旅行先や出張先など、どこでもライブ配信や動画編集ができるゲーミング&クリエイター向けノートパソコンをご紹介します!高性能な第13世代Intel CPUとAV1エンコードが可能なGPU RTX4060搭載し、ゲーマーやクリエイターにも最適な格安価格で販売されている1台となっております。
記事内の目次
RTX4060搭載激安最強サブ機Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPのレビュー
何故RTX40系グラフィックボードが必要なのか?
H.264やH.265(HEVC)を使用したエンコードやライブ配信のみであれば、RTX30系グラフィックボード搭載パソコンでも良いのですが、RTX40系グラフィックボードであれば、さらに軽量なAV1でエンコードやライブ配信を行えるようになるのです。
光回線を使用したライブ配信であれば、輻輳は起きず、よっぽど品質が悪い回線じゃない限りは、パケットロスの発生も抑えられているわけですが、高速通信ができないモバイル回線を使うしかないような屋外のライブ配信などでは、フレームドロップの多発や最悪の場合、まともな通信自体が出来ないなんて事も起こります。
そんな時は、低品質な通信回線に合わせてビットレートや解像度を下げて、配信を行うという手段もありますが、ビットレートや解像度を下げてしまうと、不鮮明な映像となってしまったり、ブロックノイズの発生が抑えられない事にもなりかねないので、低いビットレートでも映像の品質を保ったまま配信をするためには、AV1が使用出来るRTX40系グラフィックボードが必要になってくるわけです。
次世代コーデックAV1とは?
動画圧縮コーデックは、H.264とも呼ばれるAdvanced Video Coding(AVC)の後継となる、さらに軽量なH.265(HEVC/High Efficiency Video Coding)が主流になりました。
HEVCは、従来のH.264よりも圧縮効率が優れているため、4Kや8Kなどの高解像度の映像を製作したとしても、映像品質を保ったままH.264の半分のファイルサイズで書き出す事が出来る動画圧縮コーデックなのです。
ITU(国際電気通信連合)によりHEVCが規格として承認されたのが、今から11年前になる2013年の事ではありましたが、H.264ほど普及しなかった背景には、利用するにあたって特許使用料の支払い義務が生じてしまう事がありました。
そこで登場したのが、AOMedia(Alliance for Open Media)が開発した、オープンかつロイヤリティフリーな動画圧縮コーデックAV1(AOMedia Video 1)です。
AOMediaは、Intel・Microsoft・Netflixなどの名立たる企業が共同で設立した非営利団体で、VP9や高額な特許使用料がかかるHEVC/H.265の置き換えを目指してAV1を開発しました。
AV1は、主にGoogleのVP9にDaalaとThorとVP10の技術を組み込んで開発し、HEVC比で30~43%ほどビットレートを削減できるのです。
AV1の対抗としてVVC/H.266の開発も進められていますが、既にNetflixやYouTubeなどがAV1を使用したストリーミングを開始しているため、これからの主流はAV1が中心となるのではないかと言われています。
RTX40系グラフィックボードを搭載したノートパソコン
AV1のエンコードは、Nvidia RTX40シリーズであれば全て対応しているので、RTX4050でも出来なくはないです。
ただし、4K以上に対応した動画編集用途でVRAMを多めに積んでいないと、まともに書き出しすらも出来ない動画編集ソフトウェアが存在しているため、経験上は8GB以上のVRAMを搭載したRTX4060 Laptop以上がオススメです。
特にBlasckmagic Design DaVinci Resolveは、CPUやGPUよりもVRAMを大量に使って書き出しを行う事が多いので、動画編集も兼ねたノートPC選びであれば、可能な限りVRAM容量が大きい製品を選んでおいた方が無難です。
RTX40シリーズを搭載したノートPCは価格もピンキリで、ハイスペックな製品では60万円近い製品まで様々ですが、Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPはintel13世代CPUとNvidia RTX4060を搭載して、破格の13万円台という価格で購入をできました。
