トヨタの50系エスティマや20系アルファードなどで、2400ccエンジンの2AZを搭載している一部の車種で、エンジンオイルを交換してもすぐに減少してしまう症状があるのをご存じでしょうか?
嫁氏から相談を受けて初めて知った事だったのですが、2AZ-FEエンジンで発生していたオイル食いと対策について解説していきます。
記事内の目次
エスティマのエンジンオイル異常消費について
嫁氏から50エスティマのエンジンオイルのチェックランプが時々点灯するとの相談を受けていたのですが、前回オイル交換をしてからそんなに日数が経過していなかったはず。と思って様々な可能性を探っていました。
その中でとばっちりを受けたのは、エスティマを購入した中古車店だったのですが、無料オイル交換券を使用した時に少なく入れていたのではないかと疑っていたのです。
とりあえず、自走できるようにはしなくてはいけなかったので、エンジンオイル量を調べて継ぎ足しをするつもりでした。
オイルの粘度と交換時使用量を調べているうちに、次々と出てきたのは50系エスティマや20系アルファードなどに搭載している、2.4Lガソリンエンジンの2AZ-FEで発生しているエンジンオイルの異常消費でした。
エスティマなど9車種で2AZエンジンの保証期間が延長されていた
リコールにまでにはなっていなかったようですが、エスティマなどの9車種で一部の年式に搭載をしている2AZエンジンで、オイル消費量が増えてしまう症状が判明して、保証期間延長と無料修理を行っていた事がありました。
年式では平成17年(2005年)から最長で平成26年(2014年)までに製造販売を行った9車種が該当し、ピストンやオイルノズルを対策品に交換をするという大掛かりな作業内容になっていたみたいです。
発生する症状と修理内容
オイルの異常消費の症状は以下のようになります。
「中低速域から停止直前までブレーキを踏まずに減速するような運転をされますと、吸気管および燃焼室内の負圧が高い状態で保持されるため、エンジンオイルが燃焼室まで吸い上げられてオイル消費量が増えることがあります。
当該現象が発生し修理をご用命の場合、下記の通り無料にて修理対応致します。」
この事で、新車登録から5年または10万km以内の保証期間を、新車登録から9年以内に変更し、トヨタ販売店で点検をした結果、上記の症状に該当する場合にエンジンECU制御ソフトの書き換え、ピストンおよびピストンリング、オイルノズルを改良型対策品に交換をしていたとの事。
この状態になっている場合は、既にピストンリングが破損しているとの話もあるけど、そこまでの症状にはなっていないので真相は不明。
該当する車種と年式は、既に延長保証の期間を過ぎてしまっているため、これから中古車として購入する事を検討している方は、未対策車両を購入してしまわないようにしましょう。
以下の車種と車体番号がオイルの異常消費に該当する車両となります。
対象車両の年式と車体番号
車種 | 形式 | 対象車の車体番号 | 製作期間 |
エスティマ | DBA-ACR50W DBA-ACR55W |
ACR50-0001004~ACR50-0162345 ACR50-7000101~ACR50-7118217 ACR55-0001003~ACR55-0033119 ACR55-7000101~ACR55-7024253 |
平成17年12月~平成25年 4月 |
RAV4 | DBA-ACA31W DBA-ACA36W |
ACA31-5000018~ACA31-5055123 ACA36-5000008~ACA36-5031438 |
平成17年10月~平成25年 4月 |
ヴァンガード | DBA-ACA33W DBA-ACA38W |
ACA33-5067611~ACA33-5307553 ACA38-5099356~ACA38-5250071 |
平成19年 7月~平成25年 4月 |
マークXジオ | DBA-ANA10 DBA-ANA15 |
ANA10-0001001~ANA10-0041830 ANA15-0001001~ANA15-0008877 |
平成19年 8月~平成25年 4月 |
アルファード ヴェルファイヤ |
DBA-ANH20W DBA-AZN25W DAA-ATH20W |
ANH20-8000000~ANH20-8292717 ANH25-8000005~ANH25-8047472 ATH20-8000001~ATH20-8046302 |
平成20年 4月~平成25年 7月
平成23年 7月~平成26年10月 |
ブレイド | DBA-AZE154H DBA-AZE156H |
AZE154-1000001~AZE154-1008150 AZE156-1000001~AZE156-1039425 |
平成18年11月~平成24年 4月 |
カムリ | DBA-ACV40 DBA-ACV45 |
