YouTube動画やテレビ番組などの映像制作に欠かせないものの一つが、BGM(バックグラウンドミュージック)です。音楽はシーンを盛り上げるだけでなく、映像の雰囲気やテンポを整え、視聴者に伝わる印象を大きく左右します。
映像と音楽の組み合わせは、作品の完成度を高めるうえで重要です。例えば、新緑が美しい森林の風景動画に激しいギターソロのロックやジャズを合わせると、表現したい雰囲気によっては映像とBGMがちぐはぐになってしまうことがあります。
木々の静けさや自然の心地よさを伝えたい場合は、ゆったりとしたヒーリング音楽やアンビエントを選ぶことで、景色の魅力を引き立て、落ち着いた映像に仕上げやすくなります。もちろん、意図的に対照的な音楽を合わせる演出もありますが、まずは映像の内容に合ったBGMを探すことが大切です。
一方、映像制作で気を付けたいのが音楽の著作権です。JASRACなどの著作権管理団体が管理する楽曲を含め、必要な許諾を得ずに音楽や市販の音源を利用すると、権利侵害の問題が生じるおそれがあります。ただし、YouTubeなど、管理団体と利用許諾契約を結んでいるサービスでは、一定の条件を満たせば投稿者による個別の手続きが不要な場合もあり、利用方法や音源の権利関係によって扱いは異なります。
また、著作権使用料を支払えば、どの楽曲でも自由に使えるわけではありません。作詞・作曲に関する権利のほか、録音された音源を利用する場合には、レコード製作者などの権利についても確認が必要です。そこで便利なのが、あらかじめ利用条件が示されているフリーBGMやロイヤリティフリーの音楽素材です。
私も動画編集の際には音楽素材をよく利用していますが、無料・有料を問わず楽曲数が非常に多く、利用許諾の範囲もサイトごとに異なるため、選曲だけで数日かかってしまうことがあります。
この記事では、YouTube動画に使える著作権フリーBGMや、風景動画に合う無料BGMを探している方にも参考になるよう、実際に私が利用してきた国内外の音楽素材ダウンロードサイトを、曲調・検索機能・利用規約の違いとともに紹介します。
著作権フリー ロイヤリティフリー音楽素材とは?
音楽素材サイトでよく見かける「著作権フリー」「ロイヤリティフリー」「フリーBGM」という言葉は、同じ意味とは限りません。特に「無料でダウンロードできる」「著作権フリーと表示されている」というだけで、あらゆる用途に無条件で使用できると考えるのは禁物です。
音楽や映像、写真、イラストなどの著作物には、原則として制作者の著作権が認められます。著作権が譲渡されていたり、保護期間が満了していたりする場合もありますが、一般に公開されている作品でも、利用に際しては権利者の許諾や法律上の例外に該当するかどうかを確認する必要があります。
音楽素材サイトでは、利用者が毎回個別に問い合わせなくても済むよう、著作者や権利者が利用規約で許諾の範囲を示しています。商用利用の可否、クレジット表記の必要性、加工・編集の扱い、音源の再配布禁止など、確認すべき条件はさまざまです。
一般に「ロイヤリティフリー」は、定められたライセンスの範囲内で利用する限り、利用のたびに追加の使用料を支払う必要がない方式を指します。必ずしも無料という意味ではなく、購入時や契約時に料金がかかる場合もあります。また、「著作権フリー」という表現は幅広く使われているため、著作権が放棄されていると決めつけず、各サイトの規約を読むことが重要です。
実際、多くの素材サイトでは著作権が作者に帰属することを明記しています。YouTubeでの収益化、企業のPR動画、DVD販売などに使いたい場合は、特に利用範囲を確認しておきたいところです。
無料音楽素材ダウンロードサイト
DOVA-SYNDROME
DOVA-SYNDROME ウェブサイト
ウェブサイトの特徴
DOVA-SYNDROMEは、多数のサウンドクリエイターが参加し、執筆当時すでに1万曲以上のBGMやジングル、効果音を公開していた国内の大規模な無料音楽素材サイトです。ジャンルの幅が広く、動画制作で使いやすい音源を探せます。
RPGやゲーム向けの曲が充実している印象ですが、自然風景の映像、シネマチックなVlog、卒業式や結婚式のスライドショーなどに合う音楽も見つかります。明るい曲から静かな曲まで選択肢が豊富なので、映像の雰囲気に合わせて比較できる点が魅力です。
音楽素材の検索について
並び順や素材タイプ(BGM・ジングル)、再生時間、ループ対応、作曲者、キーワードのほか、雰囲気・感情・世界観、リズム・曲調、使用楽器などのタグを組み合わせて検索できます。
一方で、公開曲数が多く、複数のタグが付いた音源もあるため、イメージにぴったりのBGMを絞り込むには少し時間がかかる印象です。
音楽素材の利用規約
サイト共通の音源利用ライセンスに加え、作曲者が個別の利用条件を設けている場合もあるため、使用前に楽曲ページと作曲者のプロフィールを確認しておきましょう。
基本的には映像やゲームなどの背景音楽として、商用・非商用を問わず利用できる仕組みですが、楽曲そのものを主役にした配信や音源の再配布などは、通常のBGM利用とは区別して考える必要があります。