ただし、内蔵ディスプレイの色域が通常のラップトップと同じ品質に抑えられているため、色域が広い外部ハードウェアキャリブレーションモニターを使用するか、メインPCで予めLUTやプリセットを作っておくかでもしないと、色を合わせるのが大変かと思いますので、あくまでサブ機とさせていただきます。
Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPの外観
Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPのサイズ
Lenovo(レノボ) LOQ 15IRH8のサイズは幅359.6mm、奥行きは264.8mm高さは25.2mmで、15.6インチディスプレイとGPUを搭載したノートブックPCとしては平均的なサイズに抑えられています。
色はチタンカラーに似たストームグレー1色が設定されており、閉じた状態で文字が光るようなライティング機能はありません。
重量は2.4kgほどあるので、グラボ非搭載のノートPCと比較すると、ずっしりとした印象は受けてしまいますが、10年前のグラボ非搭載ダイナブックと比較するとあまり変わらないような重さになっているかと思います。
15.6インチディスプレイの色域は標準的なNTSC45%
Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPに内蔵しているディスプレイは、ノートPCとしては標準的な色域となるNTSC45%のノングレアIPS液晶ディスプレイを採用しており、解像度はフルHD(1920×1080)、リフレッシュレートは144Hzほどの性能になります。(a-Si TFT-LCD説あり)
sRGBやAdobeRGB以上の写真編集や、Rec.709以上の動画編集など、徹底的に色にこだわりたい方には向かない色域となりますが、実際にDisplayCALを使用して色域を測定してみました。
ディスプレイの品番はNE156FHM-NX3で認識し、どうやら中国の大手ディスプレイメーカーであるBOEテクノロジーグループが製造した製品である事が判明。
2013年よりシャープから技術供与を受けてIGZO液晶ディスプレイを製造していたCECパンダの成都工場と南京工場を2020年に買収して、IGZO技術を取得した後に大型OLEDパネルの量産をメーカーなのだそうです。
製品仕様書のホワイトレベルは381cd/㎡になっていますが、実際の測定結果は363.64cd/㎡が最大の明るさとなり、ホワイトポイントは若干グリーンが落ちている様子も見受けられるものの、ほぼ6500Kに近い白を表示する事が出来ています。
20cd/㎡の誤差であれば高品質なディスプレイでも良くみられる数値なので、非常に明るく白色点の大きな崩れがほとんど無い品質には収まっております。
カタログ上ではNTSC比45%の色域となっておりますが、sRGBでの測定結果でもさほど広さを感じられない色域に収まっています。
実際にBOE NE156FHM-NX3のスペックシートを見てみるとsRGB比で54%の色域になっているのが正式なデータらしいので、ディスプレイの表示性能を価格に反映させたロープライスゲーミングノートパソコンという事になります。
Calibration curvesも、低価格帯ディスプレイでよく見かける曲線になっているので、黒が沈みすぎている点も含めて内蔵ディスプレイ単体での写真のRAW現像や動画のカラーグレーディングには向かない印象も受けます。
その代わりにコントラスト比は実測1300:1(スペックシートは1000:1)ぐらいあったので、色域は低いけど見れないというほど薄っぺらな映像にはならない点については割と好印象でした。
海外仕様だとLOQ 15IRH8のWQHD sRGB100%仕様もありますが、ディスプレイの品番がBOE NE156QHM-NY4(5D11D04810)の40pinとなっていたので、認識さえ出来れば海外仕様への交換も可能なのかもしれません。
Amazonでも同型品番のディスプレイが販売されていますが、販売価格が$500前後でメーカー名がBOEテクノロジーになっている製品が一つも見つからなかったため、低価格な粗悪互換品である可能性が高い事には注意が必要です。
