2018年夏、MBS毎日放送のバラエティ番組『メッセンジャーの○○は大丈夫なのか?』に出演した際、私が推薦していない花火大会がランキングに入り、実際に訪れたことのない花火大会まで紹介することになりました。
番組では、全国の花火大会を撮影してきたカメラマンが感動した花火大会を紹介する企画でしたが、制作側との打ち合わせや台本の内容、実際の放送結果には、私の意向と大きく異なる部分がありました。
さらに、花火映像の使用やYouTube動画への著作権侵害の申し立てをめぐるトラブルも発生しています。
この記事では、2018年8月23日に放送されたMBSの花火大会ランキングについて、番組出演までの経緯、制作側とのやり取り、実際の放送内容、映像の著作権問題など、私自身が経験した出来事を詳しく紹介します。
私が出演したテレビ番組と花火大会ランキングの内容
2018年8月23日、MBS毎日放送のバラエティ番組『メッセンジャーの○○は大丈夫なのか?』で、「全国の花火大会を知り尽くすカメラマンが感動した『花火映像ランキング』知っておかなくて大丈夫なのか?」という企画が放送されました。
全国各地の花火大会を撮影してきたカメラマンとして出演し、感動した花火大会をランキング形式で紹介するという内容です。
私自身、美しい花火の映像や各地の花火大会の魅力を多くの方に知っていただきたいという思いがあり、番組への出演を承諾しました。
しかし、当初聞いていた企画は、実際の花火大会の撮影に同行するというものでした。それが打ち合わせを進めるうちに花火大会ランキングへと変更され、最終的には私が訪れたことのない花火大会まで紹介される内容になっていたのです。
花火大会のランキングについては当初から難色を示していましたが、制作側とのやり取りの中で、私の意図が十分に反映されないまま企画が進行してしまいました。
結果として、放送された内容と私が本来伝えたかった花火大会の評価には大きな隔たりが生じ、関係する花火大会の主催者や関係者の方々に事情を説明し、お詫びすることになりました。
そもそも花火大会をランキングで評価するのは難しい
全国の花火大会には、それぞれ異なる歴史や開催目的があります。
戦災犠牲者への慰霊や災害からの復興を願う花火大会、地域の経済活性化や観光振興を目的とする大会、花火師が打ち上げ技術や芸術性を競い合う花火競技大会など、その成り立ちは実にさまざまです。
同じ花火大会という名称でも、主催者や花火師、地域住民が込めている思いは異なります。
例えば、打ち上げ数や観客動員数では比較的小規模な花火大会でも、地域の方々が協力して運営し、観覧客が心から楽しめる素晴らしい大会は全国に数多く存在します。
一方で、規模が大きく迫力のある花火を打ち上げていても、会場運営や観覧環境に問題があれば、必ずしも満足度の高い花火大会になるとは限りません。
このような事情から、異なる目的で開催される花火大会を一つの基準で順位付けすることには疑問を感じており、番組制作側にもランキング形式を避けたいと繰り返し伝えていました。
こちらは、番組制作側とのやり取りを記録したメールです。
ランキング形式には納得していませんでしたが、制作側も企画を変更する考えはないようだったため、最終的には私なりの選定基準を設け、こうのす花火大会を除外した候補を提示することにしました。
その際に重視したのは、次のような項目です。
- 花火大会の開催目的やテーマと、実際の規模・演出内容が一致していること
- 協賛企業や地域住民の協力など、地元からの支持が感じられること
- 花火の打ち上げ進行が円滑で、プログラム間の待ち時間や構成に無理がないこと
- 観覧客のマナーや会場の安全管理、スタッフによる注意喚起が適切に行われていること
- 観光客だけでなく、地元住民も安心して楽しめる大会であること
もちろん、花火の美しさや演出の完成度、スターマインの迫力なども重要な評価項目です。
しかし、私が特に重視していたのは、花火大会の規模や知名度だけではなく、実際に会場を訪れた観覧客が最後まで安心して楽しみ、満足して帰れるかという点でした。
このような基準から、私が高く評価し、紹介したかった花火大会は次のとおりです。
- 男鹿日本海花火(秋田県男鹿市)
- 神明の花火大会(山梨県市川三郷町)
