皆様こんにちは。
本日はケルティック・ウーマンのユー・レイズ・ミー・アップと、吹奏楽でもおなじみのロンドンデリーの歌が似ている事について話をしていこうかと思います。
この事に気付いたのは、数年前に娘達がやっていたマーチングバンドの曲が「ロンドンデリーの歌~よろこびの序曲~」だった時です。
よろこびの序曲自体がブラスバンドや吹奏楽向けにアレンジが加えられたものになっているのですが、そこからさらにマーチングアレンジが加えられて抑揚が大きい曲になっていました。
この曲で動きながら演奏するのは厳しいのでは?と思いながら曲を聞いておりましたが、子供たちのサポートをしたりプロップ作りをするのは親の会の役割なので、曲を知っておかないといけなかったのです。
ここでこうやって、こうなってって鼻歌を歌いながら考えていると、何故かYou Raise Me Upに入れ替わっちゃうので、何でだろうと思いながらYou Raise Me Upとロンドンデリーの歌が似ている事について調べていました。
ロンドンデリーの歌(Londonderry Air)は、北アイルランドにある都市「ロンドンデリー」の名に由来するアイルランドの民謡で、イギリス領北アイルランドでは事実上の国歌としての扱いを受けている曲です。
発祥には様々な説がありますが、現在のデリー地方付近を統治していたとされるオカハン族の部族長が精霊の弾くハープの旋律を聴いて覚えたものという伝説や、デリー地方がイングランド人に奪われた事が元になって作られた「オカハン族の嘆き」が原曲であるという説など、未だに発祥が正確にわかっていない曲なのです。
曲名がロンドンデリーの歌となった事にも様々な諸説がありますが、1855年発行の「The Ancient Music of Ireland(アイルランドの古代音楽)」に「Annonimous Air(無名の歌)」と記載されていた所に、「ロンドンデリーのジェイン・ロスの収集による」という註がつけられていたため、その後「Londonderry Air(ロンドンデリーの歌)」で広く知られるようになりました。
元々器楽曲だった当曲に付けられた歌詞は100以上にもおよび、イギリスの弁護士であるフレデリック・エドワード・ウェザリーによって歌詞が付けられたのが「ダニーボーイ(Danny Boy)」となり、アイルランドの詩人・小説家であったキャサリン・タイナン・ヒンクソンが歌詞を付けたものが「アイルランドの恋の歌(Irish Love Song)」として特に有名になりましたが、その後「ロンドンデリーの歌」のタイトルで定着したのが「アイルランドの恋の歌」だったと言います。
動画:Celtic Woman – Danny Boy (YouTubeより)
アイルランド出身の4人組女性音楽グループのケルティック・ウーマン(Celtic Woman)が、ダニーボーイのタイトルで当曲を歌っていた事もありますが、ジェームズ1世の勅許状により都市になることが承認された「ロンドンデリー」という地名の呼び方が好まれていないコミュニティ(ウヨサヨ?)もあるのだそうで、Irish Love SongがLondonderry Airとして定着したのも本意ではなかったのかもしれませんね。
デリー県と呼ぶかロンドンデリー県と呼ぶかは度々論争が巻き起こされ、近年では2006年に北アイルランド高等裁判所でロンドンデリーからデリーへの名称変更訴訟が行われるような、日本における竹島問題に近いものがあるみたいです。
「ダニーボーイ(Danny Boy)」または「デリー地方のアイルランド民謡(Irish Tune from County Derry)」と呼ぶのが無難なのだとか・・。
そして、所々メロディが似ているケルティック・ウーマンのユー・レイズ・ミー・アップの話ですが、元々はアイルランドとノルウェーの2人組ニューエイジアーティスト「シークレット・ガーデン(Secret Garden)」が作った曲で、2002年にリリースしたシークレット・ガーデンのアルバム「Red Moon」に収録されています。
動画:Secret Garden – You Raise Me Up (Lyric Video) ft. Johnny Logan (YouTubeより)
この曲をアイルランドの歌手ダニエル・オドネルがカバーした際にヒットした事を受けて、多くのアーティストがカバーをするようになり、日本においては、2006年にトリノ・オリンピックのフィギュアスケートで金メダリストとなった荒川静香さんがエキシビジョンで演技をした際に、ケルティック・ウーマンがカバーした楽曲を使用した事で、多くの人に知られるようになりました。
動画:Celtic Woman – You Raise Me Up (Live) (YouTubeより)
You Raise Me Upをそのまま和訳すると、「あなたが 私を立ち上がらせてくれる」という意味になり、支えてくれている方への感謝の気持ちを込めた歌詞が散りばめられている、結婚式にもぴったりな素敵な楽曲に仕上げられています。
シークレット・ガーデンの曲の多くは、フォークソングや伝統音楽からインスピレーションを受けている事が多く、Londonderry Airからインスピレーションを受けてロルフ・ラヴランド(Rolf Løvland)が制作した器楽音楽「Silent Story」に、アイルランドのソングライター兼小説家であるブレンダン・グラハム(Brendan Graham)に歌詞を付けるように依頼して完成したのが「You raise Me Up」となりました。
You Raise Me Upを発表してからしばらくして、ヨハン・ヘルガソン(Jóhann Helgason)の「ソクヌーズル(Söknuður)」をパクった疑惑で訴訟になっていましたが、判決はどっちの曲もパブリックドメインのDanny Boy/Londonderry Airの派生であると認め、Jóhann Helgasonは敗訴となったそう。
ケルト音楽に見られる壮大さや美しさのあるメロディを元にしてしまうと似てしまうのも仕方ないとは思いますが、花火大会のミュージックスターマインでも度々使用されるYou Raise me Upは、広い夜空を巨大なスクリーンにして色とりどりの大輪の花々を壮大に咲かせる花火にもピッタリの曲なのです。
【4K HDR】2024年 第96回 大曲の花火 全国花火競技大会 特別プログラム「希望の光」野村花火工業㈱
2024年の大曲の花火では、特別プログラムにて野村花火工業㈱がYou Raise Me Upに合わせて花火を打ち上げておりますので、美しさや壮大さを動画で感じ取っていただけたら幸いです。
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