価格を抑えてGPUとCPUの総合性能に全振りをしたようなラップトップなので、メインPCでLUTやプリセットを予め作れる方や、HWキャリブレーションが可能な広色域ディスプレイをUSB Type-CやHDMIで接続して使用する前提で考えているプロの人でも問題なく使用出来るかと思います。
キーボードはバックライト付きだが色はホワイト1色のみ
キーボードのキーピッチは16mm程度になっているが、そんなに扱い難さも感じられず、普段使い用や事務作業用PCとしても活用できるサイズと高さに抑えられているようです。
また、Fnを押しながらF1~F12を同時に押すとスピーカーの音量やディスプレイの明るさの調整、その他様々な機能のオンオフをワンタッチで出来るのが個人的に扱いやすいと感じました。
キーボードのイルミネーション機能はゲーミングPCにありがちなカラフルなものではなく、暗い場所での操作もしやすいホワイト一色のバックライト式となっており、Fnキーとスペースキーの同時押しで消灯から最大の明るさまで3段階で調整をする事も可能です。
実際に大曲の花火 秋の章のライブ配信で使用したけど、光るキーボードがとても便利でした。
キーボードにタッチする時だけ点灯させて、それ以外の時はFnとスペースキーを押すだけで消灯させる事が出来るので、不要な時は光が全く気にならなくなります。
ちなみにディスプレイもFn+F5とF6で明るさを調整する事が出来るので、調整の仕方次第ではほぼ消灯に近い所まで、パソコン全体の照明を暗くする事ができます。
裏面は巨大な吸気口になっているので、冷却対策は必要
LOQ 15IRH8シリーズの裏側には巨大な吸気口が設けられており、内蔵された2つの空冷ファンと4本のヒートパイプでCPUやGPUなどを強力に冷やします。
ただし、LOQ 15IRH8シリーズは冷却性能が低いせいなのか、高負荷時にはCPUの温度が高温になりやすい傾向があるので、冷却対策をして温度の上昇とファンの回転数を抑える工夫は必要になるかもしれません。
ファン内蔵の冷却パッドのようなものがベストなのかもしれませんが、角度調整式の折り畳み式ノートパソコンスタンドを使うだけでも高い冷却効果が見られました。
CPUの温度はどちらも100度に達して頭打ちにはなっていましたが、FF15ベンチマーク時のGPUの温度に関しては、スタンドの上に乗せて空気の通り道を作った方が7.5℃もGPUの温度が低くなります。
折り畳んでケースに入れて持ち運ぶ事も出来ますし、角度が付いてキーボードの打ち込みもしやすくなっていたので、ラップトップを使うのであれば筆者的にはオススメの商品です。
空冷ファンの音は、通常使用時や静音モードだと気にならないけど、高負荷がかかる動画編集やゲームプレイだと、空冷ファンの音が耳障りに感じる事が多いです。
パフォーマンスモードに設定すると、甲高い音を発しながら爆音でファンが回るので、動画のエンコード中にその場を離れるなら気にならないけど、ゲームプレイ中は結構気になるレベルの音量だと思います。
Lenovo VantageかFn+Qでノーマルモードや静音モードに切り替えて負荷がかかっていない状態では、ファンの音は全く聞こえていない無音レベルまで抑えられるので、常時気になるというほどではない点についてはご安心を。
背面はUSB3.2 Gen2とHDMI 2.1端子を装備
背面にはUSB Type-A端子が2つとイーサネット・コネクター(RJ-45)1つ、HDMIコネクターと電源ポートを装備しています。
背面のUSB端子は、3.2 Gen2 type-Aを2つ搭載し、最大10Gbbsの最大転送速度でファイルサイズの大きなビデオデータなどもスムーズに読み込む事ができます。
HDMI端子は最大8K/60Hzの伝送も可能なウルトラハイスピード(HDMI 2.1)対応の出力ポートになっており、HDRの映像も出力をする事が可能です。
また、背面標準ポートの両サイドには、裏側から吸気して内部で温められた空気を排出する大型排気口が2つ設けられています。
左側面はUSB Type-Cとヘッドフォン/マイクコンボジャックを装備
左側面には、データ転送、Power Delivery 140W、DisplayPort™ 1.4 をサポートするUSB-C 3.2 Gen 2端子と、3.5mmのヘッドフォン/マイクコンボジャックを1つ装備しています。