- 長岡まつり大花火大会(新潟県長岡市)
- 赤川花火大会(山形県鶴岡市)
- 石巻川開き祭り花火大会(宮城県石巻市)
- 全国花火競技大会「大曲の花火」(秋田県大仙市)
これらは私が実際に足を運び、花火の演出や会場の雰囲気、運営状況などを踏まえて評価した大会です。
順位そのものに強いこだわりがあったわけではありません。むしろ、高額な有料観覧席を販売しているにもかかわらず、観覧環境や運営体制に問題を感じた花火大会を、安易に上位へ推薦することは避けたかったのです。
こうのす花火大会の正四尺玉を「日本最大」と紹介する台本への疑問
番組制作側とのやり取りで、特に納得できなかったのが、埼玉県鴻巣市で開催される「こうのす花火大会」の正四尺玉に関する説明です。
こうのす花火大会では、2014年10月11日に開催された第13回大会で、アルプス煙火工業が製造した大型花火玉の打ち上げに成功し、ギネス世界記録に認定されています。
このとき認定された記録は「Largest aerial firework shell(最大の打ち上げ花火)」で、花火玉の重量は464.826kgでした。
重要なのは、このギネス世界記録が花火玉の重量を基準とするものであり、必ずしも玉の直径が世界最大だったことを意味しない点です。
当時のギネス世界記録の公式発表では、こうのす花火大会で使用された花火玉の直径は約105cmと紹介されています。
一方、新潟県小千谷市の片貝まつりで打ち上げられる正四尺玉は、一般的に直径約114cm、重量約420kgとされており、花火玉の直径だけを比較すれば片貝まつりの方が大きいことになります。
つまり、花火玉の直径と重量では評価基準が異なるため、「世界一」「日本最大」という表現を使用する場合には、何を基準にした記録なのか正確に説明する必要があると考えています。
ところが、ロケ当日の深夜に送られてきた台本には、私がそれまで紹介を断っていたこうのす花火大会の正四尺玉を「日本最大」と説明する内容が含まれていました。
私は、こうした記録の扱いについて正確な説明を求めたいと考えていたため、台本に記載された表現をそのまま使用することには抵抗がありました。
また、2018年の放送日は8月23日で、同年のこうのす花火大会は10月13日に開催予定でした。
大会開催前という放送時期もあり、私には特定の花火大会を積極的に宣伝する意図があるのではないかという疑問が残りました。ただし、スポンサーの意向によってこの内容が決定されたのかどうかまでは確認できていません。
そもそも、私がこうのす花火大会を最後に現地観覧したのは2013年です。
当時、有料観覧席で立ち見をする観覧客への対応など、会場運営に不満を感じた経験があり、その後は足を運んでいませんでした。
花火の迫力や規模だけでなく、観覧環境や会場運営も重視する私の選定基準からすれば、近年の状況を直接確認できていない大会を積極的に推薦することはできなかったのです。
行ったことのない花火大会がランキングに入っていた
番組の放送内容で最も驚いたのは、私が一度も観覧したことのない花火大会が、あたかも私自身が感動した大会として紹介されていたことです。
具体的には、第2位の「諏訪湖祭湖上花火大会」と、番外編の「熊野大花火大会」が該当します。
諏訪湖祭湖上花火大会は、長野県諏訪市の諏訪湖で毎年8月15日に開催される大規模な花火大会です。
しかし、私が特に推薦したかった秋田県男鹿市の「男鹿日本海花火」が8月14日に開催され、その翌日には地元宮城県で「わたりふるさとの夏祭り」が開催されるため、これまで諏訪湖へ足を運ぶ機会がありませんでした。
また、三重県熊野市で開催される熊野大花火大会についても、山形県鶴岡市の赤川花火大会を控えた時期と重なるため、遠征先として検討する機会がなかったのです。
どちらも全国的に知られる花火大会であり、動画で見る限り、素晴らしい演出や迫力のある花火が楽しめる大会だとは思います。
しかし、現地で観覧していない以上、会場の雰囲気や観覧環境、運営状況まで含めた評価はできません。
花火の映像を見て感動することと、実際に会場で花火大会を体験して推薦することは、私にとって大きく異なります。
