2023年7月30日、宮城県牡鹿郡女川町の女川港と女川町海岸広場で開催された「第56回おながわみなと祭り」の海上花火大会を観覧・撮影してきました。2010年を最後に開催が途絶えていたおながわみなと祭りは、2022年7月24日に12年ぶりの復活を果たし、2023年も約4,000発の美しい花火が女川の夜空を彩りました。今回は、水中スターマインや音楽とシンクロするミュージックスターマインなど、迫力ある花火の見どころと観覧場所、4K HDRで撮影した全38プログラムの映像をご紹介します。
東日本大震災からの復興で新たな街づくり
宮城県牡鹿郡女川町は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の津波によって甚大な被害を受けた町です。女川町の公式記録によると、町内にあった住宅4,411棟のうち2,924棟が全壊し、その割合は約66.3%に達しました。
震災から約1年後に女川町を訪れた際には、地盤沈下した岸壁や横倒しになったままの建物など、津波による被害の大きさを物語る光景が強く記憶に残っています。その後、住宅地の高台移転や中心市街地のかさ上げ、新たな商業施設の整備など、復興に向けた街づくりが進められ、2015年3月にはJR石巻線の全線運転再開と新しい女川駅の開業に合わせて「おながわ復興まちびらき」が行われました。
女川港周辺では土地のかさ上げや道路の整備が行われ、JR女川駅も震災前の位置から内陸側へ移転しました。新しい女川駅から港へ向かって延びるレンガ道の両側には、2015年12月に開業したテナント型商業施設「シーパルピア女川」が立ち並び、飲食店や土産物店などが集まる新たな観光拠点となっています。また、2020年には女川港に面した女川町海岸広場も整備され、海を身近に感じられる開放的な空間が生まれました。
こうして復興が進む一方、2020年からは新型コロナウイルス感染症の拡大によって全国各地のイベントや祭りが中止となり、再開が計画されていた「おながわみなと祭り」も開催を見送ることになりました。
その後、2022年7月24日に12年ぶりの開催が実現し、女川町の夏の風物詩として親しまれてきた海上獅子舞や海上花火大会が復活。2023年も引き続き開催され、多くの来場者で賑わう夏祭りとなりました。
おながわみなと祭りの見どころ
2023年のおながわみなと祭りでは、まちなかパレードやステージイベントのほか、大漁旗を掲げた漁船の上で獅子舞が披露される伝統行事「海上獅子舞」などが行われました。
女川港に到着したのは、海上獅子舞が終了した15時頃。港の岸壁には座って休んでいる人々も見られましたが、震災前とは異なり、花火大会の開催時間帯には岸壁付近での観覧が禁止されていました。
花火の打ち上げ場所となる台船が港内に設置されるため、安全確保に必要な保安距離や警備上の理由による規制と考えられます。実際に観覧する際には、会場内の案内や立ち入り規制に従って場所を選ぶ必要があります。
花火大会は実績のある県内2社が担当
おながわみなと祭りの海上花火大会は、女川港内に設置された台船から花火が打ち上げられるのが特徴です。2023年は19時15分頃から打ち上げが始まり、約4,000発の花火が女川湾の夜空と海面を華やかに彩りました。
花火の製造・打ち上げを担当したのは、宮城県仙台市の「芳賀火工」と大崎市の「若松煙火製造所」の2社です。どちらも全国各地の花火大会や競技大会で実績を残している宮城県内の煙火業者で、異なる作風の花火を一度に楽しめるのも見どころとなっています。
若松煙火製造所は、2014年に開催された第88回全国花火競技大会「大曲の花火」の昼花火の部で優勝し、日本煙火協会会長賞も受賞しています。また、芳賀火工は土浦全国花火競技大会の創造花火の部で優勝した実績があり、2019年には中国国際花火大会で準優勝を果たしています。
2023年のプログラムでは、最大4号玉の10連発をはじめ、特大スターマインやジャンボスターマイン、造形スターマインなどが披露されました。なかでも水中スターマインと音楽花火は、女川港を舞台にした海上花火大会ならではの迫力を感じられる演出でした。
水上花火とスターマインが競演をする女川ならではの花火
