが動画に含まれているか
- 子ども向けの曲、物語、詩が動画に含まれているか
- 動画の視聴者に関する経験的証拠など、動画の視聴者を特定する際に役立つその他の情報
子どもに該当する年齢: 米国では子どもの年齢は 13 歳未満と定義されていますが、他の国では子どもの年齢が高く定義されている場合があります。お住まいの国の関連法で子どもがどのように定義されているかを考慮して、上記の要因を適切に検討し、その他ご不明な点については法律の専門家にご相談ください。
Youtubeヘルプより引用
これだけ見ると、子供に見せられないような動画をアップロードしているチャンネルのランクを下げて、関連動画に上がりやすかったり、再生回数が増えたり何か特典でも付いて来るのかと思ってしまいますよね。
今回はYoutubeのアップデートではなく、米連邦取引委員会(FTC)から課せられた規制なので、上に記載された内容が落とし穴だったりするのです。
コンテンツを子ども向けとして設定するとどうなってしまうのか?
子ども向け設定は動画単体だけでなく、チャンネル全体にも適用する事のできる項目なのですが、子供向けとして設定した場合は以下のような制限が動画単体、またはチャンネル全体に適用されます。
現在から 2020 年 1 月までの期間、コンテンツを子ども向けとして設定すると、児童オンライン プライバシー保護法(Children’s Online Privacy Protection Act、COPPA)とその他の関連法に従い、特定の機能に制限が設けられることがあります。制限が設けられると、該当する動画やライブ配信で次の機能が利用できなくなります(なお、これらの機能には、視聴者の設定にかかわらず、一部の国でのみ利用可能なものがあります)。
- パーソナライズド広告
- コメント
- チャンネル メンバーシップ
- チャンネルの画像・ロゴの透かし
- 寄付ボタン
- 情報カードまたは終了画面
- チャットまたは Live Chat Donations
- ミニプレーヤーでの再生
- Super Chat または Super Stickers
- 再生リストに保存
- YouTube のグッズの棚
子ども向けに動画を製作してアップロードしていると、何一つ良い事が無いような規制なんですね・・。
子供向けアニメキャラクターを紹介しているチャンネルや、13歳未満をターゲットにした教育動画などをアップロードしているユーチューバーなどは、今回の規制の対象となってしまいそうです。
一時期大騒ぎになった少年革命家ゆたぼんや子供が出演しているチャンネルもYoutubeで規制されてしまいそうですが、まぁ別にどうでもいいですw
今回の規制内容にあるパーソナライズド広告というのは、Cookieを使用して情報収集をしながら視聴者に最適な広告を配信するシステムで、今回の問題で児童オンライン プライバシー保護法に違反していた部分の一つでもあります。
多少は広告収入への影響はあると思いますが、子ども向けとして設定したところで広告自体が外されてしまうような事では無いようです。
逆に、子ども向けではないのに、子供向け動画にチェックを入れて過激な動画をアップロードしてしまうと、アカウントが停止させられたり、動画の削除がされたりしているそうです。
それだけではなく、暴力的な動画やヌード、性的内容を示唆するコンテンツ、危険な行為の描写などは、視聴者の年齢を18歳以上に指定して、未成年者の視界に入らないようにしなくてはいけなくなっています。
日本ではどうなのか?
アメリカでは児童の年齢を14歳までとしていますが、日本の法律上では18歳未満が児童または未成年者であると定められています。
YoutubeとGoogleはアメリカの企業なので18歳未満で規制をするような話は今の所出ていないようですが、もし規制されたら大きな影響が出てしまう日本のYoutubeチャンネルも出てきてしまう可能性がありそうです。
アイキャッチ画像提供:フリー素材ぱくたそ
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