ただし、映像出力はDisplayPort Alt ModeやThunderbolt 3以降には対応しておらず、USB Type-C to Display Port 1.4に変換をするケーブルが必要になってしまうのが少々残念。
右側面はUSB 3.2 Gen 1とカメラのオンオフスイッチを装備
右側には最大転送速度が5Gb/sのUSB 3.2 Gen 1端子と、フルHDの内蔵カメラをオンオフ出来るスイッチが備えられています。
USB 3.2 Gen 1と表記されているけど、実際にはUSB3.0の名称が変えられただけなので、高速な転送速度を必要としない機器を接続したり付属の有線マウスを使う時に使用します。
ややこしくなったUSBの規格については、こちらの記事でご紹介しています。
外付けストレージや周辺機器をパソコンに繋ぐためのUSB端子ですが、規格や端子形状が増えすぎて、とうとう分かりにくくなってきちゃいましたね。形が違うのであれば物理的に入らないけど、同じ端子形状で規格が違うのは本当に分かりにくいのです。この記事ではUSB端子の形状や規格についてまとめました。 分かりに...
Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPの性能
CPUはIntel第13世代Core i7 13620Hを搭載
Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPには、Intel第13世代Core i H45WシリーズCPUのCore i7 13620Hを搭載し、Pコアが6コア、Eコアが4コアの合計10コア16スレッドの中位モデルよりも少し下ぐらいに位置付けられているラップトップ向けCPUです。
定格のクロック周波数は 2.40 GHzで、ターボ・ブースト利用時の最大周波数は4.9GHzに達します。
ラップトップ向けCPUの中では比較的消費電力が高い方で、ゲームプレイや動画編集を快適にするために、省電力性能よりもパフォーマンス性能を優先しているモデルとなっています。
Lenovo公式のソフトウェア「Lenovo Vantage」でパフォーマンスモードを管理する事が出来ますが、温度や消費電力の問題があるのか、意図的にターボモードの4.9GHzにはならないようにはなっているっぽい。
13世代/14世代インテルCPUの不具合該当リストにCORE i7 13620Hが入っておりませんが、多少は制限を設けているのかもしれません。
多分、価格が安かったのも13世代/14世代インテルCPUで発生した不具合の煽りを受けて売れなかったのだと思いますが、最終的な不具合修正パッチが適用されたBIOSが10月に登場しているので、既に問題が無いものと考えても良いでしょう。
GPUはAV1エンコードも可能なNvidia 4060を搭載
決算と在庫処分セールだったのもあるかと思いますが、Nvidia RTX4060搭載モデルの中では多分最安。
定格クロック周波数1545MHz-2295 MHz、最大クロック周波数1890MHz-2370MHzで動作し、VRAMはGDDR6 8GBを搭載しています。
CUDAコア数は、RTX3060の3584基(Laptopは3840基)からRTX4060は3072に減らされていますが、DaVinci Resolveを使用した6K RAWの4K動画書き出しでは、4~5fpsほどの書き出し速度の低下は見られます。
しかし、ライブ配信では、HEVCよりも軽量なAV1エンコードに対応しているのは現状でRTX40シリーズGPUのみになっているため、高速で安定した通信回線を確保できないような時には、とても有利になります。
本格的なゲーム用途や動画編集用途で、AV1へのこだわりが無ければ、RTX4060よりもRTX30シリーズの上位モデル、予算があったら40シリーズの上位モデルが入ったゲーミングノートPCの方がサクサク動くかと思われます。
DRAM容量は平均的な16GBなので少し物足りない
Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPのDRAM(メインメモリー)の容量は8GB2枚の16GBしかないため、負荷のかかる動画編集では動かない事はないけど少し物足りない容量です。