おながわみなと祭りの海上花火大会で注目したいのが、芳賀火工が担当する「水中スターマイン」です。
水中花火や水上花火は、海や湖などの水面付近で花火を開花させる演出で、一般的な打ち上げ花火とは異なり、水面を中心に半円状の大きな光の輪が広がります。花火玉を船から水中へ投げ込む方式や、打ち上げ筒から水面に向かって発射する方式などがあり、水辺の地形を生かした幻想的な花火を楽しむことができます。
投げ込み式の水中花火は宮城県や岩手県の花火大会でも見ることができ、芳賀火工が担当する水辺のイベントでも披露されています。
一方、新潟県の「ぎおん柏崎まつり 海の大花火大会」で行われる海中空スターマインは、海面に向けて花火を打ち込む方式として知られており、花火の開き方は似ていても演出方法には違いがあります。
女川港では、水面に半円状に広がる水中スターマインと、上空で次々に開花する打ち上げ花火を組み合わせた華やかな演出が楽しめました。海面に映り込む光も美しく、陸上の花火大会とは一味違った臨場感を感じられるのが魅力です。
震災後の復活と共に新たに加わった音楽花火
2022年の復活後、おながわみなと祭りの新たな見どころとなったのが、音楽と花火がシンクロする「音楽花火(ミュージックスターマイン)」です。
一般的な音楽花火には、BGMを流しながら花火を打ち上げる演出と、楽曲のリズムや盛り上がりに合わせて花火の点火タイミングを細かく調整する演出があります。おながわみなと祭りでは、音楽の展開に合わせて花火が次々に開花する、ミュージックスターマインならではの演出が披露されました。
2023年は第1部で芳賀火工が「可愛くてごめん」、第2部で若松煙火製造所が「夜明けのうた」に合わせた音楽花火を担当。曲のリズムに合わせて花火が連続して打ち上がり、サビでは扇形に大きく広がるワイドスターマインが夜空を彩りました。
近年は全国各地の花火大会で音楽と連動した演出が増えていますが、宮城県内ではこうした本格的なミュージックスターマインを観賞できる機会が限られているため、非常に見応えのある内容でした。
芳賀火工と若松煙火製造所は、全国花火競技大会などで花火の技術を競ってきた実績を持つ煙火業者です。台船1台からの打ち上げでありながら、斜め方向への扇打ちを組み合わせることで、打ち上げ場所の幅を超えるような迫力ある演出が実現していました。
個人的にも、宮城県内の花火大会でここまで大きく扇形に展開する音楽花火を見る機会は少なく、特に印象に残ったプログラムとなりました。
花火は女川町海岸広場や周辺のどこからでも楽しめます
※写真は女川復興祈念冬花火より
おながわみなと祭り海上花火大会の主な観覧場所となるのが、女川港に面した「女川町海岸広場」です。花火は港内の台船から打ち上げられるため、会場内のさまざまな場所から夜空に広がる花火を楽しむことができます。
ただし、ミュージックスターマインのように扇形に大きく展開する花火は、観覧する位置によって見え方が変わります。2022年はステージ付近が花火の正面に近い位置でしたが、2023年は屋台エリア付近が正面となっており、打ち上げ台船の配置によって観覧に適した場所も変わるようです。
4号玉10連発や通常のスターマインであれば広場内の比較的広い範囲から楽しめますが、ワイドスターマインを左右対称に近い形で観賞したい場合は、台船の正面に近い場所がおすすめです。
また、音楽花火は花火と楽曲のシンクロが大きな魅力となるため、会場のスピーカーから流れる音楽が聞こえやすい場所を選ぶと、より臨場感のある観覧ができると思います。
夕方になると打ち上げ場所となる台船の位置も確認しやすくなるため、その配置を見てから観覧場所を決める方法もあります。ただし、混雑状況や立ち入り規制によって移動できる範囲が変わるため、早めに場所を確保しておく方が安心でしょう。
会場周辺には数多くの屋台や出店が並び、すぐ近くには飲食店や土産物店が集まる「シーパルピア女川」もあります。花火だけでなく、食事や買い物、女川港の景色を楽しみながら過ごせるのも、おながわみなと祭りの魅力です。
おながわみなと祭り海上花火大会の映像
【ライブ配信】2023年 おながわみなとまつり海上花火大会
