LUTやBlackmagic DaVinci ResolveのPower Gradeを使用して、手持ちのカメラでARRI ALEXAのカラーサイエンスを再現するEMOTIVE COLOR PRECISION COLOR CONVERSIONのレビューです。一度使ったら手放せなくなる色の美しさは必見です!
記事内の目次
映画用シネマカメラメーカーのARRIとは?
ARRI(Arnold & Richter)とは、1917年に設立したシネマカメラのメーカーで、現代の映画作品のメイキング映像には、必ずと言っても良いぐらい、多くの映画作品で使用されているALEXAやAMILAなどのカメラを輩出しています。
14ストップ以上の広いダイナミックレンジや、美しい色調を再現するARRI独自のカラーサイエンスを採用し、耐性の強いRAWで収録をするカメラなのですが、カメラ本体の価格は、日本円で1000万円から1500万円ほど・・、一般の映像制作者などは、手軽に手を出せないほどの高額なのです。
一度は触ってみたいですけどね・・。
NiziUのCLAP CLAPメイキングビデオでチラッと映っているカメラの機種も、形を見た感じではARRI ALEXA mini LF・・。
最大解像度は4.5 K(4448 x 3096)のラージフォーマットセンサーを搭載し、自然なカラリメトリー、心地よいスキントーン、低ノイズ、そして高ダイナミックレンジ(HDR)と広色域を持ち合わせた凄いカメラなのです。
ちなみに価格は、すぐに使用できるセットで63,000ユーロほど、日本円に換算すると880万円ぐらいする普通は手が届かない超高級品なのです。
手持ちのカメラでARRIカラーを再現するEMOTIVE COLOR PRECISION COLOR CONVERSION
ARRIのカラーサイエンスを再現するPower GradeやLUTsは、Emotive Colorプロジェクトが製作したもので、会社なのか個人なのかはベールに包まれたままなので、一体何者なのかは分かりません。
ARRI製カメラと他社カメラの色調を最大4万色から比較して、Log収録が可能なミラーレスカメラやBMPCC6Kなどのシネマカメラで、手軽にARRIの色を再現できるようにしたのだそうです。
Power Gradeは、1つの複合ノードに収められているのですが、全てを展開をしてみても理解不可能なほど複雑に色補正やガンマ補正を行っていたようで、DaVinci Resolve標準のカメラRAWやカラースペース変換よりも、正確にARRIカラーを再現出来るように比較と検証を繰り返して製作していたようです。
また、DaylightとAverage、Tungstainの3種類のプリセットが同梱されているので、ホワイトバランスの違いによる微妙な色調の変化にも対応できるように、細かく変化を加えているのだと思われます。
P4KAlex Resolve Workflow from Emotive Color on Vimeo.
私はPower Gradeを使用した方が仕上がりの品質が良い感じがするのもあって、個人的には滅多に使用する事は無いのですが、ARRIカラーを再現するLUTsも同梱されています。
EMOTIVE COLOR PRECISION COLOR CONVERSIONを使用した映像
あしかがフラワーパーク ふじのはな物語~大藤まつり2021~
2021年のアップグレードでカラーサイエンスがGen4からGen5に変更されたばかりの、BlackMagic Pocket Cinema Camera 6Kを使用して撮影した、あしかがフラワーパークのふじのはな物語は、EMOTIVE COLOR PRECISION COLOR CONVERSIONのPower Gradeを使用して色補正を行い、夜のライトアップは、Buttery Natural Lutsを使用しています。
多少彩度は調整していますが、色補正後に黄色方向に色相が転んで、くすみがちな緑色を正確に再現しているのがとても印象的で、記憶に残る見たままの情景を呼び起こすような映像に仕上げられました。
BMPCC6KのBRAWで記録した映像に複雑な補正をしているARRIカラーを適用していますが、バンディングのようなデジタルアーティファクトも見受けられません。
ただし、夜景などの暗所撮影をしたフッテージでは、コントラストが高くなりすぎる映像に仕上がってしまう事が多いので、暗所撮影時に撮影したRAWデータは、自分で1からカラーグレーディングをするか、コントラストが低くなる他のLutsを使用してビデオを書き出しています。
EMOTIVE COLOR PRECISION COLOR CONVERSIONは、カメラの設定やカラーグレーディング時の設定などを記載したデジタルマニュアルが付属しているので、購入をしてからカラコレの基本を学ぶことも出来るのです。
是非Emotive Colorのウェブサイトにあるギャラリーに掲載されている映像も参考にして検討してみて下さい。
ヒストグラムや波形を見ても中間部の明るさが分からなくなってしまう事があるので、私の場合はFalse Colorを表示して露出補正を行っています。
一応DaVinci ResolveにはFalse colorが内蔵されているのですが、Blackmagic Design製のカメラしかプリセットが無い事と、自作でプリセットを作っても消えてしまう事があったので、time in pixelsのFalse Color 3をインストールしてARRIのプリセットを使用しています。
映画やMVを見ながらヒストグラムや波形を表示すると、主な被写体に露出を合わせて他は捨てるようなシーンも見受けられたため、波形スコープは目安程度に考えて細かい事は気にしないようにしました。
対応しているカメラ一覧と価格
2022年12月時点で対応しているカメラ一覧
Sony α7SⅢ
Sony FX3
Sony FX6
FUJIFILM X-H2s
FUJIFILM X-T4
FUJIFILM X-T3
Panasonic GH6
Panasonic GH5
Panasonic GH5 Mark Ⅱ
Panasonic GH5s
Panasonic S1
Panasonic S1H
Panasonic S5
Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K (Pro)
Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K
Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2
Z CAM E2-S6
価格:65.00 USD
支払方法:PayPal VISAなど
受け取り方法:入金後にメールにて受け取り用URLが送られてきます。
公式ウェブサイト:Emotive Color
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