京都と江戸をつなぐ中山道の34番目の宿場町として栄えた長野県塩尻市にある奈良井宿は、南北約1kmに広がる日本最長の宿場町です。今もなお江戸時代の面影を残す重要伝統的建造物が立ち並ぶ町並みとして観光客からも人気がある木曽路・奈良井宿を散策してきました。
記事内の目次
中山道・木曽路 江戸時代の面影を残す奈良井宿の町並み
中山道木曽路とは?
中山道は江戸時代に整備された五街道の一つで、南回りで太平洋沿岸を通行する東海道に対して、北回り・内陸経由で江戸の日本橋と京都の三条大橋(現在の東京都と京都府)を結ぶ全行程540kmの街道となっています。
冬場は寒さが厳しく歩行が困難になるほどの降雪がある他にも、中山道には碓氷峠越えや和田峠越え、「木曽のかけはし」通過などの難所があったにもかかわらず往来は盛んでした。
その理由として、橋が架けられていない大井川や安倍川などでは川越人足による川越し以外は認められなかった他、江戸幕府による「入鉄砲出女」の取り締まりが厳しかった事が挙げられています。
また、中山道の旅籠は東海道よりも2割ほど安かった事から、これらを避けてあえて中山道を選ぶ者が多かったとされています。
そのうちの現在の長野県と岐阜県にあたる木曽地方を通る部分を木曽街道または木曽路とも呼び、上四宿、中三宿、下四宿からなる11の宿場が設置され、その総称を木曽十一宿とも呼んでいたそうです。
奈良井宿とは?
江戸時代に栄えた五街道の一つで山側のルートを通る中山道六十九次34番目の宿場町で、木曽路十一宿の江戸側から2番目に位置した奈良井宿は、現在の長野県塩尻市の奈良井宿に現存する集落です。
木曽路十一宿の中では最も標高が高い標高940メートルに位置し、中山道最大の難所でもあった標高1197メートルの鳥居峠を控えていた事から、多くの旅人が訪れる日本最長の宿場町として当時は栄え、奈良井千軒とも言われていたそうです。
逓信総合博物館(現・郵政博物館)で保存されている「中山道宿村大概帳」によれば、奈良井宿の宿内家数は409軒、うち本陣1軒、脇本陣1軒、旅籠5軒で、宿内人口は2,155名、また当時は曲げ物、櫛、木曽漆器などの木工業が盛んで旅の土産物として人気がありました。
奈良井宿の町並み
五街道に設けられた宿場町は、現代においてほとんどの場所で当時の面影を残している場所が少なくなってきておりますが、大火がなかった事と旅客業としての発展が無くなった事から、宿場町としての奈良井宿の面影は十分に残されることとなりました。
近代に入ると塗櫛の問屋中村家住宅移築の話が持ち上がると同時に、住民の声は奈良井宿の町並み保存運動へと高まっていき、昭和53年には奈良井宿の歴史的価値の高さから国から重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
ほとんどの建造物は出梁造りと呼ばれる二階を少しせり出した形状の建築様式が取り入れられており、奈良井宿以外にも木曽地域の宿場町では、このような建物が立ち並ぶ風景を観賞する事が出来ます。
敵の信仰を防ぐ役割を持つ鍵の手
奈良井宿にはクランク状に折れ曲がった箇所がありますが、わざと見通しを悪くする事で敵の侵攻を食い止める防衛的な役割を持つ、「鍵の手」と呼ばれる城下町で多く見られる構造なのだそう。
この地に奈良井城があった事から、宿場町としてだけではなく、城下町としての役割も果たしていた事が伺えます。
疫病を鎮めたという鎮神社
元々は中原兼遠(なかはらかねとお)が鳥居峠に建立したものでしたが、天正十年(1582)に木曽氏と武田氏の合戦で戦火によって焼失し、奈良井義高によって現在地に移されたと伝えられています。
その後の元和四年(1618年)に奈良井宿において「すくみ」という疫病が流行した際に、千葉県香取市の香取神宮から経津主神(ふつぬしのかみ)を勧請してお祈りした所、その病はたちまち鎮まり、それ以来奈良井宿の鎮守とされてきたそうです。
木曽の大橋
奈良井川に架けられた木曽の大橋は、樹齢300年以上の総木曽檜作りの太鼓橋で、橋脚を持たない木製の橋としては日本有数の大きさとなる長さ33m、幅6.5m、水面からの高さは7mほどの大きさとなっています。
歴史的な裏付けがあって作られた物ではなく、国道19号線側と奈良井宿側を往来するために1991年頃に作られた物なのだそうです。
奈良井宿の映像
【江戸時代の風情を残す街並み】中山道・奈良井宿を散策 中山道 木曽路十一宿の美しい風景
馬籠宿 交通アクセス・時間・駐車場情報
所在地 | 〒399-6303 長野県塩尻市奈良井 |
時間 | 24時間 |
入場料金 | 無料 |
駐車場 | 木曽の大橋 東駐車場・西駐車場 道の駅 奈良井宿駐車場 奈良井駅前駐車場(有料) 奈良井権兵衛駐車場(有料) |
交通アクセス | 中央自動車道 塩尻I.Cまたは伊那I.Cから車で40分 |
関連ウェブサイト | 奈良井宿観光協会 塩尻市観光協会 |
この記事へのコメントはありません。