混同されてしまいがちなブラスバンドと吹奏楽ですが、構成する楽器は違うけれど、似ているようで構成が違う両者の違いと語源について自分なりに解釈をしてみました。
金管バンドの親の会に5年ほど在籍しているうちに、最初の2年はブラスバンドと吹奏楽の違いが分からず、両方の団体が出場しているマーチングバンドの大会では金管バンド、吹奏楽部、ブラスバンドなど、様々な名称の団体が出場していて、さらにややこしく感じておりました。
何年か大会を見ているうちに、ブラスバンドと金管バンドの構成は一緒で、吹奏楽部はそこに木管楽器が入るという所までは解釈が出来たのですが、語源を辿るとそれも正解とも言い切れないらしい。
ブラスバンドのブラスというのは、Brass=真鍮の事を指し、トランペットやホルン、トロンボーンなどの金管楽器で構成された楽団の事です。
一般的には打楽器などを含みませんが、英国式ブラスバンドになると金管楽器と打楽器で編成されるバンドになるので、日本においてのブラスバンドや金管バンドは、ブリティッシュスタイルブラスバンド、いわゆる英国式ブラスバンドが元になっているのが多いかと思います。
その一方で吹奏楽は、英国式ブラスバンドの編成にクラリネットやフルートなどの木管楽器が加わったもので、海外では吹奏楽を意味する「ウィンドバンド」と金管バンドを意味する「ブラスバンド」が明確に区別されております。
しかし、ドイツ語を語源にすると、吹くを意味するBlasenと音楽バンドを意味するMusik Bandがくっついたブラスバンド(Blas Band)が吹奏楽の事を指す事もあるらしく、これが吹奏楽とブラスバンドが混同されるようになった原因になっている説もあるのですが、主に高校野球の応援でテレビや新聞が混同してブラスバンドやブラバンという呼び方をしているのが主な原因だと思っています。
「高校野球のブラバン演奏」のタイトルで記事にしている写真で、金管楽器よりも前方で演奏している事が多い木管楽器を吹いている子たちが映っているのを見て違和感を感じる人もいるはず。
スクールバンドに統一すれば学校主体の吹奏楽部とブラスバンドのどっちの意味でも取れるのですが、今度はタイトルの文字数とサークルとしてのバンド演奏と混同する問題に当たるので、それはそれで上手くはいかなさそう。
なので、吹奏楽の編成とブラスバンドの編成の違いに気付いてないのがほとんどだと思いますが、ドイツ語を語源とすると少しややこしくなる所は注意したい所。
どちらにしても、吹奏楽とブラスバンドの違いは、何年か関わらないと私のように気付かない人の方が多いかと思いますが、ブラバンと略して呼ぶのはあまり好みではありません。
ちなみにマーチングバンドは、吹奏楽やブラスバンドなどの演奏形態を問わず、演奏に動きがあるドリルを加えて一つのテーマを作り上げるショーなので、フロアドリルの大会で、行進という表現をされるとしっくり来ない部分はありますが、マーチングバンドの基本動作であるマーチング・アンド・マニューバリングやドリルという専門用語を記事に入れると、それはそれで一般の人には伝わらなくなります。
吹奏楽や楽器メーカー勤務の経験がある記者ですら、木管楽器を演奏している写真を使ってブラスバンドの記事を執筆しているので、新聞やテレビならではの謎業界ルールがあると考えるのが自然なのかもしれない。
それらのメディアの中には本当に何も知らない場合があるとは思いますが、複数の編成や演奏形態が混在している場面で、一般の人に誰にでも伝わりやすくなったのがブラスバンドなのではないかと思います。
この記事へのコメントはありません。