ACV40-3000017~ACV40-3213258 ACV45-0001001~ACV45-0004293 |
平成17年12月~平成23年 6月 |
エスティマハイブリッド | DAA-AHR20W | AHR20-7000101~AHR20-7082797 AHR20-0001001~AHR20-0001904 |
平成18年 5月~平成26年10月 平成26年 6月~平成26年10月 |
SAI | DAA-AZK10 | AZK10-2000102~AZK10-2085536 | 平成21年10月~平成26年10月 |
該当車両のエンジン形式
オイル食いが発生しているのは、2AZエンジンの一部ロットで起きている症状で、日本製から中国製に切り替えて、オイル食い対策エンジンを載せる前の期間に製造されたエンジンが対象です。
このロットに該当している中国製2AZエンジンは、エキゾーストマニホールドカバーの右側にある、エンジン形式2AZ以下の製造番号にある頭のアルファベットで分かります。
- A・Bは日本製なので対象外
- C~F・Gの一部がオイル異常消費に該当する中国製
- Gの途中からとH~Kがオイル異常消費対策済みエンジン
該当する製造番号のロットでも、ヘッドカバー下の液状ガスケットが黒ではなく、グレーのままになっているのが無料修理を行っていないオイル食いエンジンです。
うちの50エスティマも車体番号とエンジンの製造番号が一致して、修理もしていなかった該当車でした。
少しでも中古車店を疑ってしまって、ごめんと言う気持ちですが・・。
保証切れでも出来そうなオイル上がり対策
無料保証の内容が、ピストンとピストンリングの交換なので、もしかしたらオイル上がり対策をすれば良いのではないかと考えました。
とは言っても、ピストンに欠陥があるエンジンのオイル食いを完全に止められるとは思っていないので、気休め程度にエンジンオイルの粘度を上げて様子を見る事にいたしました。
50系エスティマに搭載している2AZ-FEのエンジンオイル粘度は、メーカー指定で0W-20になっていますが、継ぎ足しをするついでに5W-30まで粘度を上げてみます。
高温粘度30を採用しているトヨタのガソリンエンジン車は、1JZや2JZみたいなスポーツタイプぐらいのもんで、20止まりの普通車用エンジンで出来る事は、オイル添加剤以外でこのぐらいしか思いつきません。
購入をした継ぎ足し用エンジンオイル
エンジンオイルは、オートバックスで購入をしてきた、部分合成油のShell HELIX CITY 5W-30です。
オイル食いが止まらない前提で、継ぎ足し用のじょうごも購入してきました。
少しでも収まればいいなと・・。
オイル継ぎ足し前のオイルレベルゲージ
オイルレベルゲージを何度もチェックしても、ゲージの先にしかオイルが付かなかったので、これで2AZエンジンにオイル異常消費の持病がある事に気付きました。
かなりギリギリになって気付いたようでしたが、エンジンブローを起こす前に気付けていたのが幸いです。
下りでエンジンブレーキを使うようにしていると言っていたあたりから、たしかにオイル消費が激しくなってきていたので、ブレーキを労わる代償にエンジン内部でとんでもない事が起きていたんですね。
じょうごを使ってオイルを継ぎ足しする
カウルトップ(ワイパー周辺の樹脂カバー)のゴムにじょうごを引っ掛けて、少しずつオイルを注入しますが、エンジンオイルを完全に抜いているわけではないので、オイルレベルゲージを見ながら少しずつオイルを継ぎ足すようにして下さい。
オーバーフローを起こしてしまうと、コンロッドが油面を叩く「オイルたたき」を発生させてしまう原因になりますので、ゲージの上側の印を超えないようにだけ注意をして下さい。
注入が終わってからエンジンを始動させて、異常が無ければオイルの継ぎ足し作業は完了です。
追加で注入をしたオイルは2L~2.5Lぐらいでしたので、オイル交換の時期を迎えなくても、走行条件によってはそのぐらい減ってしまう事もあるみたいですね。
まとめとトヨタ車で時々ある延長保証について
インターネットの普及で、以前よりも発表したリコール内容やサービスキャンペーンが、通知なしでも分かりやすくはなってきていますが、2AZエンジン以前にもD-4版1JZで保証延長を経験した事はあります。
その時は保証期間内のJZX110系だったので、ディーラーでかなり詰めてから対応をしていただけましたが、強く言わないと簡単な対策で済ませられてしまう所はあるんですよね。トヨタって。
まだまだエンジンオイル異常消費が認められる2.4L 2AZガソリンエンジン搭載車が、中古車市場に出回っているので、未対策の外れエンジンに当たらないようにだけ注意しましょう。
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