DOVA-SYNDROME 利用規約
音楽素材利用例
国営みちのく杜の湖畔公園 コキア ライトアップイベント
宮城県川崎町の国営みちのく杜の湖畔公園で開催された「コキアカリ」の映像でも、DOVA-SYNDROMEの音楽素材をBGMとして使用しました。
甘茶の音楽工房・ノスタルジア
甘茶の音楽工房・ノスタルジア
ウェブサイトの特徴
「甘茶の音楽工房」と「ノスタルジア」は、どちらも甘茶さんが手掛けるフリー音楽素材サイトです。穏やかな風景映像になじむ曲からRPGの戦闘シーンを思わせる曲まで幅広く、私も以前からよく利用しています。
比較的短めの楽曲も多いため、5分以上の映像に合わせる場合は、曲をループさせたり、雰囲気の近い曲を組み合わせたりすると使いやすくなります。
音楽素材の検索について
イメージやジャンルから楽曲を探すことができ、曲調の方向性が決まっていれば、目的の音楽を比較的見つけやすい構成です。
音楽素材の利用規約
商用・非商用を問わず、利用規約の範囲内でBGMとして使用できます。作曲者名やサイト名のクレジット表記は必須ではありませんが、できる範囲で記載するとよいでしょう。音源そのものの再配布などは禁止されています。
甘茶の音楽工房 利用規約
音楽素材利用例
MusicMaterial
音楽素材ダウンロードサイト MusicMaterial
ウェブサイトの特徴
MusicMaterialも、私が以前から利用してきた無料の音楽素材ダウンロードサイトです。特にEDMやトランス系の楽曲が印象的で、疾走感のある映像やテンポのよい編集に合わせたくなるクオリティの高い音源がそろっています。
公開曲数はそれほど多くありませんが、私がYouTubeへの動画投稿を始めた頃には、特によく利用していたサイトの一つでした。
音楽素材の検索について
ポップス、ヒーリング、ピアノ、オーケストラ、ロック、アンビエントなど、ジャンル別に音楽を探せます。
音楽素材の利用規約
執筆当時の案内では、公序良俗に反する用途などを除き、商用・非商用のいずれにも利用できるとされていました。著作者名やサイト名の表記も必須ではないと案内されていましたが、実際に使う際は楽曲の配布条件を確認しておきましょう。
MusicMaterial 利用規約
音楽素材利用例
PeriTune
ウェブサイトの特徴
PeriTuneは2015年に開設された音楽素材サイトで、2020年には5周年を迎えました。初めて見つけたときは、これほど完成度の高いBGMを無料で利用できるのかと驚いたのを覚えています。
ケルト音楽やオーケストラ、ポップス、民族音楽など、幻想的な世界観や物語性を感じさせる曲が充実しています。他のサイトではイメージに合う曲が見つからないときでも、PeriTuneで探すとぴったりの楽曲に出会えることがあります。
映像の雰囲気を大きく変えるようなクオリティの高い楽曲が多く、風景動画やシネマチックな作品だけでなく、ゲームやイベントのBGMとしても使いやすい印象です。
音楽素材の検索について
曲名やタグを使って検索できるほか、ページに設置されたSoundCloudのプレイヤーで試聴することもできます。気になる楽曲を聴き比べながら、映像のテンポや場面に合う曲を探せるのが便利です。
音楽素材の利用規約
執筆当時、楽曲は商用・非商用を問わず利用でき、クレジット表記は可能な範囲でお願いしたいという案内でした。一方、音楽そのものを聴かせることが主目的のBGMまとめ動画などは通常の利用範囲に含まれないため、動画の内容と利用規約を確認する必要があります。
PeriTune 利用規約
音楽素材利用例
東京ドイツ村 ウィンターイルミネーション 2019-2020
Bensound
ROYALTY FREE MUSIC Bensound
ウェブサイトの特徴
Bensoundは、無料と有料の楽曲を提供する海外のロイヤリティフリー音楽素材サイトです。シネマチックなVlog向けの音楽をはじめ、ヨガやリラクゼーション映像に合いそうなヒーリング系BGMなど、落ち着いた曲調から明るい曲まで用意されています。
短めの無料楽曲も多いため長時間の映像には編集の工夫が必要ですが、映像の雰囲気を印象的に演出できる曲がそろっていると感じます。
音楽素材の検索について
アコースティック・フォーク、シネマチック、コーポレート・ポップス、エレクトロニカ、アーバン・グルーブ、ジャズ、ロック、ワールドミュージックなどのジャンルやキーワードから検索できます。
執筆当時のサイトでは、無料楽曲と有料楽曲でダウンロードや購入の表示が異なっていたため、選曲時にはライセンスの種類も合わせて確認する必要がありました。
音楽素材の利用規約
利用条件は英語で案内されています。無料で配布されている楽曲にも対象用途やクレジット表記などの条件があり、無料ダウンロードしただけで、すべての商用動画に無制限で使用できるわけではありません。
YouTube動画、スライドショー、企業のプロモーション映像など、使用する作品の種類によって必要なライセンスが異なる場合があるため、用途を確認してから利用しましょう。
