長野県長野市に聳える霊山戸隠山のふもとにあり、奥社・中社・宝光社・九頭龍社・火之御子社の五社からなる戸隠神社は、天照大神が岩戸にお隠れになったとする「天岩戸開き神話」にゆかりのある神々を祀っています。そのうちのニ社である戸隠神社・九頭龍社と奥社をご紹介します。
記事内の目次
戸隠神社五社巡り 奥社と九頭龍社
戸隠神社とは?
戸隠神社(とがくしじんじゃ)は、長野県長野市北西部の戸隠山周辺に、宝光社(ほうこうしゃ)・火之御子社(ひのみこしゃ)・中社(ちゅうしゃ)・九頭龍社(くずりゅうしゃ)・奥社(おくしゃ)の五社を配する神社で、建速須佐之男命の乱行に怒った天照大御神が岩戸にお隠れになったとする「天岩戸開き神話」にゆかりのある神々を祀っております。
また、天照大御神が籠っていた天の岩戸を天手力雄命が力まかせに投げ飛ばしたとき、その一部が飛んできて御神体である戸隠山になったという伝説があります。
天岩戸開き神話
神代の昔、空の上に高天原という神々の世界があり、太陽神の天照大御神や須佐之男命、その他多くの神々が暮らしていました。
須佐之男命は、田んぼの畔を壊したり、天照大御神が神に奉げる衣を織っていた機屋の屋根から皮を剥いだ馬を投げ入れたりと乱行を繰り返しました。
それに怒った天照大御神は、天岩戸(あまのいわと)と呼ばれる洞窟にお隠れになると共に、たちまち世の中が暗くなってしまい、食べ物が育たなくなったり、病気になったりと大変な事が起こります。
それに困った八百万の神々が天安河原に集まり、天岩戸の前で様々な事を試してみる事にしました。
まず長鳴鳥(鶏)を鳴かせてみせますが、天岩戸は開きません。
次に、天鈿女命が招霊の木の枝を手に持ち舞をされ其の回りでほかの神々で騒ぎ立てます。
それを不思議に思った天照大御神は、天岩戸を少し開いて外を覗き、「自分が岩戸に篭って闇になっているのに、なぜ、天宇受賣命は楽しそうに舞い、八百万の神は笑っているのか」と問います。
天宇受賣命が「貴方様より貴い神が表れたので、喜んでいるのです」というと、天児屋命と布刀玉命が天照大御神に鏡を差し出しますと、自分の顔だと分からなかった天照大御神はもう少し外を見てみようと扉を開いて身を乗り出します。
その時、思兼神が天照大御神の手を引き、手力男命が力いっぱいに岩の扉を開いて、外に連れ出すことができました。
真っ暗だった世の中もたちまち明るくなり、天岩戸に注連縄を張って、二度と天照大御神が入れないようにしました。
戸隠神社・奥社と九頭龍社
孝元天皇5年(紀元前210年)には創建されていたと伝えられている奥社は、戸隠神社の御本社になります。
「天岩戸開き神話」において天照大御神が隠れた岩戸を、無双の神力をもって開き、外に導き出した天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)を戸隠山の麓に奉斎した事に始まり、開運、心願成就、五穀豊熟、スポーツ必勝などにご利益があります。
九頭龍社が鎮座した時期は不明ですが、奥社に天手力雄命が奉斎される以前に地主神として九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)が奉斎されたのが始まりと伝えられています。
古くから水の神や雨乞いの神、虫歯の神、縁結びの神として信仰されています。
戸隠神社の奥社と九頭龍社は、大鳥居をくぐって戸隠山山頂方向に徒歩で約1.7km進んだ先にあります。
大鳥居付近は人が多いように見えますが、長い道のりの中でそれぞれ違う速度で歩くから、奥社に辿り着く前にはそんなに混んでいなかった印象でした。
杉林に囲まれた随神門は、奥社への参道のほぼ中間地点に位置し、戸隠神社の建造物のなかでも最古のものになります。
茅葺き屋根の朱塗りの門で、左右に鎮座する随神が境内に邪悪なものが進入するのを防いでいます。
随神門から先の参道500メートルにわたって200本以上の杉の巨木が参道沿いに並びます。
冬になる少し手前ぐらいの時期に訪れましたので、緑色の葉が美しく芽吹く新緑の季節はもっと美しいかったのかと思わせられます。
JR東日本のCMで吉永小百合さんが杉の堂に入った事で、多くの人が入って記念撮影をしたという小百合杉。
現在は神木保護のために、入れないように注連縄が張られています。
明治維新まで天台宗寺院だった戸隠神社の奥社参道沿いには、僧侶等が居住する奥社院坊があったとする痕跡が残されています。
かつては12以上の院坊が立ち並んでいたとも言われておりますが、神仏習合の慣習を禁止した神仏分離令によって、僧たちは中社や宝光社に移っています。
ほぼ平坦に近かった参道は徐々に勾配がきつくなって、奥社までは石段が続きます。
約380段ほどあるらしいので、足腰の弱い高齢者等は特に登るのが厳しくなるのかもしれません。
石段を登り続けると九頭龍社に辿り着けますので、終点の奥社まではもうすぐです!
奥社本殿と社務所は最後の石段を上り詰めるとたどり着けますが、混雑している時期などは石段の下まで参拝客が並ぶことがあるらしい。
平日の午前中だった事もあって、並んでも5組程度の参拝者が並んでいる程度で、筆者もすぐに参拝ができました。
参拝を終えて駐車場方面に向かうと、奥社の茶屋という蕎麦店の他、大鳥居前にも奥社前なおすけという蕎麦処もあります。
駐車場も有料なので、戸隠神社五社の中では一番観光地らしい雰囲気ですし、県道36号線を挟んで戸隠流忍法資料館 忍者からくり屋敷もありますので、五社巡りの最後に訪れるのが良いのかと思います。
戸隠神社・奥社 観光情報
所在地 | 〒381-4101 長野県長野市戸隠3690 |
時間 | 24時間 |
駐車場 | 有料 400円~3時間600円 |
交通アクセス | 上信越自動車道 信濃町ICから車で26分 |
関連ウェブサイト | 戸隠神社 |
最新の情報や注意事項、時間などは公式ホームページをご参照ください。
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