それにもかかわらず、訪れたことのない花火大会が私の推薦するランキングに組み込まれていた点には、どうしても納得できませんでした。
さらに、長岡まつり大花火大会の「復興祈願花火フェニックス」についても、私が本来伝えたかった内容とは異なる紹介になっていました。
番組では、9か所から打ち上げる全長約2kmのスターマインという規模や演出が中心に紹介されました。
確かに、長岡花火のフェニックスは、視界いっぱいに広がる圧巻のワイドスターマインで、その美しい光景は全国の花火ファンを魅了しています。
しかし、私が特に紹介したかったのは、その迫力だけではありません。
復興祈願花火フェニックスは、2004年に発生した新潟県中越地震からの復興を願い、翌2005年から打ち上げられるようになった花火です。
打ち上げ時に使用される平原綾香さんの「Jupiter」は、中越地震で被災した方々から地元ラジオ局に数多くのリクエストが寄せられた楽曲で、その歌詞は多くの被災者の心を支えてきました。
さらに、2011年の東日本大震災では、甚大な被害を受けた宮城県石巻市に長岡から復興祈願花火「ミニフェニックス」が贈られ、8月1日の石巻川開き祭りで打ち上げられました。
翌8月2日には長岡まつり大花火大会でもフェニックスが打ち上げられ、石巻と長岡を花火で結ぶ復興への思いが受け継がれています。
東日本大震災を経験した私にとって、こうした花火の背景にある歴史や被災地同士のつながりは、単なる打ち上げ規模以上に大切なものです。
だからこそ、長岡まつり大花火大会と石巻川開き祭り花火大会を紹介したかったのです。
また、秋田県大仙市の「全国花火競技大会『大曲の花火』」は、全国の花火師が創造性や技術、芸術性を競い合う競技大会です。
一般的な花火大会とは開催目的が異なり、競技花火ならではの見どころがあります。
こうした違いを十分に説明しないまま、すべてを同じランキングで比較することにも疑問が残りました。
最終的に、2018年8月23日の放送で紹介された花火大会ランキングは、次のような内容でした。
5位 長岡まつり大花火大会(新潟県長岡市)
4位 赤川花火大会(山形県鶴岡市)
3位 全国花火競技大会「大曲の花火」(秋田県大仙市)
2位 諏訪湖祭湖上花火大会(長野県諏訪市・現地観覧経験なし)
番外編 熊野大花火大会(三重県熊野市・現地観覧経験なし)
1位 神明の花火大会(山梨県市川三郷町)
ドローン花火映像 こうのす花火大会(埼玉県鴻巣市・2013年を最後に現地観覧していない)
この放送順位と紹介内容は、MBS毎日放送の公式番組アーカイブにも掲載されています。
つまり、放送で使われたのは私が当初提示した選定候補をそのまま順位付けしたランキングではなく、制作側によって内容が再構成された花火映像ランキングだったということです。
番組側が編集上の判断をすること自体は理解できます。
しかし、出演者が実際に観覧していない花火大会を、その人が感動した大会として紹介するのであれば、少なくとも本人への確認や説明が必要ではないでしょうか。
制作側にどのような意図があったのか、スポンサーの意向が反映されていたのかについては、私には確認できません。
それでも、自分が選んだわけではないランキングを自分の推薦として扱われたことには、強い不信感を抱きました。
花火映像の使用とYouTube著作権侵害の申し立てをめぐるトラブル
番組のロケ終了後、制作側から花火大会の動画を提供してほしいという連絡がありました。
しかし、私としては、まず番組の企画内容と実際の収録内容に生じた問題を整理し、必要に応じて花火大会の関係者へ説明することが先決だと考えていました。
そのため、映像の提供については回答を保留していたのです。
今回の出演では、打ち合わせの段階から意見が食い違う部分が多く、収録内容についても納得できないことが重なっていました。
そして、実際の放送を確認した後、制作側に対して不満や疑問を伝えるメールを送りました。
さらに問題となったのが、YouTubeで公開していた花火動画に対する著作権侵害の申し立てです。
番組に関連する映像の著作権について通知が届き、私が制作・公開していた動画が視聴できなくなる事態が発生しました。
自分自身で撮影した花火映像であるにもかかわらず、著作権の申し立てによって公開が制限されたことには、非常に驚きました。
