トヨタのハイブリッド車は、ガソリンエンジン車と同様にエンジンの排熱で温められた冷却水の熱を利用して車内に暖房の風を吹き付ける仕組みになっていますが、始動直後や渋滞している道路などでは頻繁にエンジンが始動して燃費を悪化させてしまいます。この無駄なアイドリングを減らすためにPTCヒーター(セラミックファンヒーター)を搭載して燃費が向上するかをヴォクシーハイブリッドで試してみました。
記事内の目次
PTCヒーター(セラミックファンヒーター)でトヨタハイブリッド車の燃費が向上する冬の暖房対策!
トヨタのハイブリッド車の暖房の仕組みと燃費悪化の原因
トヨタのハイブリッド車の暖房は、エンジンの排熱で温められた冷却水をヒーターコアに循環させて空気を温め、その温められた空気を車内に循環させるガソリンエンジン車と同様の仕組みを採用しています。
最近はエンジンの排熱を利用する事ができない電気自動車(EV車)を中心に、ヒートポンプ式エアコンが採用されるようになってきていますが、エンジンを回す方が効率の面でまだ優勢なのか、ハイブリッド車のヒーターでは採用されている車種が少ないのです。
また、ハイブリッド車は発進加速や定速走行時に駆動用モーターでアシストしたり、減速時にモーターを発電機として作動させて駆動用バッテリーを充電する事で、ガソリンエンジン車では不可能だった省燃費性能の向上を実現させていますが、暖房の熱源としてエンジンの排熱が必要なので、暖房使用時には必ずエンジンを始動させて暖機運転をしなければいけません。
システム自体は徐々に進化を重ねて、エンジンを停止してモーターのみで走行可能な時間が増えていますが、冬場に暖房を使用する際には、モーターの稼働率が上がった事が裏目に出てしまっているのです。
例えばアクセルペダルをほとんど踏まない渋滞中や下り坂などは、暖房用の熱源になるはずのエンジンが始動する機会が少なくなって、徐々に水温は下がり続けます。
水温が下がって暖房用の熱が確保できないと判断すると、再び水温を上げるために自動的にエンジンを始動させて暖機運転を行い、本来であればEV走行で燃費が良くなる機会に燃料を消費して、その結果燃費の悪化に繋がります。
燃費悪化の原因になってしまうエンジンが始動しないようにどうしたら良いかと言うと、暖房を停止して水温が下がらないようにするしか手段がありません。
それか、燃費が悪化してしまう事を諦めてしまうか・・。
そこで考えてみました。
エンジンが稼働している間に駆動用バッテリーが充電される仕組みを利用して、その電力を利用してしまえば良いのではないかと・・。
そこで、リサイクルショップで丁度良いサイズのPTCヒーターを見つけたのでヴォクシーハイブリッドに搭載してみたのです。
購入したPTCファンヒーターの説明
今回購入をしたPTCファンヒーターは、茨城県のセカンドストリートで偶然見つけた製品だったのですが、STS株式会社というメーカーから販売されている製品らしいのです。
過去にインターネットショッピングでも販売されていたのですが、製造自体が中止されたのか、今は見かけなくなりました。
直径が13.5cm、高さが23.5cmの円柱形でサイズ的にもかなりコンパクト。重量も1kg以内に収まるわずか970gしかない製品なのです。
熱源となるヒーターは左右に分けられていて、600W時は左側のみ、1000W時は両側から熱を発して、背面のファンで送風をして暖かい風を吹き出します。
背面の吸気口から12cmぐらいの大きさの高回転型ファンで送風をするため、稼働時は負荷をかけている時のパソコンの空冷ファンに近いような騒音はします。
ただし、不快感を感じる耳障りな高周波音が少ないような音なので、就寝時以外はあまり気にならない程度の騒音レベルで収まっているのではないかと感じます。
人感センサーは付いていませんが、このサイズでは珍しく温度設定と首振りが可能なセラミックファンヒーターなのです。
Amazonや楽天市場などのネットショッピングでも小型で温度設定が可能なファンヒーターをかなり探したのですが、このサイズでここまで機能が揃っているヒーターは今の所この製品のみでした。
実際にヴォクシーハイブリッドに搭載してみました!
後席足元などの乗車スペースを犠牲にしてしまう場所に設置をしたくなかったため、PTCファンヒーターはセンターコンソールボックスにマジックテープ固定をしました。
1シーズン固定をしたまま使用していましたが、マジックテープが剥がれて落下してしまうような事は一度もありません。
電源を入れた後は、上部のスイッチで600Wと1000Wの2段階に切り替えられますが、1000Wはハイブリッドシステム起動直後の車内温度が低い時だけ使用して、後は600Wでも車内の温度を維持できるぐらいの熱量を確保できます。
ハイブリッド車のAC100Vアクセサリーコンセントを使用すると、駆動用バッテリー充電のために通常よりも早いペースでエンジンが始動する事もありますが、充電量が3から4になった時にエンジンが自動的に停止するので、暖房用に水温を上げるためにエンジンで駆動している時間よりは燃料消費量を抑える事ができます。
ヴォクシーハイブリッドE-Fourは、最高でも22~23km/Lぐらいの燃費になるはずなのですが、暖房とPTCファンヒーターを切り替えてどうにか19.3km/Lの燃費を記録する事が出来ました。
エンジンの冷間始動時から水温が40℃になるまでエンジンが回りっぱなしになるのが、トヨタのハイブリッド車の仕様ではありますが、暖房を使用すると、車内を温めるために必要な熱源となる水温に達するまで、さらにエンジンが回りっぱなしになります。
カーエアコンの暖房ではなく、アクセサリーコンセントから電源を取ったPTCファンヒーターを使用すると、水温が40℃になった時にEV走行に切り替わるので、特に短距離走行時などでは燃費の面でかなり有効になります!
車中泊の時にも体に有害な一酸化炭素を出さない暖房ですので、セラミックファンヒーターやPTCファンヒーターを搭載するのは、オススメですよ!
ちなみに1000Wで使用しても、シートやセンターコンソールが焼けたりなどのトラブルはなく、吹き出し口以外から余計な熱を発するような事もありませんでした。
ただ、同じ製品は見つけらなくなっちゃいましたね・。
もう出ないと思いますがSTS株式会社のPTCファンヒーター BD120Dという製品です。
BD120Dはもう出てこなさそうな気もするので、同等の性能がありそうなセラミックファンヒーターを紹介しておきます。
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