タイヤの空気圧によって荷重能力が違うJATMA(日本タイヤ)規格とXL規格(欧州タイヤ規格ETRTO・EXTRA ROAD)の2種類の規格がありますが、JATMA規格のタイヤからXL規格のタイヤに変えたりインチアップをした場合は、何を基準にして空気圧を調整すれば良いのかを解説いたします。
記事内の目次
タイヤの空気圧はJATMAとXLの2つの規格の空気圧の違いに注意!
ドアに貼っているタイヤ空気圧のステッカーを基準に空気を入れている方が多いと思いますが、半分正解なようで、条件によっては間違えている時もあります。
それは何故なのか?
タイヤの扁平率や幅、またはタイヤサイズが変わってしまうと、ドアに貼ってあるステッカーの空気圧は全くアテにならないものになってしまい、適正空気圧にしたつもりが全然足りていなかったなんて事も起こりうる話なのです。
では、タイヤサイズやホイールサイズを変更した時に、何を基準に適正空気圧を調整すれば良いのか?という事について、タイヤに刻印された数字と記号を使って空気圧を計算する方法と、JATMAとXLの規格の違いについて解説をしていきます。
荷重指数(LI)について
荷重指数とはタイヤサイズの最後に付いている数字の事で、ロードインデックスとも呼ばれて、取り付ける車両の総重量に対する負荷能力を2桁から3桁の数字で表しています。
ブリザックVRX3の205/60R16 96Qであれば、96という数字が荷重指数となりますが、90系ヴォクシーのハイブリッドE-Fourの純正タイヤは205/60R16 92Hを履かせているので、同じサイズでもブリザックの方が荷重指数が高いという事になります。
同じ荷重指数でも空気圧によって負荷能力は変わるので、純正タイヤのロードインデックスが92で規定空気圧が240kpaであれば、JATMA規格で630kgになり、ロードインデックス96のタイヤに交換をした場合は、同じ空気圧でも710kgまで耐えられるという事になります。
荷重指数(LI) | 空気圧(kPa) | |||||||
180 | 190 | 200 | 210 | 220 | 230 | 240 | 250 | |
92(JATMA) | 530 | 550 | 565 | 585 | 600 | 615 | 630 | |
96(JATMA) | 600 | 620 | 640 | 655 | 675 | 695 | 710 |
同じJATMA規格であれば、ロードインデックスが92のタイヤよりもロードインデックス96のタイヤの方が、より低い空気圧でも車両総重量に耐えられるという事になります。
ただし、同じJATMA規格であればという話なので、ここからが重要です。
JATMA規格とETRTO (XL)規格の負荷能力と空気圧の違い
205/60R16 92Hと205/60R16 96QをJATMA規格の空気圧別負荷能力で比較しましたが、ブリザックVRX3の一部のサイズはJATMA規格ではなくETRTO XL規格なのです。
ETRTO XL規格(エクストラロード規格)とはヨーロッパのタイヤ規格ETRTOに規定されている規格で、JATMA規格よりもタイヤの構造を強くしてより高い空気圧を入れる事が出来るようになった規格です。
エクストラロード規格のタイヤサイズの最後にXLと表記されるか、サイドウォールにEXTRA ROADという表示が刻印されておりますので、購入店舗で説明がされていなければ見落としてしまうかもしれませんし、店員でも知らない人もいます。
JATMA規格の純正タイヤ205/60R16 92HとXL規格のブリザックVRX3の205/60R16 96Qを空気圧別負荷能力一覧表で表示するとこうなります。
荷重指数(LI) | 空気圧(kPa) | |||||||||
200 | 210 | 220 | 230 | 240 | 250 | 260 | 270 | 280 | 290 | |
92(JATMA) | 565 | 585 | 600 | 610 | 630 | |||||
96(XL) | 525 | 550 | 570 | 590 | 610 | 630 | 650 | 670 | 690 | 710 |
90系ヴォクシーハイブリッドE-Four純正16インチタイヤの規定空気圧での負荷能力に対して、ブリザックVRX3のXL規格を履かせた時に同じ負荷能力にする場合は、空気圧を10kpa上げなければいけませんので、ドアのステッカーに表示されている純正タイヤの空気圧とは変わってしまいます。
FF車のS-Z純正17インチの場合はロードインデックスが91なので、240kPaで空気を入れても誤差の範囲に収まっていると考えても良いとは思いますが、FFと4WDで60kgも違う車両重量の違いも含めて、ブリザックVRX3のXL規格を履かせた場合は250kPaで空気を入れるのが正解なのです。
タイヤのサイズは同じでも銘柄と規格が変わっただけで、ドアに貼られているステッカーに記載された適正空気圧とは10kpa違う結果となってしまいました。
ETRTO XL規格は空気圧を高めに入れる・・事が多いため、それも正解ではありますが、ロードインデックスの数値次第では、負荷能力に対して空気圧を逆に下げられる事もあるので、XLは必ず空気圧を上げるための規格ではない事に注意は必要です。
インチアップの時もLI指数にご注意
