ホイールナットを締める時にトルクレンチを使わなければいけないから始まり、1回で締めるか2回で締めるかなど、様々な論争が起きていますが、筆者は違った形での2回締めを行っておりますので、自分流のトルクレンチを使用したホイールナットの締め方をご紹介します。
記事内の目次
トルクレンチの使用方法!タイヤを脱落させないためのホイールナットの締め方!
メルテック 車用 タイヤ交換工具 トルクレンチ DX 6pcsセット Meltec F-93 設定値:28-210N/m 設定値ロック...
トルクレンチとは?
十字レンチなどを使用してもだいたいの場合は若干のオーバートルクで締まっている事の方が多いと思いますが、特に非力な女性の方などはトルク不足に陥りやすいと思うので、定期的にナットの緩みを確認するか、トルクレンチを使用するのが確実です。
トルクレンチとは、自動車メーカーで設定した締め付けトルク通りにナットやボルトの締め付けを行うための工具で、アナログ式であればノッチ音、デジタル式であればブザーを鳴らして設定したトルクに達した事を知らせてくれます。
この工具を使用する事で、ボルトやナットを締め付けた後の緩み防止や、締め付けた時に力をかけすぎた事によるボルトの伸びを防いで、トルク管理を怠った事で発生するトラブルを未然に防ぎます。
締め付けたり緩めたりする工具というよりは、適切な力で締めているかをチェックするための測定器と考えておいた方が良いと思うので、緩めるために使用したり設定したトルク以上に力を掛けるのは故障の原因となります。
タイヤ交換でのトルクレンチの使い方
筆者の場合は複数回に分けて締め付けておりますが、一つの部品に対して複数のボルトが付いている場合は、一番最初に締めた箇所の締め付けトルクが弱くなってしまう事が気になってしまうため、何回かに分けて締めた方が確実だと思うからです。
その手順について以下で解説します。
1.ボルトのセンターとナットのテーパーを合わせるために手締めする
対角に締めるのは基本ですが、ホイールのナットホールのセンターとナットのセンターを合わせるために、軽く手締めを行います。
センターが合わないまま強く締め付けると、ハンドルのブレの原因になったり、いずれは緩んで走行中にホイールごと車両から外れてしまう事になってしまうので、ナットが奥まで入るようにホイールを揺らしながら全てを軽く締め付けます。
特にハブリングが無いワイドトレッドスペーサーやハブ径が合っていない社外ホイールを取り付ける場合は、ボルトとホイールのナットホールのセンターが合いにくい場合もあるので特に注意です。
そして手締めを重要視しているのは、ねじ山にナットがかかっていない状態で横着をして十字レンチやインパクトレンチで突然締めると、ねじ山を潰してしまう恐れがあるからで、万が一ボルトのネジを潰してしまった場合は、ホイールの脱着やブレーキの分解に加えボルトの打ち換えなど、高額な修理金額がかかってしまいます。
なので、ナットがある程度ねじ山にかかるぐらいまで締まった事を確認してから、工具を使用する事をオススメしています。
2.タイヤを地面に設置させられるぐらいまで締め付ける
タイヤ交換でジャッキスタンドを使う人もあまり見かけないので、ジャッキから車両が脱落してしまわないように、適正トルクでの締め付けはタイヤを地面に接地させてから行います。
5穴の場合は対角上に5か所を適度な強さで締め付けて、ホイールナット全てに極端な緩みが無い事が確認できたら、ジャッキを下してタイヤを地面に設置させます。
上の画像のような順番で良いですし、1→2→5→3→4の順番に締めても、センターさえ合っていれば均等な力で締め付けられる事には変わりはないので、どちらでも大丈夫です。
3.車両に合った適正トルクを調べる
ホイールナットの締め付けトルクは車両の取扱い説明書に記載してありますが、中古車の場合は取扱説明書自体が無い場合もあるので、車両を販売している最寄りのディーラーなどで確認をした方が良いでしょう。