海外のフォーラムやスペックシートを見てみると、16GBの2枚差しで最大32GBのDDR5 5600MHz(公式には4800か5200)に換装できている事を確認出来ているため、限界を感じたら自己責任で容量を増やしてみるのも良いのかもしれません。
i7 8700とRTX3060を搭載したデスクトップのサブ機として購入をしたつもりだったけど、CPUの性能が高い分、ノイズリダクションのような重い処理をCPUに回すと想像以上にサクサクと書き出してくれています。
内蔵NVMeは512GBだけど、M.2 2280 PCIe® 4.0 x4 スロットに空きあり
純正のLOQ 15IRH8 82XV006JJPに内蔵されているストレージは、容量512GBのM.2 2242 NVMe SSDが1つです。
シーケンシャルリード3240MB/s、シーケンシャルライトで3179MB/sの転送速度を発揮するNVMeですが、容量が512GB/sなので、外部ストレージを使わないと容量が足りなくなると思います。
純正のNVMeはM.2 2242サイズですが、もう1ヶ所内部にM.2 2280サイズの空きスロットがあるので、そちらにNVMeを増設すれば最大1TB+1TBの合計2TBにまで容量を増やせる仕様になっているらしい。
日本国内向けレノボ公式サイトには多分無いけど、海外のレノボ公式サイトには製品仕様参照(Product Specifications Reference)にストレージやDRAMのテスト済み最大容量が掲載されています。
他の国の仕様では同じCPUとGPUでもNVMeが1TBになっていたり、ディスプレイがsRGB100%のWQHDになっていたりするので、良く言えばアップグレード、悪く言えば魔改造の参考にしてみるのも楽しいかもしれません。
国内サイトに無いのは、保証の都合もあるかもしれないので、もし増設や換装を希望する方は自己責任でお願いします。
RTX3060搭載デスクトップとLenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPのグラフィック性能
DaVinci Resolveの4K HDR書き出し性能
普段はDRAM容量32GBのデスクトップ水冷自作機にi7 8700とRTX3060を搭載したメインPCで、6K RAWのカラーグレーディングと4K HDR映像の書き出しをしていますが、今回購入をしたLenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPで同じ編集と書き出しを行うと4fps~5fpsほどの性能低下が見られました。
RTX4060はRTX3060よりもCUDAコア数を500~800基近く減らされているため、GPUとビデオメモリーに負荷がかかるDaVinci Resolveを使用したHEVC Main10 HLGの書き出しでは、少なからず影響はあります。
VRAM容量12GBのデスクトップ版RTX3060とVRAM容量8GBのLaptop版RTX4060の比較では、RTX3060の方が動画編集で有利に働いていますが、DaVinci ResolveはVRAM容量エラーで落ちてしまう事もあるので、VRAM容量6GBのノート版RTX3060ではそもそも書き出す事すら出来ない可能性もある事に注意が必要です。
また、DRAM容量32GBのデスクトップ水冷自作機でカラーグレーディングだけした6K映像の書き出しでも、最大で14.3GBしか使っていなかったため、DaVinci Resolveで動画編集をする分には、82XV006JJPのDRAM容量16GBはさほど問題にはならないようです。
13世代のCPUが偉大だったノイズリダクションを使用した書き出し
処理がかなり重いノイズリダクションプラグイン「Neat Video v5」を適用してDaVinci Resolveで書き出しを行うと、i7 8700とRTX3060 12GBを搭載したデスクトップ機とi7 13620HとRTX4060を搭載したLenovo LOQ 15IRH8では立場が逆転します。
Neat Videoで、CPUとGPUの両方を使う設定でノイズを軽減しながら書き出しを行うと、RTX3060を搭載したデスクトップは5~5.5fpsで処理と書き出しを行ってくれます。
