2021年春にBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K Pro(BMPCC6KPro)が販売開始になると同時に、第5世代カラーサイエンスが採用されたBMPCC4K/6KのソフトウェアアップデートBlackmagicCamera7.3が発表になりましたが、BMPCC4K/6Kにおいては1年以上の久しぶりとなる、カメラアップデートBlackmagicCamera7.9が発表になりました。
この記事では今回のアップデートで何が変わったのか?を解説していきます。
記事内の目次
BlackmagicCamera7.9の概要
RGBヒストグラムの表示やLCDスクリーンのキャリブレーション機能の他、URSA Mini Pro 12Kでも採用されている第5世代カラーサイエンスの採用をしたBMPCC4K/6Kの大型アップデート、BlackmagicCamera7.3が発表になってから約1年2ヶ月ぶりのファームウェアアップデートとなりますが、今回はBMPCC6Kの後継機種にあたるBlackMagic Pocket Cinema Camera 6K G2の発売開始と同時に発表になった、最新のカメラアップデートになります。
BMPCC6K G2に関しては後ほど少し触れますが、BMPCC6Kの後継と言うよりも、BMPCC6K Proから内蔵NDを省いた下位機種に当たる位置付けと思っておいた方が良いでしょう。
BMPCC4Kが発表になってから4年、BMPCC6Kにおいては販売開始になってからもうすぐで3年が経過しようとしていますが、購入したカメラを長く使えるのは本当にありがたい話です。
それでは、今回発表になったカメラアップデート、BlackmagicCamera7.9で発表された内容について翻訳してみましたので、是非ご覧になってみて下さい。
BlackmagicCamera7.9のアップデート内容
Blackmagic Camera Setupへようこそ!
このインストーラーはBlackmagicCameraSetupソフトウェアをシステムに追加するので、ソフトウェアをアップデートしてBlackmagicCameraを管理することができます。また、Blackmagic RAW Player、Blackmagic RAW Speed Test、Blackmagic RAW SDK、BlackmagicRAWプラグインもインストールします。
Blackmagic CamerasをCamera4.0以降からアップデートする場合は、プリセットとLUTをカードにエクスポートすることをお勧めします。これらは、このアップデート中に削除されるためです。
BlackmagicCamera7.9の新機能
Blackmagic Design Pocket Cinema Camera6KG2のサポートが追加されました。
以下のモデルには新機能があります。
Pocket Cinema Camera 4K、6K、6K Pro
新しい更新されたユーザーインターフェイスが追加されました。
スライダーによるフォーカスアシスト強度調整のサポートが追加されました。
このリリース以降のソフトウェアアップデート後に保持されるカスタムプリセットとLUTのサポートが追加されました。
レンズとオートフォーカスのパフォーマンスが向上しました。
Pocket Cinema Camera 6K、6K G2、6K Pro
BlackmagicDesignのズームとフォーカスの要求のサポートが追加されました。
BlackmagicRAW2.5の新機能
Blackmagic Design Pocket Cinema Camera6KG2のサポートが追加されました。
MacOSの最小システム要件
macOS11.1ビッグサー以降
macOS12モントレー以降
Windowsの最小システム要件
Windows1064ビット以降
Windows1164ビット以降
追加情報
一部のアプリケーションは、ライセンスに基づいてサードパーティのコードを使用する場合があります。詳細については、付属の「サードパーティライセンス.rtf」ドキュメントを参照してください。
BlackmagicCamera7.9アップデート後の使用感
ジャイロスコープメタデータを使用したスタビライズ
今回のアップデート内容で最も大きな変更点は、カメラのモーションセンサーメタデータをBlackmagic RAWクリップに記録できる機能が追加されました。
これは、DaVinci Resolve Studio 18ベータ5アップデート以降でカメラのジャイロスコープメタデータを読み込んで、スタビライズ出来る機能です。
使用してみた感想としては、パン方向やチルト方向の重力の変化にも反応をして、トリミング量が大きくなりすぎてしまうような印象は受けましたので、まだまだ改善が必要な機能だとは思いますが、カメラ内手振れ補正機能が内蔵されていないBMPCCシリーズにとってはありがたい機能です。
※Camera Update 7.9.1でモーションセンサーのデータ精度について改善が行われました。
一新されたユーザーインターフェイス
今回のアップデートでユーザーインターフェイスも更新されて、フレームレート、アイリス、タイムコード等の表示の小型化やヒストグラムの不透明度の変更が行われて、以前のバージョンのディスプレイよりも視認性が上がりました。
特に夜間撮影時にごちゃごちゃしすぎて視認しにくかったディスプレイ下側が見やすくなった印象を受けますが、可能であればREC中に表示する内容をカスタマイズ出来るようにして欲しかったですね。
フォーカスピーキングも扱いやすく改良
そして、ずっと改善して欲しいと思っていたフォーカスアシストの強度設定ですが、前バージョンまで、低・中・高の3段階設定だったものが、ついにスライダーで1~100の範囲で自由に設定出来るようになりました。
特に花火撮影時に、フォーカスアシストの低でも強度が強すぎたのと、内蔵ディスプレイの視認性が低くてフォーカスが合わせずらい所からの大きな改善点です。
オートフォーカスの精度改善
さらに、BlackmagicCamera7.9ではオートフォーカスのパフォーマンス改善が行われました。
Blackmagic Design社製カメラのAFは元々そんなに精度が高くないので、ソニーなどのAFに強いメーカーに比べると不満を感じる点も多いのですが、前バージョンと比較するとフォーカスが合うまでの時間と正確性は確かに改善されています。
それでも、フォーカスアシストを使ってMFで操作する頻度の方が多い・・^^;
同時発表のBMPCC6K G2は買いなのか?
今回のカメラアップデートと同時に販売開始になったBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K G2ですが、BMPCC6K Proの下位機種でBMPCC6Kの後継機種に当たると考えた方が良さそうです。
基本的な機能は、ほぼBMPCC6K Proと同じではありますが、今回発表があったBMPCC6K G2では内蔵IRNDフィルターが省かれていますので、BMPCC6Kから買い換えた場合の恩恵は、大容量NP-Fバッテリーとファンタム電源対応の2入力Mini XLR端子、1500nitsのチルトスクリーンぐらいになりそう。
長回しをする前提であれば、Vマウントバッテリーから外部給電をするようにはなると思いますが、今までのLP-E6互換よりはかなり改善されているようです。
6K Pro以外は撮影条件によっては赤外線かぶりが発生しやすい機種でもあるので、レンズごとにIRNDフィルターを買い増すぐらいなら、素直にBMPCC6K Proを購入した方が結果的に安く済むのではないかというのが私の見解です。
ただし、BMPCC4K/6Kではファンタム電源対応のXLR入力がモノラルだった事と、外部電源が必須だった点を考えれば旧モデルよりも扱いやすい機種にマイナーチェンジはしているという印象は受けます。
今、BMPCC6Kシリーズに求められている性能は、ダイナミックレンジの拡大と高感度撮影性能のアップだとは思いますが、基本的な所は初代BMPCC6Kからあまり進化していないのだと思います。
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