トヨタのハイブリッド車は、ガソリンエンジン車と同様にエンジンの排熱で温められた冷却水の熱を利用して車内に暖房の風を送り込む仕組みになっていますが、始動直後や渋滞している道路などでは、暖房のために頻繁にエンジンが始動して燃費を悪化させてしまう事があります。そこで、この暖房による無駄なアイドリングを減らすためにPTCヒーター(セラミックファンヒーター)を搭載し、冬場の燃費悪化を抑える事ができるのか、90系ヴォクシーハイブリッドで試してみました。
トヨタのハイブリッド車の暖房の仕組みと燃費悪化の原因
トヨタのハイブリッド車の暖房は、エンジンの排熱で温められた冷却水をヒーターコアに循環させて空気を温め、その温められた空気を車内に送り込むという、ガソリンエンジン車と同様の仕組みを採用しています。
最近では、エンジンの排熱を利用する事ができない電気自動車(EV車)を中心にヒートポンプ式エアコンが採用されるようになってきていますが、エンジンの排熱を暖房に利用できるハイブリッド車では、ヒートポンプ式の暖房を採用している車種はまだ少ないのです。
また、ハイブリッド車は発進加速時や定速走行時に駆動用モーターでアシストしたり、減速時にモーターを発電機として作動させて駆動用バッテリーを充電したりする事で、ガソリンエンジン車では難しかった省燃費性能の向上を実現していますが、暖房の熱源としてエンジンの排熱を利用するため、冷却水の温度が低い状態で暖房を使用すると、エンジンを始動させて冷却水を温める必要があります。
ハイブリッドシステム自体は徐々に進化を重ね、エンジンを停止してモーターのみで走行可能な時間が増えていますが、冬場に暖房を使用する際には、駆動用モーターの稼働率が高くなった事が、暖房用の熱源を確保するという面では裏目に出てしまうのです。
例えば、アクセルペダルをほとんど踏まない渋滞中や下り坂などでは、暖房用の熱源となるエンジンが始動する機会が少なくなるため、暖房を使用し続けると徐々に冷却水の温度が下がっていきます。
そして、水温が下がって暖房用の熱を十分に確保できなくなると、再び水温を上げるために自動的にエンジンが始動し、本来であればEV走行によって燃料消費を抑えられる場面でもエンジンが稼働するため、結果的に燃費の悪化に繋がってしまいます。
このような暖房のためのエンジン始動を減らすには、暖房を停止して冷却水の温度が下がらないようにするのが効果的ですが、それでは冬場の車内を快適な温度に保つ事ができません。
それならば、暖房による燃費の悪化を諦めるしかないのか・・。
そこで考えてみました。
エンジンが稼働している間に駆動用バッテリーが充電される仕組みを利用して、その電力を暖房に使用してしまえば良いのではないかと・・。
もちろん、駆動用バッテリーの電力を消費すれば充電のためにエンジンが始動する事もありますが、暖房用の冷却水を温めるためだけにエンジンが稼働する時間を減らせれば、燃費の改善に繋がる可能性があります。
そんな事を考えていたところ、リサイクルショップで丁度良いサイズのPTCヒーターを見つけたので、実際にヴォクシーハイブリッドに搭載してみたのです。
購入したPTCファンヒーターの説明
今回購入したPTCファンヒーターは、茨城県のセカンドストリートで偶然見つけた製品だったのですが、STS株式会社というメーカーから販売されていた製品らしいのです。
過去にはインターネットショッピングでも販売されていたのですが、製造自体が中止されたのか、今では見かけなくなりました。
直径13.5cm、高さ23.5cmの円柱形で、サイズ的にもかなりコンパクトなうえ、重量も1kg以内に収まるわずか970gしかない製品なのです。
熱源となるヒーターは左右に分けられていて、600Wで使用する時は左側のみ、1000Wで使用する時は両側から熱を発し、背面のファンで送風する事によって暖かい風を吹き出します。
背面の吸気口から直径12cmぐらいの高回転型ファンで送風するため、稼働時は負荷をかけている時のパソコンの空冷ファンに近いような騒音がします。
ただし、不快感を感じるような耳障りな高周波音は少ないため、就寝時以外であれば、あまり気にならない程度の騒音レベルに収まっているのではないかと感じます。
人感センサーは付いていませんが、このサイズでは珍しく、温度設定と首振り機能を備えたセラミックファンヒーターなのです。
Amazonや楽天市場などのネットショッピングでも、小型で温度設定が可能なファンヒーターをかなり探してみたのですが、このサイズでここまで機能が揃っているヒーターは、今のところこの製品だけでした。
実際にヴォクシーハイブリッドに搭載してみました!
後席の足元など、乗車スペースを犠牲にしてしまう場所には設置したくなかったため、PTCファンヒーターはセンターコンソールボックスにマジックテープで固定しました。
1シーズン固定したまま使用していましたが、マジックテープが剥がれてヒーターが落下してしまうような事は一度もありませんでした。
電源を入れた後は、上部のスイッチで600Wと1000Wの2段階に切り替えられますが、1000Wはハイブリッドシステムを起動した直後の車内温度が低い時だけ使用し、その後は600Wでも車内の温度を維持できるぐらいの熱量を確保できます。
ハイブリッド車のAC100Vアクセサリーコンセントを使用すると、駆動用バッテリーを充電するために通常よりも早いペースでエンジンが始動する事もありますが、今回の使用では充電量の表示が3から4になった時にエンジンが自動的に停止していたため、暖房用の水温を上げるためだけにエンジンを長時間稼働させる場面を減らす事ができました。
90系ヴォクシーハイブリッドE-Fourのカタログ燃費はWLTCモードで22.0km/Lですが、冬場の暖房使用時には燃費が悪化しやすく、今回は純正エアコンの暖房とPTCファンヒーターを切り替えながら使用する事で、どうにか19.3km/Lの燃費を記録する事ができました。
エンジンの冷間始動時には、冷却水の温度が上がるまで暖機のためにエンジンが稼働しますが、今回の走行では水温が40℃前後になるとエンジンが停止し、EV走行に切り替わる様子が確認できました。
しかし、純正エアコンの暖房を使用している場合は、車内を温めるために必要な熱源を確保する必要があるため、水温が上がるまでエンジンが稼働し続けたり、走行中に水温が下がると再びエンジンが始動したりする事があります。
そこで、純正エアコンの暖房に代わってアクセサリーコンセントから電源を取ったPTCファンヒーターを使用すると、暖房によって冷却水の熱を奪われる事がなくなるため、今回の走行では水温が40℃前後になった時点でエンジンが停止し、EV走行に切り替わるようになりました。
もちろん、PTCファンヒーターで消費した電力を補うためにエンジンが始動する事もありますが、暖房のためにエンジンが稼働する時間を減らせるという点では、特に短距離走行時などの燃費悪化対策として有効なのではないかと感じました!
また、車中泊で使用する暖房としても、セラミックファンヒーターやPTCファンヒーター自体は燃焼による一酸化炭素を発生させないという特徴があるため、電気を利用した暖房を検討する際には便利な選択肢になると思います。
ちなみに1000Wで使用しても、シートやセンターコンソールが焼けたりするようなトラブルはなく、吹き出し口以外から余計な熱を発するような事もありませんでした。
ただ、同じ製品は見つけられなくなっちゃいましたね・・。
もう中古市場以外では出てこないと思いますが、今回ヴォクシーハイブリッドの暖房用に使用したのは、STS株式会社のPTCファンヒーター BD120Dという製品です。













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