RTX3060の専用GPUメモリを使い切って共有GPUメモリを一部使用していますが、ノイズ軽減処理の大部分をGPUが行って、5世代前のCPUがボトルネックになって、20%~30%ぐらいしか使われません。
その一方で、RTX4060を搭載した第13世代CPUのLenovo LOQ 15IRH8でノイズ軽減処理を行いながら書き出しを行うと、6fps~6.5fpsで書き出しが出来ておりました。
VRAM容量8GBがボトルネックになっている部分はありますが、intel CPU5世代分の差が書き出し速度に影響しているので、Lenovo LOQ 15IRH8をサブ機と呼ぶには少々もったいないような気もします。
また、350W近い電力を消費するデスクトップよりも150W~170Wの消費電力で書き出せるLenovo LOQ 15IRH8の方が電気代もかからないので、DaVinci Resolveのプロジェクトを移してノートPCで書き出した方がお得なのかもしれません。
旧式自作デスクトップと比較的新しいノートPCの手持ちのPCでは単純に比較する事は出来ませんが、6K RAWから4Kダウンコンバートしながらノイズ軽減処理を行ってVRAM容量8GBではギリギリになってしまう所、13世代インテルCPUがそれを補って、VRAM容量12GBのRTX3060よりも高速で処理が出来ました。
今までデスクトップじゃないと重いエフェクトを使用した動画編集は難しいだろうと思っておりましたが、それが、ライブ配信と軽い動画編集さえ出来れば良いと思って購入をした激安ゲーミングノートPC Lenovo LOQ 15IRH8で、意外とどうにかなってしまったのです。
FFXVベンチマークはRTX4060の方がスコアが高くなる
FFXVベンチマークで4K UHDのスコアを比較すると、RTX3060 12GBは4000前後のスコアで止まってしまいますが、RTX4060は4300ぐらいまでスコアを伸ばします。
低解像度の画像を高解像度にアップスケールしてフレームレートを伸ばすDLSSを有効にするとさらに差が付いて、RTX3060の5760に対してRTX4060は6522までスコアを伸ばしました。
グラフィック性能まとめ
RTX3060とRTX4060を比較すると、CUDAコア数が多くてVRAM容量が大きいRTX3060は動画編集に強く、GPUとVRAMのクロック周波数が高いRTX4060はゲームでスコアを伸ばす事が分かりました。
元々ライブ配信でのAV1出力と速報版動画の書き出しを視野に入れて購入をしたサブ機として位置づけておりましたが、思っていた以上に性能が高くて、型落ちメイン機にも劣らない性能を発揮してくれるノートパソコンだと思います。
DRAMとVRAM容量がボトルネックになるけど、ノイズリダクション付きの動画書き出しなら4K、カラーグレーディングのみなら6Kの出力まで対応出来ます。
内蔵バッテリーとACアダプターの消費電力
高負荷時は外部からの電力供給は必須
容量60Whの4セルリチウムイオンポリマーバッテリーを搭載し、使用時間(JEITA2.0)は約10.0時間、付属170W ACアダプター接続の急速充電モードを使用すると電源オフ時に約2時間でフル充電が可能です。
内蔵バッテリーのみの運用では、バッテリーの残容量100%から動画編集後の書き出しやゲームプレイをすると、約40分で電源が切れてしまいましたが、省電力モードの常時アイドル状態であれば4時間ぐらいは電源が入っていました。
CPUとGPUを占有するような作業をする時には、ACアダプターの使用は必須なので、電源が無いような場所で使用するような時には、ポータブル電源の使用やAC100Vアクセサリーコンセント付きのハイブリッド車やEV車の活用も検討した方が良いでしょう。
幸いな事にUSB 3.2 Gen2 Type-C端子はPD 140Wの給電に対応をしているため、PD出力付きのモバイルバッテリーがあれば、充電をしながら稼働時間を大幅に伸ばす事は可能です。
一応アイドル時であれば60W程度のモバイルバッテリーでも充電は可能ですが、PCに負荷がかかると充電が出来なくなるので、可能であればPD140Wを出力できるモバイルバッテリーを使用した方が良いでしょう。
サーマルモードごとの消費電力と性能の違い
Lenovo Vantageで静音モード・バランスモード・パフォーマンスモードを切り替えて、各設定の消費電力をアイドル時と高負荷時に測定してみました。