2023年のおながわみなと祭り海上花火大会では、現地からフルハイビジョン(1920×1080)のライブ配信を実施しました。
女川港周辺の通信環境は良好で、配信途中に映像が途切れることもなく、オープニングからフィナーレまで花火大会の様子をお届けすることができました。会場の雰囲気や花火の打ち上げ状況を記録したライブ映像として、ぜひご覧いただければと思います。
【4K HDR】2023年 おながわみなと祭り海上花火大会 全プログラム
ライブ配信とは別に、2023年のおながわみなと祭り海上花火大会を4K HDR映像に仕上げたアーカイブ動画もYouTubeで公開しています。
4Kの高画質とHDRの広いダイナミックレンジを生かし、夜空に広がる花火の鮮やかな色彩や、水中スターマインが海面を照らす美しい光景を収録しました。通常のSDR映像とは異なる、花火の明暗差や光の階調もお楽しみいただければと思います。
動画には全38プログラムを収録しており、YouTubeの概要欄に記載したタイムスタンプから、お好みの花火へ移動して視聴することができます。音楽とシンクロする迫力あるミュージックスターマインや、フィナーレを飾る華やかな連発花火など、ぜひ4K HDR映像でお楽しみください。
第1部
No./花火の種類と大きさ/担当煙火師 (若松=若松煙火製造所 / 芳賀=芳賀火工)
0:00 1.オープニングスターマイン/若松
1:39 2.4号10連発/若松
2:46 3.4号10連発/若松
3:43 4.特大スターマイン/芳賀
4:24 5.4号10連発/芳賀
5:13 6.ジャンボスターマイン/若松
6:36 7.4号10連発/若松
7:42 8.4号10連発/若松
8:36 9.水中スターマイン/芳賀
10:11 10.4号10連発/若松
11:15 11.ジャンボスターマイン/若松
12:40 12.4号10連発/芳賀
13:36 13.スーパージャンボスターマイン/芳賀
14:31 14.4号10連発/芳賀
15:19 15.造形スターマイン/若松
16:55 16.4号10連発/若松
17:52 17.4号10連発/若松
18:58 18.音楽花火(可愛くてごめん)/芳賀
第2部
No./花火の種類と大きさ/担当煙火師
22:34 19.ジャンボスターマイン/芳賀
23:31 20.4号10連発/芳賀
24:20 21.4号10連発/芳賀
25:12 22.水中スターマイン/芳賀
26:24 23.4号10連発/若松
27:22 24.特大スターマイン/若松
28:16 25.4号10連発/若松
29:20 26.4号10連発/若松
30:28 27.ジャンボスターマイン/若松
31:58 28.4号10連発/芳賀
32:45 29.4号10連発/芳賀
33:43 30.水中スターマイン/芳賀
34:17 31.4号10連発/芳賀
35:08 32.造形スターマイン/芳賀
36:09 33.4号10連発/芳賀
37:00 34.スーパージャンボスターマイン/若松
38:54 35.4号10連発/若松
39:52 36.4号10連発/若松
40:48 37.音楽花火(夜明けのうた)/若松
43:29 38.フィナーレスターマイン/芳賀
撮影・録音機材
Camera : Blackmagic pocket Cinema Camera 6K (BMPCC6K)
Lens : SIGMA 10-20mm
Michrophone : MXL CR21
Recorder : ZOOM F3
おながわみなと祭り 観覧情報
| 開催日時 | 2023年7月30日 10:00~ / 海上花火大会 19:15~ |
| 開催場所 | 宮城県牡鹿郡女川町海岸通り 女川港・女川町海岸広場 |
| 主催者 | おながわ四季のまつり実行委員会 |
| 担当煙火店 | 株式会社芳賀火工・有限会社若松煙火製造所 |
| 打ち上げ数 | 約4,000発 |
| 最大号数 | 4号玉 |
| 関連ウェブサイト | おながわみなと祭り |













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