RAW現像ソフト Adobe Lightroom Classic CCを使用して、一眼レフカメラで撮影した夜景写真を補正して、RAWデータのハイダイナミックレンジを活用した美しく輝くようなイメージにレタッチをするテクニックをご紹介します。
写真をJPEGで撮影している方には関係ないかもしれませんが、RAWで保存している方はAdobe Lightroom ClassicやPhotoshopを使用してRAW現像やレタッチをすると思います。
RAW現像の面白い所は、現実に忠実な表現から自分なりにオリジナルのイメージまで様々な表現が可能になる所で、グラデーション256段分の8bitで保存するjpegに対して、RAWはグラデーション4096~65536段分の滑らかな表現ができる12~16bitで保存される事。
特に明暗差が激しい写真を編集や加工をすると、滑らかなグラデーションになるはずの被写体が縞々になるバンディングを発生させてしまう事もありますが、階調が多ければ多いほどグラデーションも細かくなるため、画像処理をしても滑らかさを保ったまま保存する事ができます。
記事内の目次
仙台城址から眺める仙台の夜景
特に明暗の差が激しい夜景写真は、黒つぶれや白飛びを起こしやすい被写体の一つではあります。
jpegで保存してしまうと黒潰れや白飛びをしてしまった部分は救済できなくなってしまうのですが、RAWで撮影をすると、画像として表示されている部分以外にも、暗部や明部に色情報が残っている場合が多いです。
仙台城跡から眺める仙台市街地の夜景を撮影した写真を掲載しましたが、私が夜景写真をレタッチしている時に気を付けている事は、ノイズが目立たないようにする・トーンジャンプを起こさない・適度なシャープ感を残す事を大切に考えています。
jpeg派の人には「RAWなんてプロは使わない!」なんて言われそうですが、テレビですら10bitになり始めている時代であるのもありますが、JPEGがいつまで続くかわからない所まで来ているような気がします。
できるだけ多くの階調を残しておくためには、RAWデータで保存しておくことをオススメしておきます。
現像モジュールでホワイトバランス・階調・外観を調節する
まず、現像モジュールの操作説明をします。
撮影時にホワイトバランスを約3500K前後に設定していましたが、色温度はほとんど変えずに緑がかっていた空の部分が綺麗に見えるように色かぶり補正をマゼンタ寄りに調節しました。
夜景の場合は人それぞれの好みにもよりますが、黄色よりも青寄りの方がクールな印象に仕上がるのではないかと思います。
機種や撮影した場所によっても違いますが、夜景の場合はコントラストを下げて明暗差を抑えて、ハイライト・シャドウ・白レベル・黒レベルで好みの階調になるように調整しておけば良いのです。
外観の方は、テクスチャーと明瞭度を少し上げて輪郭がくっきりとするように微調整いたしました。
段階フィルターで明るくなりすぎた空を暗くする
元々ビルの上部から空に向かって徐々に暗くなるグラデーションがかかっていたのですが、階調や外観を調整しているうちに目立たなくなってしまったので、段階フィルターを使用して上に向かって暗くなるグラデーションを追加していきます。
極端に明暗差をつけてしまうと違和感が出てしまうので軽く暗くするような気持ちで補正した方が良いと思います。
この写真では、段階フィルターでの調整に加えてトーンカーブでも補正も行いました。
コントラストを下げて明暗差を少なくしていたのですが、写真全体の奥行き感も感じられなくなってしまっていたので、白飛びや黒潰れをしない程度に明暗差をはっきりとさせます。
青葉城址の夜景 完成写真
完成写真は、上の調整に加えてPhotoshopでハイパスフィルターを使いシャープ感を強調しています。
Lrのシャープ機能でも充分ですが、こちらの方がエッジ部分にのみ強く効果が表れて、何もない平滑な場所には影響しにくいエフェクトだと感じております。
ノイズの発生が少ないiso100で撮影をしていたため、ノイズ除去を+25程度に調整をしてほとんどのノイズは消滅、レタッチをした時のノイズが少々出現した程度で済みました。
仙台駅前ペデストリアンデッキの夜景
仙台駅前のペデストリアンデッキや仙台ロフト周辺の夜景を撮影した編集前の画像です。
ダイナミックレンジが狭いと看板が白トビしたり暗い所が黒つぶれを起こしてしまう事がありますが、RAWであればAPS-Cでも充分なぐらいに広いダイナミックレンジが確保できます。
レタッチ前の写真では、全体的にメリハリが少なく、少々暗いイメージになっていますが、レタッチ後はくっきりとしたクールな仕上がりとなり、看板の白飛びも修正されている事にも気づくのではないでしょうか?
RAW現像モジュールでホワイトバランス・階調・外観を調節する
RAW現像モジュールの外観やホワイトバランス・階調は、白が自然に見えるように調整後、ハイライトを下げて白レベルを上げるように調整、明瞭度やかすみの除去も+側に補正しております。
一部白トビや黒つぶれを起こしていますが、気にならない程度のレベルであれば下手に弄るよりそのままの方が良いでしょう。
その後は、トーンカーブをS字にしてコントラストを強調して明暗差をはっきりとさせています。
補正ブラシの自動マスクと消去を上手に使い空を暗くする
上の元写真では空がかなり明るかったため、補正ブラシの自動マスクを使用して空を全体的に塗りつぶしています。
自動マスクでは、上のように輪郭を全て検出して塗りつぶしたとしても、時々はみ出してしまう事もあったため、その場合はブラシの消去を使用してはみ出した部分を消していくと、上の画像のように綺麗に範囲を指定できます。
それが終わったら、露光量を下げて空を暗く、明瞭度を上げて雲の明暗差を強調していきます。
仙台駅前ペデストリアンデッキの夜景 完成写真
完成写真が上の画像ですが、全体的にくっきりして明るくなった部分もありますが、白飛び気味だった看板やネオンの色がしっかりと出て文字が読み取れるぐらいにはなりました。
夜景の写真では明暗差を少なくして、なおかつクッキリとさせるというテクニックがとても重宝しますが、カメラの機種やメーカーによって白飛びに強いのか黒潰れに強いのか分かれている部分があるので、ダイナミックレンジの限界は先に知っておく必要はあります。
RAWであっても、その特性に合わせて適正露出で撮影する事を心がけておけば、多分大丈夫です。
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