Bensound 利用規約(Music Licensing)
音楽素材利用例
H/MIX GALLERY
ウェブサイトの特徴
H/MIX GALLERYは、舞台やゲーム、映像作品などの音楽を手掛ける秋山裕和さんが、BGM素材を公開しているサイトです。壮大なオーケストラ調の曲や情感豊かな楽曲が多く、映像の世界観を引き立てたいときに候補に挙がります。
有料の音楽素材も扱っており、企業向け映像などで使用したい場合には、無償利用の対象となるか、別途商用ライセンスが必要かを確認するのが安心です。
音楽素材の検索について
フィーリング、イメージ、用途などに分けて楽曲を探せるため、場面に合った曲を比較的選びやすい構成です。
音楽素材の利用規約
執筆当時は個人制作や教育用途、一般的なYouTube動画などで無料利用できる一方、企業の広告・販売作品などには別の条件が設けられていました。また、YouTubeのContent IDによる申し立てが発生する場合もあるため、利用条件と権利管理について事前に確認しておきましょう。
H/MIX GALLERY 利用規約
有料音楽素材ダウンロードサイト
Artlist
Music Licensing For Video Artlist
ウェブサイトの特徴
Artlistは、執筆当時すでに8,000曲以上の楽曲を取り扱っていた海外の有料音楽素材サイトです。定額制でさまざまなジャンルのBGMを探せるため、動画を継続的に制作する方に向いています。
シネマチックなVlogに合うインストゥルメンタル曲が豊富で、特にボーカル入りの音楽を探している場合にも候補になるサイトです。
ギターやブラスのソロが前面に出た曲、静かなアンビエントなど好みが分かれる楽曲もありますが、映像の雰囲気を引き立てる高品質な曲が多いと感じます。
料金表示が月額換算でも、契約は年間一括払いになっている場合があります。多数の楽曲をダウンロードできる点は魅力ですが、契約期間やダウンロード数の上限、解約後の扱いまで確認しておきたいところです。
音楽素材の検索について
ジャンルや雰囲気、テンポ、演奏時間などで検索できます。ただし、複数のジャンルに分類されている曲もあるため、目的のイメージに近い音楽を見つけるには試聴しながら絞り込む必要があります。
風景映像、旅行Vlog、イベント紹介など、動画のテーマに合わせて候補を探せるのが便利です。
音楽素材の利用規約
執筆当時の料金表示は「$16.60/month」でしたが、その下に「$199 billed annually」と記されており、年額199ドルの一括請求となる契約でした。月額換算の表示だけを見て申し込まないよう注意が必要です。
また、ライセンスがいつまで適用されるかは「ダウンロードした楽曲を永久に自由に使える」という意味ではありません。契約期間中に制作・公開した作品と、解約後に新たに制作・公開する作品では条件が異なるため、利用する時点の規約と解約方法を確認しておきましょう。
音楽素材利用例
AudioStock
日本最大級の著作権フリーBGMストックサービス Audiostock
ウェブサイトの特徴
Audiostockは、国内のクリエイターによるBGMや効果音などを豊富に取り扱う有料音楽素材サイトです。ジャンルの幅が広く、映像に合った楽曲を選びやすいことから、私自身もよく利用しています。特にクライアント向けの映像制作で使う機会が多く、仕上がりに満足してもらえた経験があります。
楽曲を単品で購入する方法のほか、定額制プランも用意されていました。複数の動画を制作する場合には便利ですが、プランによってダウンロード上限や利用できる用途が異なる点に注意が必要です。
音楽素材の検索について
楽曲の長さ、用途、ジャンル、イメージ、メインとなる楽器、テンポ、ファイル形式などから絞り込めるので、映像の内容に合うBGMを探しやすいのが特徴です。
音楽素材の利用規約
YouTube動画やインターネット配信などでのBGM利用が想定されていますが、音源そのものを主体とするまとめ動画や、音源の再配布に当たる利用には制限があります。また、DVD販売やクライアントへ納品する商用映像などでは、単品購入や対応する定額制プランの条件を確認する必要があります。
Audiostock 利用規約
音楽素材利用例
まとめ
今回は、私が実際に利用してきた無料・有料の音楽素材ダウンロードサイトを紹介しました。YouTube動画のBGM、自然風景や観光地の映像、イベント紹介など、制作する作品に合わせて選曲すれば、映像の魅力や臨場感をより自然に伝えられます。
ただし、「無料」「著作権フリー」「ロイヤリティフリー」という表示だけで使用条件を判断するのは禁物です。楽曲のクオリティだけでなく、商用利用や収益化の可否、クレジット表記、Content IDへの対応、契約終了後の利用範囲まで確認して、自分の作品に適したBGMを選んでみてください。
アイキャッチ画像 : ©PhotoAC / C-Pictures














この記事へのコメントはありません。