消費電力のモニタリングは、ポータブル電源の出力モニターを使用して確認しております。
アイドル状態では全てのモードで20W前後を消費していたので、負荷がかからない時は極力消費電力を抑えて、バッテリーの駆動時間を伸ばすような制御を行っています。
ベンチマークソフトでCPUに負荷をかけて消費電力が最大になるように設定をすると、静音モード時にパッケージ電力45W、Pコア2800MHz・Eコア2200MHzで動作し、その際の最大消費電力は137W程度に抑えられていました。
高負荷時の空冷ファンの回転数もかなり低く抑えられていたため、パソコンに向かって作業をしていても回転音がほとんど気にならないレベルになっています。
バランスモードに設定をすると、CPUのパッケージ電力が60Wまで上がり、Pコア3300MHz、Eコア2450MHzで動作、最大消費電力は150Wで頭打ちになっています。
ポータブル電源の出力モニターを見る限りでは、AC出力が150Wぴったりで止まっていたため、消費電力150W以内で出せる最大のパフォーマンスで動作しているのだと思われます。
パフォーマンスモードでは、CPUのパッケージ電力を75Wまで上げて、Pコアの最大で4500MHz、Eコアは最大3200MHzで動作し、最大消費電力は180Wに達しております。
他の国の仕様では230WのACアダプターが付属する場合もありますが、日本国内仕様は170WのACアダプターが付属しているため、ACアダプターから絞り出せる定格以上の最大出力で動作させています。
パフォーマンスモードでは、周囲への配慮無しに空冷ファンを回転させているので、音が気にならない人はいないのではないかと思うぐらいの大音量になります。
CPUとGPUを使用するベンチマークでも、それぞれの最大消費電力を超える事が無かったので、電源回路から出力可能な電力=消費電力を制限されたハードウェアが発揮できる最大の性能になるような制限を設けているのでしょう。
3Dゲームや動画編集などではノーマルモードやパフォーマンスモードを使った方が良いと思いますが、事務作業やネットサーフィン、動画や写真の閲覧程度では、静音モードを使用しても動作がもっさりとするような事はありません。
なお、USB 3.2 Gen2 Type-C端子から給電をした場合は、静音モードとノーマルモードしか選択が出来ず、内蔵バッテリー駆動モードと同様のパフォーマンスに制限をされています。
UGREEN PD3.1 モバイルバッテリー 145W高出力 25000mAh大容量 3ポート USB-C×2 USB-A×1 単ポート140W高出力...
USB端子はType-AとType-C共に高速!速度を制限するなら右側Type-Aを使えば良い!
左側USB 3.2 Gen2 Type-Cと背面USB 3.2 Gen2 Type-Aの両方にCinema SSDを接続すると、シーケンシャルリードで1060MB/s前後、シーケンシャルライトで1000MB/sの速度が出ました。
このSSDが頭打ちになる速度なので、USB 3.2 Gen2の最大転送速度に近いスピードが出ている事が分かります。
高速すぎてSSD側のサーマルスロットリングが作動してしまう事もあったので、右側のUSB3.2 Gen1 Type-A端子で意図的に速度を落としてデータを転送すれば、発熱を抑える事が出来ました。
USB3.2 Gen1 Type-A端子でも、シーケンシャルリードで458MB/s、シーケンシャルライトで455MB/sの転送速度が出たので、速度を抑えても支障が無い機器や意図的に速度を抑えたい機器は右側USB Type-A端子を使うのが良さそう。
USB 3.0ケーブルを使用して速度を制限する事も考えましたが、SS10(スーパースピード10Gbps)のシンボルが付与されていないケーブルでも、シーケンシャルリード1000MB/s以上出ていたので、シンボルがSSだからと言って5Gbpsに制限されるというわけでは無さそう。
各ケーブルの速度測定結果はUSBの規格に関する記事で紹介する事とします。
外付けストレージや周辺機器をパソコンに繋ぐためのUSB端子ですが、規格や端子形状が増えすぎて、とうとう分かりにくくなってきちゃいましたね。形が違うのであれば物理的に入らないけど、同じ端子形状で規格が違うのは本当に分かりにくいのです。この記事ではUSB端子の形状や規格についてまとめました。 分かりに...