今はGoogle検索で何でも調べる事が出来ますが、形式の違いによって締め付けトルクが違う場合もあるので、ディーラーに確認をするのが確実です。
4.少しトルクを下げてホイールナットを締め付ける
5穴であれば5か所を本締めするのですが、私の場合は適正トルクよりも少し弱いトルクで締め付けを行ってから、全てのタイヤ交換を済ませた後にチェックも兼ねて適正トルクで締め付けを行っています。
ある程度のトルクを掛けて締めてから、他のタイヤ交換作業や片づけをしている間に馴染んで、もう少し締まる事もあったのが理由で、時間を少し空けてから本締めの作業をしています。
ホイールナットを締め付ける時の適正トルクが103N・mなので、タイヤを交換した直後はトルク値が5N・m低い98N・mで1回目の締め付けを均等に行います。
トルクの設定方法は、上の動画のようにトルクレンチのグリップ下に付いているロックノブを緩めて、グリップを回してトルクを設定後にロックノブを締めて設定値を固定します。
5.最終チェックも兼ねて適正トルクでナットを締める
トルク値の設定は、上の画像のように主目盛である100N・mの位置に合わせてから、グリップの先端に刻まれている副目盛を少し回して、グリップに刻まれている副目盛3の位置が主目盛のラインに合ったら、103N・mに合ったという事になります。
トルクレンチを使用したホイールナットの締め付けは、上の動画のように行います。
2度締めに近い作業ではありますが、1回目の作業で適正トルクよりも弱いトルクでホイールナットを締め付けているので、全てのタイヤ交換が終わってから最終チェックも兼ねた適正トルクでの締め付けと思って下さい。
全てのタイヤ交換と締め付けが終わって、100km走行後にもう一度増し締めをすれば、次のタイヤ交換の時期まで外れるという事はまずありません。
むしろ、100km走行後の増し締めまでが、タイヤ交換時のナットの締め付けと思っておいた方が良いのですが、その後も定期的にチェックをしておくのが望ましいです。
筆者の場合はホイールナットの締め付けに、1番目にソケットでの締め付け、2番目にクロスレンチでの締め付け、最後の本締めと確認でトルクレンチを使用しております。
その理由としては、1.ソケットの使用はホールに指が入りにくい事とボルトにナットが斜めに入ってネジ山を潰してしまう心配が無い事、2.十字レンチであればある程度トルクをかけられる事とジャッキアップ時に本締めをしてジャッキから車両が外れてしまう心配が無い事、3.オーバートルクやトルク不足になる心配が無く適正なトルクでホイールナットを締め付ける事が可能な事の3つが理由です。
また、トルクレンチとソケットのみを使用した場合は、バンパーやドアに当たって締め付けが難しい場合もあるため、その際はエクステンションバーを使用するのがオススメです。
強度が低いエクステンションバーや角度を自在に動かせるユニバーサルジョイントを使用すると、捻じれによるトルク低下の原因になる事もあるので、強度があるエクステンションバーを使用するのが望ましいです。
特に捻じれやすい9.5mm角以下のトルクレンチは注意が必要かもしれません。
まとめと商品の購入
何故このような締め方をするかと言うと、15年近く新車のトラック架装メーカーに勤務をしていたので、製造工程の時間が長くてボルトがやたらと多いトラックの出荷前チェックを行うと、ボルトとナットがアルミボディに馴染んで必ずどこかは緩んでいる事がたまにあったからです。
ドライバー以外にも一般車や歩行者の命を預かっているような作業を長年してきたので、脱落防止や緩みなどには特に気を使って改善を重ねた結果こうなりました。
後でディーラーにで緩んでいるのが発覚すると、とんでもなく騒がれます。
色々経験はさせてもらいましたが、1人での作業でもオーバートルクにならずに最終チェックまで行える2度締めは筆者的にオススメです。
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