ドレスアップのために19インチや20インチを履かせたい人も多いと思いますが、ホイールのサイズが大きくなって扁平率が下がってしまうと、タイヤの耐荷重を示すロードインデックスも下がってしまいます。
インチアップをしたとしても、エクストラロード規格のタイヤを履かせて純正と同じ負荷能力を維持できれば問題はありませんが、負荷能力が下がりすぎるとホイールのリムの底付きによる歪みや割れの他、バーストなどの弊害が起こる可能性もあります。
タイヤにはXLとJATMAどちらの規格でも350kPa入れても大丈夫なようには作られているので、空気圧を上げてリムの底付きを回避しようと思えば出来るけど、引っ張りタイヤにしている人しかやらないと思うので、推奨はしません。
私もローダウンをして19インチのタイヤを履かせてはいますが、タイヤ外形が純正よりも小さくなってタイヤでも車高が下がる225/35ではなく、外形が大きくなる225/40を選択したのはロードインデックスの都合もあります。
それでは純正サイズの205/60R16 92Hとインチアップした際の225/35R19 88Y、そして私が履かせている225/40R19 93Wの空気圧別負荷能力一覧表で比較してみましょう。
荷重指数(LI) | 空気圧(kPa) | |||||||||
200 | 210 | 220 | 230 | 240 | 250 | 260 | 270 | 280 | 290 | |
92(JATMA) | 565 | 585 | 600 | 610 | 630 | |||||
88(XL) | 415 | 435 | 450 | 465 | 480 | 495 | 515 | 530 | 545 | 560 |
93(XL) | 485 | 500 | 520 | 540 | 560 | 575 | 595 | 615 | 630 | 650 |
あまり太いホイールを履けない90系ヴォクシーで、タイヤの負荷能力まで考慮するとタイヤの選択肢がとても少ないですし、225/35R19のXL規格ではヴォクシーの車両総重量に耐えられる負荷能力が足りていません。
その場合は、純正タイヤサイズの負荷能力630kgに対応しているタイヤを探さなければいけないので、XL規格でホイールのリム幅8Jに合うタイヤサイズで荷重指数92以上、空気圧280kpaで負荷能力630kgになる225/40R19 93Yが車両総重量に耐えられるサイズとなります。
そして、JATMAの空気圧に慣れている人は、インチアップした時のエクストラロード規格の空気圧に少々抵抗を感じるかもしれませんが、JATMAと比較してXLは規定内でも290kPaまで空気を入れられるのです。
ヴォクシーの前に乗っていたアベンシスも最初は215/35R19を履かせていましたが、走行中にリムの底付きのようなショックが多かったため、途中から225/40R19に変更してそのタイヤを付けたままヴォクシーに履かせました。
9Jや10Jのホイールを装着できる車種では、もう少し選択肢が増えるのですが、車両総重量が重い車種で扁平率が低く幅が狭いタイヤと大径ホイールを装着した際は、トラブルを未然に防ぐためにも純正タイヤよりシビアに空気圧管理をした方が確実なのです。
ドアステッカーの空気圧が正解と言う人もいれば、XL規格で空気圧を高くするのは間違っていると言う人もいますし、それぞれ違う答えを持っているのを見かける事もありますが、確実に信用できるのは、空気圧別負荷能力一覧表から計算をする事です。
空気圧管理はエアゲージと電動エアーコンプレッサーで
省燃費を謳うハイブリッド車という事で、タイヤの空気圧管理を徹底しているのもありますが、走行している時のフィーリングやロケーションによって空気圧を変えたいので、タイヤに空気を入れるためのエアーコンプレッサーを積んでいます。
純正と同じ負荷能力でのブリザックVRX3の規定空気圧は250kPaになりますが、山越えをしている時のフィーリングがイマイチだったのもあって前後265kPaに調整をしました。
シガーライターから電源を取るエアーコンプレッサーですが、ケーブルの長さも充分ですので、他に延長コードを使用しなくても4輪全てに空気を入れる事ができます。
ただ、このエアーコンプレッサーは音が結構大きめなので、使用する場所は結構気を使います。
また、空気圧のチェックや空気を抜きたい時のために、エアゲージも一緒に積んでおりますので、例えば舗装路面で空気圧を高めにしている時に、山道に入って雪が積もっている時などは、エアゲージを使って適正空気圧になるように空気を抜いてから走行をしています。
このサイトの記事でトルクレンチや空気圧などに触れていて神経質な人のように思えるかもしれませんが、1日で400km走ったりするような事も多いので、何か異変に気付くと運転に集中できなくなりますし、目的地にたどり着けなくなるのも大問題になるので、車のメンテナンスはしっかりしておきたいのです。
空気を入れすぎる事よりも適正空気圧よりも下回った時の方が、その場から走行できなくなってしまう程のトラブルが起きやすいものなので、少なくとも半月から1ヶ月に一度はエアチェックや空気の充填をしておいた方が、間違いないです。
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