Wi-Fiの受信電波強度はTP-Linkのハイゲインアンテナと同等
WiFi Analyzerを使用してLenovo 15IRH8 82XV006JJPの内蔵Wi-Fiと自作デスクトップPCに接続したTp-Link Archer TX50UH、東芝dynabook R73/A内蔵のWi-Fiの電波強度を測定しました。
親機は第二世代StarlinkのWi-Fiルーターで、全て測定条件が同じになるように、それぞれ同じ場所に設置をして測定をしております。
dynabook R73/A内蔵Wi-Fiの電波強度
dynabook R73/Aは全ての性能が平均的な、法人向けビジネスモバイルPCとして販売されているモデルです。
Wi-Fiの電波強度も-50dBm程度で推移していました。
Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPの電波強度
Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPに搭載しているワイヤレスアンテナの電波強度は-40~-43dBmで推移していたので、一般的なビジネスノートPCよりも高めで、自作デスクトップPCに接続したTP-Link Archer TX50UHよりも少し弱いぐらいの感度になっておりました。
内蔵型のWi-Fiワイヤレスアンテナとしては非常に良いレベルの感度だと思われます。
Lenovo Vantageで設定が可能でアプリケーション上でも目立った機能向上が見られなかったネットワークブーストは、Wi-Fiの受信感度を強化するような機能かと思いましたが、どうやらそれも違ったらしい。
結局謎のままの機能という事になりました。
電源管理やGPUのオーバークロックも可能なソフトウェアが便利
Lenovo LOQ 15IRH8対応の公式ソフトウェアLenovo Vantageは、電源管理やドライバーのアップデート、GPUのオーバークロックまで、内蔵ハードウェアの設定を細かく調整が可能なので使用する機会は多いと思います。
サーマルモードを変更すると、負荷をかけてもファンの回転が上がりにくい静音モードから、内蔵ハードウェアの性能をフルに引き出すパフォーマンスモードまで、3段階の電源設定でパフォーマンスを調節する事ができます。
静音モードは消費電力を下げて、内蔵バッテリーでも長時間の作業を行う事が可能なので、CPUとGPUのパワーをそんなに必要としていない場合にオススメです。
Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPの評価
今までは自作デスクトップ機マルチモニター派だったのですが、作業のしやすさで言うとやはりデスクトップかな?と思います。
しかし、速報版の動画編集やライブ配信用をするとなると話は別で、Lenovo LOQ 15IRH8 82XV006JJPは、型落ちCPUとRTX3060のデスクトップ機に負けていないどころか、条件によっては性能が上になるぐらいに高性能なゲーミングノートパソコンだと気付かされました。
本気で動画や写真を編集する時は内蔵ディスプレイの色域が狭いのがネックになってしまう事もあるかもしれませんが、背面HDMIか左側USB-C端子からサブモニターに接続すればデスクトップと同じように使えるかと思います。
筆者の環境では、PCデスクの奥行きの狭さが仇になって、Lenovo LOQ 15IRH8のマルチモニター環境をうまく構築できていないのですが、ビデオメモリを大量に使う作業を除けばデスクトップと入れ替えてもいいと思わせられる性能のの高さは、購入価格の安さからは想像できないほどでした。
13世代と14世代のIntel CPUで発生していた不具合には直接関係が無いCPUを採用していますが、風評被害もあっての処分価格に設定されていたのかもしれません。
0x12B マイクロコード版UEFIへの更新で不具合が解消されたとの事ですが、でそろそろ店舗在庫も少なくなって来る頃だと思うので、安い価格でゲーミングノートPCを購入したいと思う方にはオススメの1台だと思います。
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