もちろん、テレビ番組で使用された映像には、放送用の編集や音声など、別の権利が関係する場合もあります。
しかし、私が撮影した元の花火映像について、どの範囲の使用が認められているのか、誰がどのような権利を主張しているのかは、明確に区別されるべきだと考えています。
今回の申し立てについて担当者へ抗議の電話をしたところ、動画をもう一度アップロードしてほしいという趣旨の返答がありました。
しかし、動画を再アップロードすれば済むという単純な問題ではありません。
YouTubeに公開している動画には、撮影だけでなく、RAW現像やカラーグレーディング、編集、エンコードなど、多くの作業時間を費やしています。
実際に、再公開することになった動画の中には、8K解像度にアップコンバートした作品もあり、編集作業だけで約4日間を要したものもありました。
花火大会の撮影では、現地への移動や機材の準備、撮影場所の確保、長時間の収録など、多くの時間と費用が必要になります。
さらに、高画質な映像に仕上げるための編集作業にも相応の労力がかかります。
そのようにして制作した動画が、第三者からの著作権侵害の申し立てによって視聴できなくなれば、制作者にとって大きな負担となります。
今回のトラブルでは、著作権侵害の申し立てがどのような理由で行われたのか、私が納得できる説明を十分に得られませんでした。
映像を提供する側と使用する側の間で、著作権や利用許諾の範囲について認識が一致していなかったことも、問題を大きくした原因だったと感じています。
また、番組出演のための打ち合わせや収録、関係者への説明、動画の再公開などを含めると、私が負担した時間と費用は決して小さなものではありません。
テレビ番組には多くのスタッフが関わり、限られた放送時間の中で企画を成立させなければならない事情もあるのでしょう。
しかし、だからといって、出演者の意思や発言の趣旨、映像制作者の権利が軽視されてよいとは思いません。
特に、長岡や石巻の復興祈願花火のように、災害で亡くなられた方々への慰霊や被災地の復興への願いが込められた花火は、単に見栄えのする映像として扱うだけでは、その本当の魅力を十分に伝えられません。
宮城県で東日本大震災を経験した私としては、花火の美しさだけでなく、開催に至る歴史や地域の思いも大切にしてほしかったのです。
なお、ロケに訪れたスタッフが、地元のカフェで許可を得ずにコンセントを使用して携帯電話を充電していたこともあり、細かな部分ではありますが、現場でのマナーについても気になる点がありました。
今回の出演を通して、テレビ番組の制作現場では、出演者との意思疎通や映像の権利関係について、より丁寧な対応が必要なのではないかと感じました。
追記:この記事を公開した後、番組関係者から謝罪の連絡がありました。
正直なところ、問題が発生した段階で説明や対応をしていただきたかったという気持ちは残っています。
私が今回の記事を書いたのは、特定の花火大会を批判するためでも、テレビ番組への出演そのものを否定するためでもありません。
実際に訪れていない花火大会を自分が推薦したように紹介されたこと、事前に伝えていた意向が十分に反映されなかったこと、そして自分で撮影した動画の著作権をめぐるトラブルが発生したことを、記録として残したかったからです。
テレビ番組のランキングは、視聴者にとって分かりやすく、興味を持ってもらいやすい企画だと思います。
しかし、出演者の経験や評価を根拠にしたランキングであれば、その人物の意思や実際の体験に沿った内容であることが重要ではないでしょうか。
今回の経験を踏まえ、今後、当該テレビ局から出演や映像提供の依頼があった場合には、企画内容や利用条件を十分に確認したうえで、原則としてお断りする方針です。
その他のテレビ局からの依頼については、企画の趣旨や取材内容、映像の使用条件などを確認し、内容に応じて検討させていただきます。
今後も全国各地の花火大会を撮影し、それぞれの地域に受け継がれてきた歴史や魅力、美しい花火の映像を、できる限り正確に伝えていきたいと考えています。











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